千五十八(その六十九) 西部ゼミナール「崩壊する時代のなかで-日本人の再建は可能か?」
平成二十九丁酉年
十二月二日(土)戦後の四年間と軍事の独立
今回は手違ひで7時10分から観た。だから最初を聞き逃したかも知れない。と云ふより聞き逃したのだが、重要なことは聞き逃さなかった気がする。まづ昭和二十年から朝鮮戦争で逆転する二十四年までの混乱がもっと続けばよかった。かういふ話があった。その理由として日本は米ソ冷戦だ、グローバリズムだと、ずっと甘へてきた。
これは戦勝国への憎しみをもっと持つべきだと云ふもので、これは一理ある。何もアメリカに復讐しろと云ふのではない。日本は独立心を恢復させることが必要だ。アメリカも、特にトランプ大統領はそれを望んでゐよう。
私はときどき軍事と文化を分けるが、これは北朝鮮と云ふ特殊事情が理由だ。北朝鮮問題が解決の後は、軍事でも双方が納得する方法で少しづづ独立すべきだ。

西部さんが、人間はやるか、やめるか、どちらか迷ったときにやるほうを選択しがちだ、と述べた。そしてトランプは北朝鮮に開戦すると述べた。保守は漸進で行くべきだと云ふ流れのなかでの発言なので、西部さんはトランプ大統領支持なのに、この部分は違ふのかなと思った。
戦争は無いほうがいい。しかし今回は最初から開戦が不可避だ。まづ金正日時代からの約束を破った。次に叔父を殺し、兄を殺した。北朝鮮が公表する写真は、金正雲の周りで軍高官が、作り笑ひをして拍手をするか、指示をメモ書きするだけだ。こんな男に独裁権力を与へたら、世界は大変なことになる。

十二月二日(土)その二文化論
濱村さんが、日本は戦後の七十二年に明治維新後も含めた百五十年間革新を続けてきた。こんな民族はなく異常だったと述べた。この意見には賛成だ。賛成だが、濱村さんは続けて、日本の生活は着物を除いてすべて破壊されてしまったと述べた。これには反対だ。
私が小学校低学年のときと高学年のときは世の中が変はった。これは東京オリンピックとその前から始まった高度経済成長が原因だ。因みに私は高度経済成長の前のほうが世の中がよかったと思ふ。プラザ合意で世の中がかなり西洋化された。
同じやうに今の小学生が大人になったとき世の中が西洋化されたと感じるだらう。つまり西洋化は永遠に続く。これがまづ第一の感想だった。

第二の感想は、長年の環境による遺伝子の選択、気候、言語、社会による相違で、西洋化の外圧を無くせばいつかは元に戻るはずだ、と云ふものだった。犬と猫を室内で飼へば同じやうな生活をする。しかし屋外に放ち野生化すれば、犬はオオカミになり、猫はイリオモテヤマネコになる、と云ひたいがそこまでは無理だ。しかし世代を重ねるにつれてそれにある程度は近付く。この復元力が人間にもある。
もし復元力が無いとすると、日本ははるか昔に西洋化したはずだ。しかし実際には普通選挙を実施しても西欧のやうに保守党と労働党の政権交代は起きず、株主総会や取締役会があっても欧米のやうな社長解任は起きない。
ここで西洋文化が流入してそれが混乱なく日本に適合したのならよい。実際には社会に混乱をもたらす。私が文化保守を主張する理由はここにある。

十二月二日(土)その三価値論
西洋には共通の価値観があるが、東アジアには無い、と云ふ発言もあった。私はこれには反対だ。中国、韓国、日本、ベトナムには儒教道教神道文化圏、或いは漢字文化圏と呼んでも良い共通性がある。
インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアにはバラモン共通圏、或いはサンスクリット・パーリ共通圏と呼んでもがあり、良い共通性がある。そしてバラモンの神々は、中国の道教、日本の神道ともつながる。
スリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、中国、モンゴル、韓国、日本には仏教文化圏がある。
そもそも西洋は、カトリック文化圏、プロテスタント文化圏、ギリシャ正教文化圏、資本主義文化圏、唯物論文化圏の混成であり、それが原因で過去にはたくさんの戦争が起きた。現在の西欧が平穏なのは過去のたくさんの戦争で平衡状態に達したからだ。
そもそも西洋人のやってきたことは地球破壊であり、地球温暖化であり、野生生物撲滅であり、地球滅亡だ。この意味で私は西洋野蛮人と呼ぶこともある。(完)

(歴史の流れの復活を、その三百十三)へ (歴史の流れの復活を、その三百十五)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ