八百九十五 天皇様が自由にご発言されるのは時期尚早(田原総一朗のやうな人間がゐる限り、ご発言は政治利用される)

平成二十八年丙申
十月二十八日(金)
毎日新聞のホームページに8月26日付けでどうなる日本(4)田原総一朗さん「天皇陛下は一番の護憲派」といふ題の記事が載った。これを見て、天皇様が自由にご発言されると、それを政治利用する連中が出てくると危惧した。
護憲とは憲法に違反してはいけないと云ふ意味だ。ところが、憲法を一字一句変へてはいけないといふ奇妙な意味で用ゐる人たちが出てきた。そんな主張は憲法九十二条に違反する。田原さんの発言で問題なのは次の部分だ。
僕は、天皇陛下は国民の中で一番の「護憲派」と考えている。たとえ、毎日新聞や朝日新聞が改憲派になったとしても、天皇陛下は護憲を貫くと思う。
護憲の正しい意味からすれば、護憲の反対は違憲だ。ところが田原さんは護憲の反対は改憲だと云ふ。しかも天皇様は一番の護憲派だと勝手に決めつける。

十月三十日(日)
天皇様が自由にご発言できるやうになったとしても、政治発言をすればその内容に賛成派と反対派がゐるから国民の象徴のお立場からされるはずはない。たまたま何かのはずみで政治発言をされたとしよう。その場合に国民は「お言葉は国政を思はれるありがたいものですが、政治は国民に課せられた義務ですので、どうか国民にお任せください」と反応しなくてはいけない。万一天皇様のご発言を利用して国会で質問に立つ議員がゐたら、登院停止くらいにしなくてはいけない。
国民はそのやうに反応できるだらうか。今回の田原さんの主張で判るやうに、時期尚早だ。あるいは永久にその時期はこないかも知れない。

十月三十一日(月)
天皇様が退位についてビデオでご発言されるニュースが流れたあと、インターネットを検索すると、改憲に反対されるのではないか、護憲を主張されるのではないかといふ根拠のない期待が幾つも書かれた。このやうな主張をする連中は、自分たちの発言が国の将来に重大な影響を及ぼすことに気付かない。
将来、第九条の廃止を主張する天皇様がご出現されたとき、これらの人たちはどうするつもりなのか。主張は長期で考へなくてはいけない。目先の問題が精一杯の人たちは、発言しないほうがいい。
長い歴史を振り返ると、天皇の後継争ひが何回もあった。後継にはご自分の子を指名したいし、兄弟は機会があれば互いに自分が後継になりたい。天皇様も人の子だ。私情を交へた希望を持たれることもある。一方で政治は国民の義務だ。権利ではない。義務を天皇様に押し付けてはいけない。(完)


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