私は昨年4月首相官邸に行き、小泉純一郎君に対しソフトウェアの説明をしてきた。
以上の話は、大筋では正しいが多少間違った部分がある。正しくは、昨年4月首相官邸の隣の高層ビルに行き、外資系コンピュータメーカS社のアジア太平洋地域の人たちに対し英語で説明してきた。当初は日本人も2人参加すると聞いていたが行ってみると、驚いたことに行方不明で欠席したため、1人で説明質疑応答を行った。まあ私にとっては日本語も英語も大差ないのでどちらでもかまわないが。 <--そんなに大口をたたいていいのか?
1 日本人の英語
日本で英語ができるできないという話は、聞き取りがネックとなり中学校程度の会話ができるかどうかというレベルに留まる。これは日本人が悪い訳でも何でも無い。日本語と英語が大きく異なっているだけである。白人がいくら日光浴をしても黒人にはなれないし、黒人がいくら皮膚をこすっても白人になれないのと同様である。
ところがやたらと英語に日本人のエネルギーを向わせようとする人たちがいる。英語英語と騒ぐ連中は馬鹿か別の意図を持つかどちらかである。中学校程度の英語の聞き取りで人を判断するようになると、日本人は一億総白痴となろう。
2 金持ち英語
聞き取りがネックとなる以上、金と時間さえあれば誰にでも英語ができるようになる。英語ができると自慢する人がいたら、金持ちの息子、独身貴族、政府の保護下にある企業を疑ったほうがよい。
3 公共企業
政府は日本語保持の模範たるべきである。職安の別名「ハローワーク」はひどい。それなら失業保険はグッドバイワーク保険か、と皮肉を言いたくなる。住宅公団や地方自治体も建物にカタカナ名はつけないでもらいたい。
鉄道の車内英語放送について言えば、政府保護下にある企業の間接部門は、あまり努力を必要としない。こういう連中が暇つぶしに英語の車内録音放送
を導入したと考えられる。
昔、路面電車には話の面白い車掌さんがいてテレビで紹介されたり、紹介されない人でも面白い人がいた。録音放送は人間味がない。先程述べたように、英語英語と騒ぐ連中は馬鹿か別の意図を持つかどちらかである。英語を口実に録音放送を導入し、将来は車掌廃止を狙っているのなら後者である。
4 下りのエスカレータ
昔習った難しい単語を今でも覚えていた経験は誰にでもあろう。しかし、その100倍の単語を実は忘れているのである。私のようにコンピュータを職業とする人は、普段英語を使っていてもコンピュータと無関係の単語は、放射性物質が半減期を目指し次々と崩壊するのと同様、次々と忘却していく。
英語は下りのエスカレータと同じである。常に登らないと下がってしまう。小学生の英語がいかに無駄なのか判る。
5 旅ごころ
ここは心のふるさとか そぞろ詣れば旅ごころ。ある小説家はこう歌った。
英語、英語と騒ぐ人の95%は円高の影響で国内旅行より安く海外に行き、旅心気分で一時的に英語熱に取り付かれただけである。
日本列島のすべての地域は、先祖から受け継いだ地域言葉、気質、習慣を保持し、これを持って他の地域から来た旅行者を魅了すべきである。
例えば京都市議会は、京都言葉を使わないものの居住を禁止する条例を制定すべきである。全国の自治体は職員に東京言葉の使用を禁止すべきである。大企業は、仙台、名古屋、広島、高松、福岡その他各都市に東京で採用した社員を転勤させてはならない。ちなみに各社が横並びに同じ市に支店を設ける必要はない。ある会社は盛岡に支店を置いてもいいし別の会社は青森に置いてもいい。特定の市に偏ると、そこが小東京になってしまう。日本経団連は会員企業に指導してもらいたい。
6 新聞社
新聞には、朝日新聞に限らずどの新聞でもときどき外国かぶれの偏った記事が載る。半年ほど前に朝日新聞を購読したが、世間で騒がれているほど偏っているとは思わない。ところが週1回、教育のページがあり特区を紹介する欄がある。これがほとんど小学生の英語なのである。毎週同じ駄作記事を繰り返して平然としている人の神経が判らない。
さて通信の発達により、海外に記者を常駐させる意義が薄れている。外国かぶれ記者を育成してしまったり、変にエリート意識を持たせない為にも、海外勤務は廃止すべきである。
7 中高年の就職
英語ができれば中高年でも就職先があるだろうと期待する人がいたら、それは大きな間違いである。中高年を採用するところは外資系に限らず離職率が高い。あるアンチウィルスソフトの会社の技術者は「ご存知のように外資系は人の使い方が悪いので、次々に辞めていきますよ」と言っていた。別のソフト会社では日本人の技術部長とアメリカ人の社長が口論となり、怒った部長が部屋を出て行こうとしてそれを追いかけた社長がドアに足を挟み怪我をして騒ぎになった。日本人どうしで話せば何でもない内容だったのであろう。
また、日本国内では許されないような人事政策でも外資系ということで暗黙のうちに労使ともに認めていたりする。とはいえ割増退職金など企業側の負担も大きい。あちこち渡り歩きリストラの度に多額の収入があったという人の話も聞く。これまでは英語のできる人が少なかったが外資系も不景気の日本で利益を上げるため、英語ができる人を安価に欲しくなったのであろう。数年前の突然の英語騒ぎも納得がいく。
8 犠牲になる公益
政治で利害が対立した場合は、公益が犠牲となることが多い。例えば、野党や党内からは反発されたくないが某国の主張も聞かなくてはならない場合に、腹黒い取り巻き連中に「英語を重視しましょう」「雇用保険の給付金に英会話も入れましょう」と言われ、「よし、これなら野党も反対しないだろう。反対派閥にも輸出企業から政治献金が行っているだろう」となる。政治家は絶対に公益を犠牲にしてはならない。
9 海外事情
日本人が世界で一番英語が苦手だという主張は悪質な嘘である。中国人で英語と日本語の両方できるというエンジニアに英語で話して通じたことは一回もない。それでも彼らは英語何級と日本語何級という中国の上位の資格を持っているのである。何より彼らは中国ではエリートである。日本人だけ異質だと洗脳しようとする人は、今式に言っても悪質な国賊であり売国奴である。
10 英語より内容
首相官邸の隣のビルに行き英語で説明してきたという話を聞き、すごいな、と感じた人は全員が、英語で、という部分に感心したのであろう。これは憂慮すべき事態である。すごいかどうかは内容で判断すべきである。まだ
首相官邸の隣のビルで話したことに感心したほうがましである。なぜなら首相官邸の隣ともなれば、警察署や公安調査庁のチェックが入る。そこの企業に説明に行ったとなれば、多少は関心する価値はある。
11 異文化接触
親が長期海外出張となり海外の学校に入学した日本人が、現地の学校に馴染めなかったり、逆に日本に帰ってから日本の学校嫌いになる事例が多い。異文化接触の弊害である。戦前の軍国主義は、アメリカに開国を強制されその後70年に及ぶ異文化接触の結末とも言える。
数年前のドイツ出張の際に、旧東ドイツ地域を旅すると道端にアル中の人が多かったりして東から西になることは大変な混乱を精神に与えるのだと感じた。
江戸時代から明治、戦前から戦後への日本の変化は旧東ドイツから西ドイツの比ではない。ドイツは1つの国だが日本は140年に亘るアメリカ文化流入により、旧東ドイツのアル中の100倍は混乱しているのである。日本人は異文化接触の弊害をもっと真剣に考えるべきである。
12 他人の食べ物は美味しく見える
他人の食べ物は美味しそうに見える。これが人間の心理である。外国は、風景が美しく、住みやすく、人々は親切に見える。しかし先祖代々適応してきた祖国が一番住みやすく、祖国の言葉が一番いいのである。他人の食べ物が美味しく見える心理に対応するためにも、日本はいい国だ、母国語が一番大切だ、と教えることは必要である。日本を除く世界中がそのようにしているのである。英語公用語を叫んだ記者が解任されず平然としていられるのは日本だけである。
13 軽薄な世相
英語を真面目に勉強しようとする人を非難しているのではない。最近は番組名からして英語でしゃべらナイトとか軽薄なものが多すぎる。日本人が今為すべきは軽薄な世相の退治である。英語をどうするかはそれから考えても遅くはない。そのあかつきには私も英語教育はどのようにすべきかを主張する側にいるかも知れないのである。
最初のページへ戻る
前へ
次へ