四百七、技術が失業者を作るのではなく資本主義が失業者を作る


平成25年
五月一日(水)「資本主義と市場経済は異なる」
最近或る外国の学者が、技術の進歩が失業者を生んだと主張したのを読んだ。かつては技術革新が新たな仕事を生んだが、1990年代以降は技術の進歩が仕事を減少させるさうだ。しかしこの説には重大な誤りがある。技術が失業者を作るのではない。資本主義が失業者を作るのである。

五月三日(金)「資本主義の目的」
資本主義の目的は雇用ではなく利益である。だから工場の自動化、商店の大型店化、自動販売機、事務の電算化、ワンマンバス、ワンマン電車と人を減らすことを優先させてきた。ワンマンバスだつて私が中学生まではほとんどなかつたが、異常なのはワンマン電車である。六両編成なのに乗務員は一人しかゐない。失業者が多くなるのは無理もない。
長い歴史を振り返ると働くことは生活のためである。だから生活に必要な収入を得ればあとは縁台で将棋をしたり寄席に行つたり盆栽をいじつたりと生活を楽しんだ。ところが資本主義は利益を上げるだけが目的である。
資本主義は終らせなくてはいけないが、現代のような化石燃料大量消費社会にあつては社会主義を目指すのではなく、自由経済への回帰を目指すべきだ。

五月四日(土)「人生の目的」
多くの人にとり働くことは生活のためだが、事業欲の強い人もゐる。さういふ人が江戸時代なら大店(おおだな)、明治以降は財閥を作つた。彼らは贅沢をしたいだとか名誉欲ではなく事業拡大を目的とする希少価値のある人たちである。中には途中から贅沢や名誉欲に陥る人も多いし、使用人に対する支配欲に陥る人もゐる。
事業欲の強い人が代が替つても続くことは少ない。だから三代目あたりで衰退し、世の中全体では均衡が取れるのだつた。
ところが資本主義は資本が継承されそこに人が群がる。しかし雇用が目的ではないから失業者は増へる。それをごまかすため経済を拡大させる。更にここ十年くらいはグローバル、グローバルと叫んで国際競争をすれば勝者になれるような錯覚に陥る。国際競争をすれば半分は敗者なのだがそのことには気が付かない。そして地球温暖化で人類は滅亡寸前に至つた。

五月五日(日)「自然経済」
かつての米ソ冷戦時代には資本主義対社会主義であつた。ソ連崩壊の後は社会主義は分が悪い。だから資本主義発生以前の自由経済への回帰を訴へるべきだ。自由経済が新自由主義と混同するなら自然経済と名付けてもよい。資本主義の最大の欠陥は地球温暖化、二番目は失業者の増大である。(完)


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