千九十八(その二) 中国に国境意識がなかったことを現代に当てはめると
平成三十戊戌
二月二十七日(火)
中国に国境意識がなかったことを現代に当てはめるとどうなるかを考へてみたい。まづ国境意識がなかったのは欧州も同じだ。皇帝の支配地域はあったが、それは西洋野蛮人が云ふところの民族別ではない。つまり国境ではなく、支配地域の境界だった。
翻って現在は国境があるし、国連があるし、EUやASEANなど地域の共同体もある。まづ、過去と現代は欧州もアジアも事情が異なることを考慮しなくてはいけない。
三月三日(土)
将来はアメリカの国力が落ちて、中国が伸びることはあり得る。そして日本、ベトナムなどを化外の地と言ひ出したらどうするか。
まづ国の概念が現在のやうになってアジアでは200年を経過した。今更昔に戻ることはあり得ない。だから心配はないし、そもそも現状は完全な独立国なのか。米ソ冷戦が終はるまでは米側に入ったとはいへ、世界に二大勢力があったから独立を保てた。
米ソ冷戦終結後の日本は独立国とは云へない。しかし日米を軍事同盟に留めて内政に干渉させないことは可能だからそれを続けて、仮に中国の軍事力が伸びたとしても、中国に内政を干渉させないことは可能だ。
三月三日(土)その二
米ソ冷戦下で、アメリカが同盟国に寛大だったのは冷戦に勝つためだが、もう一つ、アメリカは移民国で膨大な余裕があったためだ(イギリスやフランスは余裕がないから寛大にはなれないし、第二次大戦後の植民地独立で醜態を演じたのはそのためだった)。
アメリカが寛大だったのはつまり野生生物と先住民の犠牲の上だ。そしてそのアメリカも寛大を既に止めた。過去は内政に干渉することで国内を混乱させた。それに比べればトランプさんは正直だからやり方が良心的だ。そして日本が独立心を持つよい機会だ。
三月三日(土)その三
内田さんは手放しで(その一へ)化外の思想を紹介してゐるが、実は懸案事項がある。船の動力が風から石炭、石油へと変化したため、海の難易度で測った距離が短くなった。実際の距離は変らないのだが、相対的な距離が昔の百分の一になった。その対策をどうするか。
かつて化外の地は朝鮮半島、ベトナム、外モンゴルまでだった。タイや日本は中国に使節を派遣したが、化外の地だったわけではない。相対的な距離は陸上もかつての百分の一に減じたのだから、ASEAN、インドまでを含めたアジア圏を構築すべきだ。
これなら中国だけが突出する訳ではない。事務局長は各国が持ち回り、代表は権限のない象徴的なもので人口の多い中国とインドが交代。代表を中国とインドにすることで花を持たせれば、両国も喜ぶだらう。化外の思想が活きてゐる。
余談だが、朝鮮半島はかつて外国を責めたことが一回もないと云ふ史実を以って、北朝鮮が外国を攻撃することはないと云ふ説を、日本の議員か大学教授くらいの人が主張するのを読んだことがある。この説には根本の欠陥があって、それは軍事力が弱かったためだ。総合の軍事力はともかく核とミサイルを持ったら、北朝鮮は急に周辺国を脅迫し出すかも知れない。
日韓の友好はよいことだが、日本がいつまでも謝罪しろと云ふ主張にも反対だ。アジアの親善につながる日韓なら賛成だが、アジアの親善を妨害する日韓友好言辞には反対である。(完)
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