20、奨善懲悪の政治


政治の目的は、奨善懲悪にある。戦後の日本は、目的を忘れてしまった。長引く不況も、根本原因は奨善懲悪を忘れたことにある。

1 ワインの税率に見る日本政治の問題点
親や祖父母の代の生活、思考方式を継承することは善、外国の物真似をすることは悪である。昔の生活、思考方式に問題があった場合に、これを改善すること自体は、外国の物真似ではないので悪ではない。
ワインの酒税が日本酒より安いという馬鹿な話がある。日本酒が安くワインが高いのであれば、何の問題もない。なぜ日本酒をこれまで高くしてきたのだろうか。奨悪懲善は国を滅ぼす。日本人は、洋酒ではなく日本酒を飲むべきである。

2 子は鎹(かすがい)
配偶者特別控除の廃止は正しい。共働きの夫婦に不公平だからである。しかし代わりに、子供の特別控除を作るべきである。子は鎹である。夫婦にとってだけではない。社会にとってである。日本社会が崩壊しつつあるのは、子供の比率が少なくなったからだと言っても過言ではない。

3 低公害車優遇税制見直しに思う
低公害自動車の優遇税制を縮小するのだという。低公害車が予想以上に多く、税収の減少を防ぐのだそうだ。税収を確保したいのだったら、低公害車以外の税金を上げたらどうか。あるいは、どんな低公害車でもまったく害がない訳ではないのだから、その分の道路財源を一般会計に回したらどうか。ここでも、奨善懲悪が重要である。

4 官僚は行政のご意見番に
今後一部は是正されるとは言え、今までの日本は、ボーナスの多い人や社宅など福利厚生費の多い人ほど社会保険の負担が少ないという、実に不公平な制度であった。官僚は、これまで何をしていたのか、と言いたい。政治家や圧力団体に対し、「道理に反します」「それでは不公平になります」と言える官僚になってほしいものである。最終判断は議会と行政府が行うのだから、最終決定には従うにしても。

5 日本を駄目にした2つの組織
管理職には労働組合があり、一般社員はない。そんな会社があったら、いびつな人間関係、経済関係となる。そのような会社を国レベルにしたものが日本社会である。日本は、いびつな人間関係、経済関係の国となった。組合員が中流階級に達したとき、労働組合は下層組合員にシフトすべきだった。
武見太郎時代の日本医師会と、いびつな労働組合が、日本を駄目にしたといっても過言ではない。年収600万円以上の人の団結権は、不当徒党行為として禁ずる法律を作っても良い。プロ野球選手会にだけは、このような組織になってほしくないものである。

6 奨善懲悪の税金制度に
親と同居する核家族、社員の満足度の高い会社やワークシェアリングを行う会社、日本式家屋、僧侶妻帯を中止し明治以前に戻ろうとする宗派、国民の道徳心向上に役立つ出版社・テレビ局・プロスポーツ・興行団体の類は、税金を優遇すべきである。アメリカが押しつけた価値観から、日本はそろそろ脱皮する必要がある。アジアには、アジアの価値観がある。

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