四百二十七(乙)、江戸川区宿泊記(労働弁護団事務局長佐々木弁護士の講演)


平成25年
六月三日(月)「経済同友会批判」
2000年前後に三年連続でオルグ塾が開かれた。その後連合に加盟するかだうかで意見が分かれ、まう1つ別の組織を作り希望組合は二重加盟で対処した。その組織が活動者向けの講習会を開催し始めたためオルグ塾は廃止になつた。しかし数年前の分裂騒ぎがきつかけにほとんどの労組が脱退した。そのため昨年からオルグ塾が復活しユニオンセミナーと称した。

労働弁護団事務局長佐々木弁護士から「解雇規制・雇用制度の動き」と題して講演があつた。
・政府の動きとしては産業競争力会議と規制改革会議があり、産業改革会議は見せかけで規制改革会議が本命。
・産業競争力会議では武田薬品社長の長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事)が「人材の過剰在庫」と人間を物扱ひしてゐる。
・長谷川氏はそれ以外にも解雇自由の原則を労働契約法にも明記する、解雇人数分の半分以上を20代-40代の外部から採用することを要件付与する。
一番最後はひどい話だ。必要人数の二倍を解雇し半分は若い人を外部から採用するといふ。こんな自分たちの都合しか考へない人間が経済同友会代表幹事とは恐れ入る。日本経済が駄目な理由がこれで判つた。経営者の質が低すぎる。良識或る経営者は一国も早く経済同友会を脱退すべきだ。

六月五日(水)「その他の重用な内容」
佐々木弁護士の講演でここが重用だと私がメモを取つたのは次である。
・(非正規雇用の)失業保険料を高くすると会社は損するから正社員化する。
・有期を法律で差別してはいけない。団結が鍵。
・組織率は中小は1%、大企業は50%以上。
・法律事務所も今は個別紛争がほとんど。昭和五十年はほとんど団体紛争だつたと聞いた。
私は昭和五十年がほとんど団体紛争だつたといふのは判る。当時は大手を含めて毎年ストライキをやつたものだつた。

六月七日(金)「質問」
私は、解雇規制緩和はアメリカの圧力ではないかと質問した。佐々木弁護士からは次のような貴重な回答を頂いた。
議員、内閣にはアメリカの圧力がある。ラッキーなのは解雇規制が判例なので圧力を掛けられなかつた。労働運動は下りのエスカレータを上るようなもので、止めるとアメリカの圧力に負けてしまふ。

他の参加者の質問に答へて、ブラツク企業は業界が不正競争だと反対しなくてはいけないのに日本ではうちの会社もやらうといふふうになつてしまふ、といふ話もあつた。
富は労働者の蓄積なので返せといふことだといふ話もあつた。労働弁護団は昔の総評弁護団で、総評の雰囲気を今に一番伝へる。

六月九日(日)「グローバルを叫ぶ人間は人類と全生物の敵だ」
グローバルを叫ぶ人間にはろくなのがゐない。その理由は外国の都合のよいところだけをつぎはぎで取り入れるからだ。長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事)は産業競争力会議で次のように主張した。
・採用時の国家公務員試験にTOEFLを導入する。同様に現職の国家公務員についてもTOEFL受験を導入し、役職・業務内容に応じた水準を求める。
・日本人の留学・海外インターンシップ、外国人の日本への留学促進(寄付税制の見直しによる留学奨励環境の強化等)
・小学校1年生からの英語授業の実施検討開始
・大学・大学院教育における国際化、質の向上(外国人教員の積極的活用、国際的標準に沿った入試制度の再検討を含む。秋田国際教養大学は一つの良いモデルとなる)
(大学の運営交付金の配分基準に)国際化(外国人教員、外国人留学生、外国語による授業などの比率)

私がこれまで十数年に亘つて主張したことと正反対なのが長谷川閑史氏である。まづ日本への留学生は日本語で学ぶべきだ。日本で教へる外国人は日本語で教へるべきだ。日本語ができないといふそんな横着な外国人を雇つてはいけない。秋田教養大の学長は中嶋氏である(「57、中嶋嶺雄氏は中教審には不適格である」へ)。
グローバルは世界各国の文化を破壊しアメリカに統合しようとするものだ。その結果、世界中の生活が混乱し弱者は切り捨てられ地球温暖化はますます増大する。グローバルを叫ぶ者は人類と全生物の敵である。長谷川氏が「人材の過剰在庫」と表現したり、解雇予定数の二倍を解雇し半数の若年者を雇用しろと主張したり、再就職支援金の支払いで解雇を認めるのは、偶然ではなくグローバルを叫ぶ連中の行き着く先である。(完)


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