八百六十二 日本に労働組合は要らない、一つの例外を除いて

平成二十八年丙申
七月三十日(土) 労働組合があることによる弊害
日本ではユニオンショップ制の民間大手と、公務員など倒産の心配のない産業を除いて、労働組合の組織率が極めて低い。その原因は労働組合が日本に合はないためだ。
従業員の不当解雇や退職勧奨など悪質な労務政策の会社を除き、日本に労働組合は不要だ。不要なだけではない。非正規雇用の格差拡大は大企業労組の責任だ。憲法を改正のときは、どのような労働組合が必要なのかと、不要な労働組合を規制できるやう十分に検討する必要がある。

八月一日(月) 職能別或いは総資本対総労働のどちらかにすべきだ
日本の労働組合をまともにするには、欧州のように職能別に再編するか、或いはかつての総評のように総資本対総労働の対決にするか、どちらかしかない。後者の場合、民間の大手組合はほとんどが同盟や中立労連に流れた。これは必要なところに労組が無く、不要なところに労組が有ることが原因で、企業別労組は新陳代謝が行なはれないことが原因だ。
だから後者ができない理由も前者に帰する。すべての原因は企業別労組にあった。

八月七日(日) 労働者代表
日本では労働法を制定や改正するときに、大企業労組の意見のみが反映される。だからとんでもないことになる。過半数の労働者が加入する労組のないときは、36協定で労働者の過半数を代表する人が調印することになる。これまでは36協定だけだから、誰が選出されてもそれほど問題はなかった。残業をさせれば会社は残業手当を払はなければいけないため抑止力になるからだ。
ところが高年齢者雇用安定法は曲者だ。労働者代表は普通は会社が指名する。だから大変な協定にうっかり調印してしまふ。
これは実際に或るソフトウェア会社であった話だが、今年の五月までは、普通に勤務してゐれば定年後は給料が半分に減るものの六五歳まで仕事があるはずだった。仕事内容も定年前と同じはずだった。ところが突然五月末に再雇用規則の変更が発表され、仕事内容と賃金は毎年会社が提案し、八時間勤務かパートタイムかも会社が提案し、過去に懲戒処分を受けた者は六十二歳で終了と説明があった。
労働側は、施行時点で労使協定は無かったし労使協定のあることが発表されてもゐなかったこと、過去に懲戒処分を受けた者を入れたのは特定の人間を排除するためだ(判例で無効)を発言した。なぜ六十二歳で終了といふ内容が含まれるかと云へば、法律で六十二歳までは無条件で再雇用が義務付けられ、六十三歳以上は法律施行時点で労使協定がある場合はそれに従ふことが法律にあるからだ。
六月に入り変更された再雇用規定と同じ内容の労使協定が発表になった。この件は労使交渉の結果、円満解決したが、どこが問題かと云へば、36協定の労働者代表はこの人でどうかと会社が全員に提案する。別に異議はないからそのまま36協定の労働者代表に選ばれる。その人は若いから高年齢者雇用安定法とは無関係だ(労使協定は平成三十七年までの経過処置)。現時点で五十六歳以下の人は関係ない。そして高年齢者雇用安定法の労使協定に調印してしまふ。
実はこの件はソフトウェア会社に限らず、あらゆる産業で大問題になってゐる。本来、労働者代表は労働者意見交換会を開き皆の意見を聞かなくてはいけない。しかし法律にそのやうな規定はないから、会社から云はれるままに調印してしまふ。
なぜ高年齢者雇用安定法はこんなに悪法なのかと云へば、大企業労組の意見を聴いて国会に提出するから、労働組合の無い企業の実態が分からない。こんな抜け道があることすら分からない。私が、労働組合は総資本対総労働にしなくてはいけないと、常に主張する理由はここにある。(完)


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