六百三十、学園祭巡り(1.野生動物を守る、2.二分間で話す能力を身につけよう)

平成二十六甲午
十一月三日(月) 九つの大学・学部・その他の学園祭に参加
学園祭の季節である。今年は上の子の大学学部と、下の子の滑り止めになるか調べる大学学部と、双方に関連した 別大学別学部その他便乗してあちこち見に行つたら九つになつた。一つの敷地に複数の学部が開催する場合もあるが ずいぶん多い。九つに今回の企画とは別に訪問した鶴見大学の二学部があるから十一大学学部である。その内容を 記し、併せて野生生物を守らう。これは或る大学学部で象牙を採る為に象を殺害し鼻を切り取られた写真、パーム油を 生産するため熱帯林がほとんど消滅しゾウやオランウータンが滅亡の危機にあることを見たからである。

十一月四日(火) 或る都内の大学
或る都内の大学は昼前後に敷地内の基幹通りが通行困難になるほど混雑した。ここも模擬店で部活動の費用稼ぎかと 暗い気持ちになつた。建物内も喫茶店や輪投げゲームだのと有料のものが多い。しかし夕方になり混雑が一段落すると 良好な催しに出会つた。或る教授が発表した東北大震災で津波被害にあつた地域に昔からの種類の樹木を植林する といふものである。南インドのドラビタ族の風習と日本の農漁村の共通点、現地の人たちと信頼関係を築くには地元の 習慣を尊重する姿勢が大切だ。さう云ふ話があつた。
農漁村ばかりではない。今の日本が住み難いのは西洋猿真似を国内に輸入するだけの連中が多いからだ。日本の習慣 を尊重し、日本の知識で日本の現状を分析し日本の頭脳で対策を考へる。そのことが重要である。

十一月六日(木) 別の大学
別の大学は学科に関連したサークルが多数あり、それぞれが展示してこれは良質だつた。良質ではあるが個別に説明を 聞くと、展示を目で追つたほうが早いものが二つあつた。十程度聞いたなかの二つだから極めて少ない。学科によつて 偏差値に差が大きく、二つとも偏差値の低い学科だつたが、私は偏差値による差別を認めない。電話番号の合計で順番 に並べるようなものだ。そんなことはないといふ人がゐるだらうから一言述べると、偏差値といふのは親が小学校から如何 に塾にカネを使つたか、単純な勉強をすることにどれだけ鈍感でゐられるか、西洋野蛮人の考へた教育方法にどれだけ 適応するか、の三つで決まる。だからこの状態を解消することですべての人が社会で役に立つ方策を考へよう。
まづ説明は簡単かつ短時間でなくてはいけない。今回は或る実験をやつてその結果どうなつたといふものだから簡単に 話せば二分間で終る。それをやり方はかうで材料はどうでと話すから長くなる。展示に目を向ければ聞こえてくる説明より 目が先に読んでしまふ。展示の内容をのろのろ説明したのでは退屈である。相手の反応を見ながら話さなくてはいけない。
偏差値の低い人にそんなことができるかと思ふ人もゐよう。しかし偏差値の高い人にもこの種の人は多い。十五年前に私の 勤務する会社の営業部員から顧客になるかどうか判らないがその人が行くからと連絡があつた。来るなり通産省(当時)の 審議会の名簿を取り出して部会長にある自分の名前を指さした。そしていろいろ私に質問をした。しかし私はこれほど話を して不愉快に思ふ人に今まで会つたことがない。何か質問をするから答へようとするとすぐ話の腰を折る。あまりにひどい ので「今の質問は丁度話してゐる最中だつたのですが」とか「それは今、話してゐる最中だつたのですが」と話を妨害して ゐることをさかんに指摘するのだがまつたく気が付かない。もし私が短気だつたら「なぜいちいち話の腰を折るのか」と資料 を机にたたきつけて怒鳴るだらう。しかし私はかういふ人と話すことは時間の無駄だと思つからた話を終らせて帰つて もらつた。後日その人から電話があつたがお断りした。自称偏差値詐欺男、ではなかつた自称高偏差値男とはこの程度である。

十一月七日(金) 一分でも二分でも任意の時間で話せなくてはいけない
コンピュータの授業をしてゐて二分余つたとしよう。スーパーコンピュータにはCPU方式とGPU方式があることを話して、「京」 はCPU方式だ、東京工大の「TSUBAME」といふスーパーコンピュータはGPU方式だ、「京」は三年前は一位だつたが今年は 四位だ。これを二分で話す。
或いは、人間で言へば頭脳に当るのがパソコンではCPUで30年前にはインテルとモトローラがシェアを争つた。インテルは 電卓用の部品で機能が低くモトローラは大きなコンピュータを小さくしたもので性能が高かつた。ところがインテルが勝つた。 その理由はインテルは上位互換を考慮した。この話なら一分でも話せる。
私は昔から一分や二分で話すことが得意だつた訳ではない。授業で一分や二分時間が余つたときにまつたく準備をしては ゐなかつたが、これらの話をするうちなかなかよいと気付いた。これ以外にもコマンドプロンプトのtreeコマンドの話、ping コマンドの話、Windowsとマルチタスク、昔のPCはDMAを搭載しなかつたから音楽のリズムが乱れたなど任意の時間に 話せる内容は幾らでも見つかる。私の場合はその場で瞬時に見つけることから始めたが、最初は準備をしてもよい。
この能力を身につけて世間の大学、学部の評価を覆し、社会で役に立つてほしい。

十一月八日(土) 象の保護センター
或る学園祭でタイの象保護センターの話があつた。親とはぐれた野生の子象を保護するセンターかと思つたが、さうではなく サーカスなど飼育してきた象が処分される前に引き取つて飼育するさうだ。これだと野生ではないから、タイに行くよりは国内の 動物園で身近に観たほうが費用がかからず今後はよいだらう。もちろん最初の一回は見に行く価値がある。さういふものがある ことを知つただけでも重要である。
費用は欧米人からの寄付が多いさうだ。欧米人のほとんどは善人である。しかし西洋思想全体では地球を滅ぼす。そこを間違へ ないようにする必要がある。

十一月九日(日) パーム油
パーム油の大量消費でインドネシアとマレーシアの熱帯雨林が絶滅状態にある。熱帯雨林が消滅するとそこに棲息する象や オランウータンや多数の野生生物が死滅する。それを防ぐため熱帯雨林一畳分の二百円を募金した。しかしこれだけでは不十分 である。西洋文明の大量資源消費社会を中止させなくてはいけない。それほど難しい話ではない。昭和三十年代に戻るだけである。
日本の大学教育は西洋の猿真似を止めて、西洋の地球破壊文明の代案を提案する必要がある。今年の学園祭を十一大学・学部を 見て廻つてさう感じた。(完)


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