六百九十、1.テレビ電波は公共物だ(テレビで高収入の人間を許すな)、2.NHK教育テレビの二つの番組を観て

平成二十七乙未
四月十九日(日) テレビ電波は公共物だ
昨年か一昨年の正月にテレビを見て、林家木久扇といふのは本当に馬鹿な落語屋だと思つた。前に木久扇は馬鹿のふりをしてゐるが本当は頭がいいと書いたことがある。そのときと180度の旋回である。旋回した理由は前回はアシストフォーラムといふビル・トッテン氏が社長(現会長)の会社の催しだつたし話自体も面白かつた。それに比べて正月のテレビは公共の電波を使ひながら実にくだらなかつた。
テレビ電波は公共物である。くだらぬ人間は出演させてはいけない。テレビ局の従業員が高給をもらつてもいけない。NHKは民営化すべきだ。そしてテレビ電波税を大幅に上げて、五年に一回は撤退する民放と新規参入する民放が出るようにすべきだ。

四月十九日(日)その二 サイエンスZERO
昨日の昼に、EテレのサイエンスZEROといふ番組を見た。これはよくない番組である。テレビは出演者が目立つように作る場合と目立たないように作らなくてはいけない場合がある。サイエンスZEROは後者である。ところがサイエンス作家を自称する人と女優がやたらと目立つ。女優は演技力で勝負すべきだ。ふざけた話し方ではない。「エコな水素社会は実現するか?」といふ題が目に入りテレビのスイッチを入れたのに二人がやたらと目立つし、画面が切り替はるとき動画のデザインがやたらと出てくる。正月の番組で指を広げると次の画面が出てくるといふ悪趣味な画面切り替へと発想が同じである。話し方も普通に話せばよいのにやたらと変な話し方をする。民放だつたら短期で放送打ち切りだし、テレビではない講演会だつたら二回目から聴衆は激減だらう。
内容に移ると、燃料電池車は水以外放出しない。ここで感心してはいけない。燃料の水素を作るときにエネルギーを消費する、つまり二酸化炭素を放出する。その話は九州大学教授が登場し、やつとまともになつてからである。次に下水処理場の汚泥を発酵させて取り出したメタンから作る話になり、これは良かつた。ここで女優が家畜の糞と不用意に言葉をはさみ、これで予め話を知つてゐながら知らないふりをしてゐたことが判つてしまふ。最後に水の電気分解の話になるが、ここで太陽電池を用いた場合、地球から反射で宇宙に戻るべき光線を吸収するからそれを太陽電池で吸収すると地球温暖化にならないか、場所が無駄になるからその分の植物が減少しないかなども論じるべきだ。サイエンス作家にしてはお粗末である。
NHK教育テレビは教育テレビである。Eテレと変な改名をするからかう云ふ密度の低い番組が出現する。電波の無駄遣ひである。

四月十九日(日)その二 日本仏教の夜明け
朝五時にYahooのテレビ欄を見るとこころの時代 シリーズ 日本仏教のあゆみ〜信と行〜 第一回「日本仏教の夜明け」とあるのを発見した。すぐテレビを点けると最初の部分は観ることができなかつたが、法華義疏は当時かなり知識のある人が書いたから聖徳太子の作ではないかといふことで話が進むところだつた。X経では山奥で座禅するといふ部分を、法華義疏は別の解釈を採り、これは都市と山奥を分けること自体が二分で空の概念に反するといふ説明があつた。
奈良時代に入ると南都六宗となり、このうち三つの宗について解説があつた。五識の下に意識がありその下に末那識(まなしき)があり、更にその下に阿頼耶識(あらやしき)がある。解説を聞き末那識は堕落する本能、阿頼耶識は自己に執着する心。私はそのように理解した。25年近く前から末那識と阿頼耶識の話は聞いてきたが、今回初めて理解できた。律宗は各宗の律を研究するが特に四分律。解説は竹村牧男氏、聞き手は草柳隆三氏である。かう云ふ番組なら大歓迎である。
今までこのような良質な番組に気付かなかつたのは、新聞のテレビ欄で5時代は6時代と同じ欄に5時こころの時代・NHK短歌とまとめて書くからだ。NHK短歌は6時からである。こころの時代だけだと見ない。(第二回へ)

四月十九日(日)その三 禅僧ティク・ナット・ハン 第二回「ひとりひとりがブッダとなる」
昨日、午後一時五分から「花燃ゆ」を観るためスイッチを入れたら午後一時から禅僧ティク・ナット・ハン 第二回「ひとりひとりがブッダとなる」を途中から二分間だけ見た。ベトナムの有名な僧侶ださうだ。英語で水は蒸発して空に上り雨となつたり飲めば体に入るといふ話だつた。ベトナムは私の好きな国の一つである。それどころかベトナム人僧侶に書いて頂いた「佛縁」といふ色紙を額に入れて家に飾つてある。だからベトナム僧の話は大歓迎のはずなのにこの僧侶の話を聞いて何か偽善といふ直感がした。
或いは偏向マスコミに載ると良心的な人まで偽善になつてしまふことがある。それかも知れないといふことでインターネットで同師を調べた。なるほど有名といふのは西洋人に有名なのである。西洋人に有名になるのと祖国で高名なのは違ふ。同師はベトナム戦争の最中に欧米に行き南ベトナム政府から帰国禁止になつた。南北ベトナム統一後は帰国の機会が幾らでもあつたと思ふが欧米で活動を続けて現在に至る。
アメリカや欧州で政府要人や他宗教の高僧に会つたりすると地道に地元で修行する僧より偉くなつたつもりになる人が多い。同師がそれに該当するかどうかは不明である。
同師は海外在住ベトナム人の間ではタイ(先生)と呼ばれる。なるほど私も二十二年前に仏教の雑誌でタイの話を一回だけ読んだことがある。

四月二十三日(木) 一億総白痴
テレビが出だしたころ、一億総白痴といふ言葉が流行した。それでも当時はまだ出演者が真剣だつた。その後、アナウンサー崩れやふざけた話し方が出てきた。今回のサイエンスZEROについてはサイエンス作家崩れと女優崩れが出演した。テレビの仕組みはテレビカメラの前で写したものが全国のテレビで映る。それだけのことだ。それなのにテレビカメラの前にゐるものが特権意識や尊大な意識を持つに至つた。
NHKは民営化し、民放に付いては常に撤退と参入が起こる金額まで電波税を増税する。はやく行はないと本当に一億総白痴になつてしまふ。(完)


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