九百三十三 大相撲をテレビで観戦

平成二十九丁酉年
一月十五日(日)
昨日までに大相撲を三回観た。一回目は初日で天皇様、皇后様が観戦に来られた。入口で頭を下げて出迎へる関係者を見てゐると礼儀度が判る。天皇様が通過してもずっと頭を下げ続ける人は偉い。通過後すぐ頭を上げる人も悪くない。通過中に頭を上げる人はよくない。頭をあげてきょろきょろする人もよくない。
初日の解説は舞の海さんで、これはよかった。今までも向かう正面で解説をされた。口が滑らかだから正解説が最適だ。立会ひだけではなくその後が大切だと話されたのに対し、アナウンサーがしつこく反論みたいなことを質問するのはよくない。アナウンサーは自分では意見を云はず解説者から意見を引き出さなくてはいけない。ましてやしつこくいつまでも繰り返してはいけない。

一月十六日(月)
三回目はさだまさしさんがゲストで来られた。この日の解説は舞の海さんではなかったが、重厚な口ぶりもよいものだ。口滑らかな話し方とは別の良さがある。
足から汗をかく話があった。稽古のときに足から汗をかかないといけない話を聞き、幕内力士は努力の結果なのだと判った。世界中を探せば体力だけで優位になれる人もゐるだらう。さういふ人を集めるのではなく、努力の人の集団でなければいけない。大相撲が外国人を一部屋で一人に限ったのは悪いことではない。
さだまさしさんが、ガッツポーズはよくない、負けた相手に失礼だと話された。同感だ。

一月二十日(金)
横綱の鶴竜が一昨日から休場することになった。左肩の脱臼ださうだ。日馬富士も右脚負傷で既に休場だから、三人中二人の横綱が休場することになった。初日に舞の海さんが、力士は誰もがケガを抱へながら出場すると解説されたが、なるほど出場する各力士が足や腕にサポーターを巻いたりしてゐる。

一月二十一日(土)
数日前に春日山親方が年寄名跡証書を先代から入手できないため廃業した。親方株は過去にも金権、不明瞭として批判の対象になってゐた。親方株ではなく年寄名跡だと呼んでみたところで実態は同じだ。
だいたい日本国籍が無いと年寄になれないこと自体が異常だ。力士にも親方にもなれないと云ふなら判る。力士にはなれて年寄りになれないのは異常だ。過去に年寄り制度を改革しようとして理事長を再任されない人がゐた。
親方は引退力士で希望者は全員なれるやうにして、しかし給料は安くすべきだ。

一月二十二日(日)
昨日は稀勢の里の初優勝が決まった。先場所が準優勝だから、横綱の声もあるが、先場所は星の差が大きかったから千秋楽の結果を見てと云ふ慎重論もある。昇進すれば十九年ぶりの日本人横綱ださうだ。
今場所に限り、テレビで何回も大相撲を観た。まったくの偶然だが時代の大きな変化のときに観ることができた。

一月二十三日(月)
昨日は開場前に動きがあった。千秋楽の結果を待たずに審判部が臨時理事会の開催を要請した。横綱審議会は昨夜、会長が私見と断りながらも反対の人はゐないと語った。千秋楽を待って万一負けたら推挙の機会を逃す。これはよい判断だ。国民の期待を読んだのだらう。
思へば貴花兄弟が横綱になってから、いろいろな事件があった。弟の婚約破棄に始まり兄弟の仲が険悪になりつひに親方の離婚に至った。その反動でモンゴル人横綱に期待が集まった。ところが朝青龍は単に乱暴者だった。白鵬に期待が集まったがこれも朝青龍の真似をした。その反省として日馬富士と鶴竜は悪くないが、白鵬の脇役を超えることができない。多くの国民が日本人横綱に期待するのは当然だ。
序の口と序二段の優勝決定戦と、十両以下の表彰式を観た。 序の口は初々しさが残りよいものだ。序二段もきちんと頭を下げる。そこへ行くと幕内は礼をすると云ふよりは首の体操程度に頭を動かして終了する力士が多い。きちんと礼をしないことが大相撲の人気がかつてほどではないことと、朝青龍、白鵬と云った乱暴者を生んだ。

一月二十六日(木)
日馬富士と鶴竜が良い理由は、年令が高くなって横綱になったこともあるが、朝青龍、白鵬への相撲界の反省だと思ふ。モンゴル人は外観が日本人と変はらない。ハワイ出身力士は見た目が違ふから文化の違ひをよく教へた。朝青龍、白鵬にはそれをせず乱暴者に育ててしまった。その事への反省が日馬富士と鶴竜を生んだ。いはば今後のモンゴル人模範横綱だ。

一月二十七日(金)
表彰式で天皇賜杯、総理大臣表彰のあと、外国からの表彰が続くのにNHKはこれをまったく無視した。指向性のよいマイクを使ふやうになったため、今は表彰の声が聞こえない。アナウンサーと解説者の話だけが続いた。ところがNHKの番になるとアナウンサーが突然、NHK表彰です、と云って話を止めた。私はここでテレビのスヰッチを切った。NHKは裏方に徹するべきだ。それなのに目立ちたがる。NHKは廃局にする以外にない。(完)


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