五百二十四、外国人居住者の多い街を訪問
平成25年
十二月二十九日(日)「日経ビジネスの記事」
横浜と大和市の市境にある神奈川県立いちょう団地はカンボジア、ベトナム、中国、中南米など外国人が二割を占める。しかも居住する日本人は高齢化が進んだため地元の横浜市立の小学校では外国人の比率が八割ださうだ。日本語の苦手な児童に日本語を教える特別授業もあるさうだ。これはよいことだ。船橋洋一ではあるまいし移民が増へるから英語を使へといふ主張には絶対に反対しなくてはいけない。また子供が学校で日本のマナーを学ぶため親の生活マナーもよくなるさうだ。これもよいことである。残念なことに児童数減少のため隣の小学校と合併になるさうだ。
いちょう団地を一回訪問したいものだがインターネットで調べるとそれ以外にも外国人比率の高い団地が首都圏に二つあり、そのうちの川口芝園団地は中国人の比率が25%ださうだ。この団地は六年前に農業用水を調べにすぐ横まで行つたがそのときは気が付かなかつた。
一月二日(木)「大久保、高田馬場」
実家に帰省の途中にまづ大久保に寄つた。私は通常は新宿西口から線路の西側を大久保駅方面に歩く。タイ料理店が多い印象を受ける。インターネツトで調べるとこの辺りはタイ料理、線路の東側は韓国料理店が多いさうだ。といふことで今回は歌舞伎町側から新大久保駅方面に歩いた。確かに韓国料理店があるが十店程度で多いといふほどではなかつた。
大久保に到着の後は高田馬場に向つた。以前は線路の東側は行き止まりだつたが道路が開通して通れるようになつた。数年前に高田馬場はリトルヤンゴンと呼ばれるとインターネットにあつたので訪れたときは早稲田通りから明治通りまで歩いてミャンマー料理店が数店ある程度だつた。今回は予め調べてあつたのでミャンマー人の協会、今は消滅したミャンマー料理通り、ミャンマー料理の食材店などを見た。ミャンマー人の協会は私がよく出入りする仏教寺院とは異なりビルの狭い一室だけだが年末で呼び鈴を押しても誰も出なかつた。クリスマスのポスターが張つてあるので仏教系とは違ふのかとも思つたが既に終つた増上寺でのミャンマーフェスティバルのポスターも張つてあり私はこのフェスティバルは予定が重なり参加しなかつたからよくは判らない。ミャンマー食材店では酒類があれば購入しようと思つたがなかつたので見るだけで終つた。
一月二日(木)その二「芝園団地」
実家に行くのに通常は南浦和で降りるが今回は一つ手前の蕨駅で降りて芝園団地に向つた。芝園ハイツと書かれてゐるので団地名が変つたのかと思ひながら奥に向つて判明した。今まで芝園団地だと思つたうちの蕨駅に近い団地は芝園ハイツといふ別のものだつた。
芝園団地に着くとなるほど張り紙に日本語と中国語が併記されたものがあちこちにある。芝園団地に住む中国人はほとんどが大卒、修士、博士で高学歴である。それでも庭で大声を出すな、つばを吐くな、小便をするななどが日本語と中国語で書かれてゐる。若い人達は中国人はけしからぬと短絡して考へるかも知れないが、日本も昭和四十年代くらいまでは同じだつた。昭和三十年代後半に始まつた高度経済成長で日本の場合は徐々に変つた。
アジアの各国は今その途上にあるのだから多少は大目に見るべきだし一方でここは日本なのだから日本の実情に合はせるよう教へるべきだ。居住者は日本語が判るから貼り紙は親や親戚が中国から旅行で来た場合用かも知れない。
商店街がニーハオ祭りだつたか催しを行ふなど中国人がうまく日本に溶け込んでゐる印象を持つた。中国食材店があり入つてみた。店のばあさんが中国語で客と話した。紹興酒が安いので買はうかと思つたが年末年始はお屠蘇を飲むから思ひ留まつた。昼食の時間なので普通のスーパー(マミーマート芝園店)で弁当(12品目具だくさんちらしずし)298円とお茶(マミープラス緑茶)58円を買つて団地の広場のベンチで食べた。
一月三日(金)「東アジアの共通語を」
団地の案内図に日本語と中国語が書かれてゐるがこれはやり過ぎである。大声を出すななどは即効性を狙つて中国語で書くこともあり得る。しかし案内図は日本語で何ら問題ない。「広場」と「广場(場も略すがこれはEUCやシフトJISでは表示できない)」を並べて書く必要はない。だうしても書くなら「広場」「廣場」と書くべきだ。廣は正字体だから東アジア共通だしここは日本だから広もよい。しかし广は日本には合わない。
日本語にも改善点はある。変なカタカナ語を用いるべきではない。これを日中韓越が共通で読める漢字で書くべきだ。今は韓国朝鮮とベトナムは漢字を使はないがこれは非効率である。日本語の「Kyouwa kinyoubide sanganitino mikkamedesu」を読む手間を考へればよく判る。しかし一旦安易な方法を採用するとなかなか元には戻せない。漢字読取装置の開発が必要な理由である。
今の中国語は現代口語だから日韓越に漢文が入つた時代を東アジア共通語にすべきだ。丁度今の中国語はイタリア語、漢文はラテン語のような位置付けである。これでどこの国にとつても母国語ではないから公平である。しかも読み方は自由にする。中国のように四声をつけて発音する国もあれば日本のように返り点を付けて訓読みする国もある。これで何処の国にとつても習得が容易である。
一月四日(土)「民間が安心して賃貸できる制度を」
芝園団地に中国人居住者が多いからといつて首都圏全体に多い訳ではない。民間では外国人に賃貸しない物件が多い。家主の立場は判る。家賃を滞納して帰国したらだうするかだとかゴミの出し方など日本と習慣が異なるから回りの人達と良好に生活できるかなど心配になる。そこで公営団地などに集まるようになつた。
日本人がプラザ合意以降ぜいたくになつたといふ理由もある。或る団地では洗濯機の排水ホースは風呂場に流すが三十年前なら普通だつた。しかし今では日本人には嫌はれるようになつた。
私は四年ほど前に短期で来日した中国人技術者のアパートを契約したり室内の電灯を買つて来て取り付けたり、ガス、水道の開通に立ち会つたり、帰国した後のアパートを不動産会社に引き渡したりする仕事も一年ほど手伝つたことがある。勤務先が賃貸契約し給料から家賃を天引きするのは一つの方法だが、中長期の技術者のなかには転職を希望する人も出てくるだらう。国ごとに外国人居住者保険を設けて家主を安心させるなどの対策が必要である。
外国人にもいろいろな人がゐるから注意は必要である。為替レートの関係で一儲けしようとする人が出てもおかしくない。
インターネットで検索して気になるのだが、中国人や韓国人を蔑視するページが多い。日本語のできる外国人は基本的に親日派或いは知日派である。日本語を全く話さない欧米人はちやほやするくせに日本語の話せるアジア人を蔑視するようなことはあつてはならない。(完)
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