七百八十六 最近のニュースから(1.国本武春師の死去、2.共産党が国会開会式に出席を発表)

平成二十七乙未
十二月二十五日(金) 国本武春師の死去
浪曲師の国本武春師が死去した(落語は師匠、講談は先生と呼ぶが、浪曲師の敬称は何なのか不明だ。弟子や生徒ではないのに師匠、先生と呼ぶのは変だからこれまで師と呼んできた)。私は今までに浅草木馬亭に三回見に行つた。三回目は国本武春師が出演するので、休暇を取つた。この当時から武春師は売れつ子だから土日は出演せず、平日の出演だつた。
木馬亭は浪曲の定席だから武春師は通常の演者で、楽師が別に付いた。しかしテレビやホールでは、三味線の弾き語りをする。或いはバンドと共演することもある。とにかく多才だつた。そして話も臨機応変に変化ができる人で面白かつた。
私が木馬亭で観た翌年、武春師は大病で入院。医師から「社会復帰は難しい」と云はれたが奇跡的に回復した。その後の公演は観てゐないが、今回脳内出血で倒れた。惜しい人を亡くした。芸能人で惜しい人を亡くしたと感じたのは、灰田勝彦、藤山一郎に次いで三人目だ。灰田勝彦はハワイ生まれでありながら、終戦後も日本で活躍した。藤山一郎は戦後も国民歌手を続けた。そして国本武春は浪曲の良さを消すことなく、新しい試みを続けた。

十二月二十七日(日) 共産党が国会開会式に出席を発表
共産党が国会開会式に出席することを発表した。これは良いことだが、その理由がシロアリ民主党と共闘することだとすれば、それは間違つてゐる。共産党は記者会見で、ここ三十年ほど天皇のお言葉が、儀礼的、形式的なものとして定着したことを挙げ、他党との共闘が目的ではないと述べた。
だとすれば逆の方向で期待したい。保守、新自由主義、労働と三つの勢力のなかで、労働は時に応じて保守とも新自由主義とも共闘できなくてはいけない。特に消費税増税騒ぎ以降は新自由主義勢力の悪質さが目立つ。開会式に出席することで保守と将来の共闘を期待したい。

十二月二十七日(日)その二 「演芸図鑑 国本武春さんをしのんで」
今年の三月だらうか。日曜の朝五時十五分からNHKで演芸図鑑といふ番組があり、国本武春師がナビゲータを務める。見ようと思つたが、本人が演じる訳ではないので見逃してしまつた。その演芸図鑑で今朝、「国本武春さんをしのんで」と題して特別番組を放送した。ナビゲータ無しで、武春師が「紺屋高尾」「佐倉義民伝 -甚兵衛渡し-」を演じた。改めて惜しい人を亡くしたと思つた。(完)


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