千五十(その三) ベトナム戦争を無駄にしない為には
平成二十九丁酉年
十一月二十六日(日)
ベトナム戦争は、南北総選挙の約束を破ったアメリカ側が悪い。しかし米ソ冷戦が終った後は、あの戦争が無意味だったのではないかと云ふ疑問も出てこよう。まづ先ほども述べたやうに、あの戦争は選挙の約束を破ったアメリカが悪い。その前にフランスがベトナムを再び植民地にしようとしたことも悪い。
次にベトナムは独立を守った。この一言でも十分だ。しかしベトナム共産党が政治を担ふことに対しては、不十分かも知れない。ベトナム戦争での膨大な犠牲者の死を無駄にしないために、ベトナム共産党に助力の言論を為し、有意義だったハノイ旅行への感謝としたい。

十二月二日(土)
ベトナムは先進国(地球を滅ぼす活動が先に進む国)からみると、それほど金持ちではない。しかしそれは化石燃料消費で次世代から搾取するためだ。搾取をやめれば、先進国とベトナムは経済格差がなくなる。
さて次世代からの搾取は、化石燃料の発生エネルギー分だけではない。気象変動による農林水産業への影響、病気、水不足、海面上昇などあらゆる損害を含めれば、現代人類と云ふ悪魔のやうな存在は、次世代からの生存権への膨大な搾取をしてゐることになる。
そればかりではない。地球には人類をはるかに超える野生生物が棲息する。季候が変動すれば、ほとんどの生物は棲息が困難になる。先進国は膨大な野生生物からも搾取をしてゐる。
ベトナム、ラオス、カンボジアは声を大にして、先進国と云ふ悪魔どもに対して化石燃料使用停止を主張する権利がある。

十二月十日(日)
産業革命は、長い目で見れば人類のそれまでの生活に対し大変なことをしてしまった。魚に地上に棲めと云ふやうなものだし、哺乳類に空を飛べと云ふやうなものだ。だから従来の規範が役に立たず、その混乱はベトナム戦争の終結まで続いた。あの戦争はまさに産業革命が生み出した帝国主義との戦ひだった。
その後もイラク、アフガニスタンなどで戦闘が絶へないし、今では地球温暖化で大変なことになった。世界情勢を見ると経済力が軍事力にほぼ比例し、経済力は国民の不満度に反比例する。だからベトナムがASEANに加盟し外資を受け入れることに、心から賛成したい。と同時に資本経済は取り入れても、資本主義と云ふ西洋帝国主義の原因となった思想には打ち勝ったことで、ベトナム戦争の意義は今後も不滅となる。

別の問題で、ベトナムの経済が周囲のASEAN諸国の中で比較的遅れてゐるのは漢字の廃止が原因ではないだらうか。ローマ字表記は短期間に識字率を上げることができる。しかし読み取り、作文力を置きっぱなしにしたままでの識字率だ。戦後の日本は共産主義中国とそれほど仲がよい訳ではないが、漢字を使ひ続けて経済発展した。漢字を廃止すると過去の資産が生きない。今後の検討課題だ。(完)

(その二)(歴史の流れの復活を、その三百十三)へ (歴史の流れの復活を、その三百十五)へ

メニューへ戻る (その二)へ 次へ