六百三十一、地球を滅ぼすのは1.「資本主義」、2.「資本主義の堕落したもの」のうちどちらか

平成二十六甲午
十一月三日(月) 動的社会科学
四年前に動的社会科学のすすめで書いたが、人間は堕落しやすい動物である。 生物の中で堕落するのは人間だけである。別の言ひ方をすれば他の動物は堕落が平衡点に達しそれ以上に堕落 しないが、人間は意識があるから堕落が平衡点に達しないともいへる。そのようななかで、資本主義が地球を滅ぼさう としてゐる。悪いのは資本主義か、それとも資本主義の堕落したものか、それを考えてみよう。

十一月十五日(土) 戦前の経済
西洋のことは判らない。だから日本の場合を考へると、西洋の圧力で開国し西洋がアジアのほとんどを植民地にした以上、 明治政府には植民地化を避けるといふ大目的があり、資本主義はよい制度だつたに相違ない。しかし戦前は財閥が 経済を支配した。だから資本主義は善、財閥は悪といふ図式ができた。農村も同じで地主は悪、小作人は善である。
地主が生じたのは明治維新とその後の混乱に乗じた。それは財閥も同じで明治維新とその後の混乱に乗じた。

十一月二十三日(日) 戦後の三十年
戦後の最初の三十年間はよい時代だつた。それは財閥が解体され農地改革もあつた。物言はぬ株主の存在は大きいが、 これはほとんどの企業が利益を上げたからだつた。つまり経済成長の分け前が、財閥を乗つ取つたサラリーマン経営者と 多くの国民が行き渡つた結果だつた。
本来はここで、この状態は不完全な社会主義であり、不完全な社会主義は一番利益を上げやすいと書くはずだつた。この 社会主義は不完全であり誰でも入れる訳ではない。そして企業が倒産したら終りである。だから皆が一所懸命に働く。しかも 周囲に合はせることが出世の秘訣とばかり皆が長時間残業をやる。私が終身雇用制は奴隷制と同じだと主張するのはこれが 理由である。
しかし水野和夫氏の講演を聴いた後なので、なるほどあの時期が終焉する前の資本主義 なのかと思ふこともできる。

十一月三十日(日) 株主から良心を奪う
資本主義の特徴は株主から良心を奪ひ配当だけに関心を向けさせるところにある。さうである以上、資本主義を続けては いけない。地球温暖化を防ぐには化石燃料の消費を停止させることだ。昭和三十年代に戻ることだから不可能ではない。 ところが資本主義はこんな簡単なことができない。悪魔の思想である。(完)


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