七百六、1.一寸の虫にも五分の魂、人間にも五分の魂、2.朝顔日誌

平成二十七乙未
五月二十二日(金) 大きな蜂
月曜のことである。夜、家に帰ると玄関の前に大きな蜂が飛んでゐる。無視して家に入つた。暫くして町内会費を集めに来たので払つた。二時間以上経つただらうか。ずぼんのすねの辺りでごそつと動く気配があつたので上から軽く叩いた。ズボンをまくつたが何もゐない。ももの部分でまたごそつと動くので今度は強く叩きずぼんの内側を調べるとさきほどの蜂が死んでゐた。最初に叩いたあとで逃げれば無事だつたのに、或いは最初叩いたときもう駄目だつたかと考へた。
翌日インターネットで調べると、アカウシアブ、シオヤアブ、スズメガなどもある。ハチではないかも知れない。スズメバチは有害だから死んでも仕方がない。しかしハチではないなら一寸の虫にも五分の魂である。可愛さうなことをした。上座部仏教の僧侶は蚊が来たときに水で薄めた弱い殺虫剤を使ふ。殺さないためである。私は信者ではあつても僧侶ではないから蚊やスズメバチのように有害なものを駆除するのは仕方がないと思ふ。しかし無害な虫は可愛さうである。

五月二十三日(土) 余禄(柏学園の話)
私が最初に人間による虫への被害を今でも覚えてゐるのは小学校五年と六年柏学園である。野田の醤油工場を見学した後に文京区立の柏学園に二泊三日で宿泊した。大きなグランドがあり競技に参加しない時間は脇の草地で休んだ。あるときびつこの虫がゐた。人間に踏まれたのかも知れない。人間が活動をすると虫が被害を受ける。当時は学園の周辺は農地だつた。ホームページを調べると昭和二十一年に開設。昭和40年に改築。私が宿泊したのは新築されて間もなくだつた。建物がきれいで、しかし廊下が間接照明で暗かつた。宿泊定員は200人、床面積は3,888平方メートル(3階建)、敷地は38,143平方メートル。記録した理由は園舎等の老朽化や、柏市周辺の都市化、福島第一原子力発電所の事故などで平成二十五年に閉鎖された。検討委員会の資料によると
千葉県柏市の郊外にある区立柏学園で、都会から離れ、田園や林に囲まれた環境の中で、自然観察、地域社会の生活や文化に関する学習、自然を対象とした造形的学習などの望ましい学習経験を得る」ことや「宿泊を伴う規律ある生活を共にすることを通して、児童相互の人間関係を深めるとともに基本的な学習の育成を図る」ことをねらいとして、昭和23年から始まり、現在に至っている。柏学園は、昭和40年に改築された近代的な鉄筋の施設となり、昭和53年4月に屋内体育館が完成した。実施対象は小学校第4学年・第5学年で、2泊3日で実施している。

しかし
開所当初から現在に至るまで、柏及び柏学園をめぐる環境が著しく変化してきていることも事実である。例えば、かつては付帯設備であった広大な総合グラウンドを活用し、学校の狭い校庭では経験できない様々なスポーツ体験を計画に組み入れることにより、豊かな運動経験を積ませることができていたが、平成19年度からグラウンドの閉鎖に伴い、スポーツ体験の計画については断念せざるを得なかった。また、柏学園一帯の都市化が進む中で、今後も引き続き自然体験を行う場所として設定していくことが適切であるかどうかという問題もある。かつては、学園近郊で農業体験も行ってきたが現在は実施される環境にはない。

かつて野鳥、昆虫、その他の動物の棲み家であつた柏学園の周囲は消滅してしまつた。

五月二十四日(日) 朝顔に、時間取られて、もらひ傷
先週の日曜に朝顔の種を蒔(ま)いた。朝晩水をやつても芽が出ない。心配したが数日経って少し出た。数日して更に増えたといふことで毎日水をやるうちに双葉が十幾つに増えた。水をやると同時に雑草を抜くようになつた。雑草の中に根の深いものが一つだけある。根は抜けないから土の位置から抜く。これまではうまく行つたのに数日前から指に傷がつくようになつた。抜いても抜いても毎日出てくるから指の皮膚が薄くなつたのかも知れない。抜く器具があるのでこれを用いてみた。茎を引つ掛けてくぎ抜きみたいにするのだが土が掘られて茎は残る。ベニヤ板を土に敷いてそこでやらないと駄目かも知れない。次にはさみで茎を切ることにした。指に傷がつくのは防げるがはさみに土が付くばかりか、それほど効率的ではない。
朝顔を蒔いたのは50平米だが、庭全体の草刈を毎日するよい機会になつた。庭には虫が居ることにも気付いた。以前、ベランダで使つた木の柱を撤去した。外側の白いペンキが次々と剥げるためである。柱の下に土を掘り長さ10cmで太さが5mmくらいのみみずととかげの中間みたいな虫がゐた。逃げずにじつとしてゐる。木の下の真つ暗ななかで寝てゐるのかよく判らなかつた。

五月二十八日(木) 昨日は七行
昨日まで根を取ることにこだはつた。土は削れるし時間は掛かる。といふことで昨日は七行しか書く時間がなかつた。それも一昨日の補足である。といふことで日付けが二日分になつてしまつた。さうしないと昨日分がないからである。昨日の後半から根を掘る器具で茎を切ることにした。根は残るが茎は除去できる。兵糧攻めである。葉を即日獲れば炭酸同化作用ができずいずれ草は枯れる。本日も「短歌」「自由詩が未平衡な時代」「法華経と定型詩」と併せて八行になつてしまつた。

五月三十日(土) 雑草は笹では
雑草はインターネットで検索してみて、葉の形からスイバ(酸葉)かと思つた。これなら食用にできるかと期待したが花が違ふ。次にオヒシバではないかと考へた。これも何となく違ふ。今ではササに落ち着いた。根が30cmと深い。毎日水やりと草刈りに掛かる時間を合計すれば大変な時間になる。しかし雑草を溜めてから刈るのは大変だが毎日行ふと楽である。何より健康によい。自然観察もできる。
昔は郊外の家はどこも庭があり植木があつた。今はコンクリートで固めて駐車場にする家が多い。これだと昆虫が住めない。雨が地中に浸み込まない。建ぺい率は土のあるところだけで参入すべきだ。地球温暖化の時代に自家用車は不要だ。健康のためにも庭の手入れを毎日すべきだ。(完)


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