千七十 元日は開店するな
平成二十九丁酉年
十二月二十八日(木)
来年の元日は休業する店が多いらしい。これはよいことだ。昭和六十年辺りまでは元日に営業する店はまったくと言ってよいほどなかった。車も全然走らなかった。国道を見渡すとはるか先まで車がなかった。これが普通の光景だった。
状況が変はったのは、或る会社の偉業がきっかけだった。偉業と呼んだのは、誰も営業しないのに元日に開店するのは実に尊い。ところが我も我もと皆が真似をした結果、元日に開店するのが当たり前になってしまった。かうなると元日は休業にするほうが偉業となる。
十二月二十九日(金)
或る会社とはセブンイレブンのことで、元日に長時間ドラマ(確か山本五十六)を放送し、宣伝の時間に元日も開店してゐることを放送した。これは効果があった。セブンイレブンに行ってみるとかなりの来客だった。元日に営業してくれるとはサービス精神旺盛だ。不便を解消してくれた。さう思った。
元日開店が今でもセブンイレブンだけなら、その気持ちは今でも続いただらう。ところがその後は次々と大規模小売店、飲食店が猿真似をするものだから、あっと云ふ間に元日開店が当たり前になってしまった。
十二月三十日(土)
逆もある。昔は大晦日まで働くのが普通だった。とは云へ製造業は30日や29日で終はりだったりと、小売りと無縁の会社は早めに休業に入った。銀行は顧客と関はるから大晦日まで開店した。
大晦日は書きいれ時だ。それなのに休むのは、元日開店の影響だ。三が日はきちんと休まう。その代はり大晦日まで働かう。勿論それだと大晦日や元日が帰省日になってしまひ、逆に元日が慌ただしくなる。だから顧客対応とは無縁の部門は30日から休み、顧客対応の部門は1月4日または5日まで休む。分業ならぬ分休がよい。
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また帰省する人は小売業でも31日更には30日も休暇を取得できるやうにすべきだ。そもそも首都圏から遠くまで帰省すること自体が異常だ。各地に産業を分散させるべきだ。ただし間違っても或る悪徳政治屋のやうに、特定の学部を作って学生の分だけ人口を増やすなんて姑息なことをやってはいけない。
十二月三十一日(日)
一月の二日か三日に初売りをする。これはよいことだ。福袋を発売したり、新年の特売を行ふ。これはお正月の風物詩だから悪くはない。しかし元日に行ってはいけない。三が日のうちの二日間行ってもいけない。
風物詩は社会を安定させる伝統として尊重しなくてはいけない。しかし守旧になってはいけない。社会を安定させる伝統は尊重し、社会に弊害のある既得権や旧弊は排する。その逆をやったのがモリカケ騒動だ。
森友学園では、今までとは違ふ教育を試す価値はある。しかし民族差別になってはいけない。官僚の忖度になってもいけない。権力者によるトカゲの尻尾切りになってもいけない。
加計学園では、獣医学部の定員が50年以上決まってゐて、受験生はそれに従って勉強をしてきたのだから、突然不公平なことをしてはいけない。官僚や審議会の忖度や、お友達への補助金、優遇、特区制度の悪用もいけない。(完)
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