三百九十二、解雇規制緩和は絶対反対


平成25年
四月三日(水)「解雇規制は絶対緩和してはいけない」
最近、解雇規制緩和がしばしばニユースに載る。中小企業では既に解雇、退職勧奨、嫌がらせが多発してゐる。これ以上解雇規制を緩和したら大変なことになる。中小は現状を維持し、大手では移動を容易にする。これが日本経済には必要である。単に解雇規制を緩和したら、大手は変らず中小は悪化する。つまり格差がますます拡大する。

四月七日(日)「派遣法の盲点を改善せよ」
派遣法はよくない法律である。派遣要員ではない者でも、次の業務は派遣だと通知して労働者が意義を申し立てないと派遣要員になつてしまふ。一旦派遣要員になると元に戻る方法はない。
私は今の会社に入社して20年だが、この年に入社した人(30人くらい)のうち残つてゐるのは数人に過ぎない。なぜ私が残れたかといふと派遣業務をやらなかつたからだ。当時の会社の売り上げは委託開発が70%で、ハード販売とソフト販売が15%づつ占めた。私はソフト販売の技術者として雇用され他の技術者の3倍は効率が高いと自負した。それなのに嘘をついて委託開発に回さうとするので騒ぎになり現在に至つた。委託開発といふと聞こへはよいがほとんどが工数請負といふ名の偽装請負である。
最初派遣に出すといふので断つた。同じ部の誰も派遣に出てゐないのになぜ私だけ派遣なのか。次に週二回コンサルタントで行くだけだといふので了解した。相手の企業に別件があり電話をしたところ「毎日来るといふ話は聞いてゐないの? まだ言つてはまづかつたかなあ」と電話口の向ふで慌てるので、取締役事業部長に「週二回で間違ひはないですよね」と念を押したところ週二回だといふ。それでゐて行く直前に毎日派遣だといふからそれ以降、実に15年半もめ続けて今に至る。私は何回も関係修復の機会を提供するのだが。
派遣(偽装請負)に回すとほとんど数年で辞める。さうしないためにはまづ派遣法を改正し、派遣と会社に言はれて従事してみて自分に合はないと気付いた者は非派遣に戻すことを義務づけるべきだ。派遣をやつてみて合はないと気付いても今は永久に戻れない。
或いは大手こそ派遣をやるべきだ。大手も中小も皆が派遣をする。さうなれば問題点も次々に改善されるから私も派遣業務をするのに何ら問題はない。日本の労働問題の根底は大手と中小であまりに格差のあることだ。そして大手の立場での改正が行なはれることだ。

四月八日(月)「諸悪の根源はニセ労組シロアリ連合だ」
中小では私の勤務する会社のように二〇年間で一割しか残らないくらい流動性が高い。それなのに日本は雇用流動性が低いから高めるべきだ、とでたらめなことをいふ人がゐる。諸悪の根源はニセ労組シロアリ連合(自称、連合)である。労組の必要のないところにユニオンシヨツプ、組合費天引きで労組を作るからかういふことになる。判り易くいへば農業とは無関係の人たちで農業団体を作るようなものだ。農業とだういふ関係があるのですか、と聞かれたら毎日農産物を食べます、と答へるしかない。これと同じ連中がニセ労組シロアリ連合である。だから消費税増税だの解雇規制の自由化だの非正規雇用だのと次々に社会を崩壊させる政策が出てくる。

四月九日(火)「日本に派遣は合はない」
日本には派遣労働は合はない。それは次のような会話を考へてみよう。事前面談に行つた場合である。
私 御社の従業員は御社の使用人であり、私は別の会社に雇用されてゐるとはいへ、命令権が御社に移る以上は御社の使用人と同じ立場ですから、御社の従業員と同等の立場と考へてよいですね。
相手企業 しかし弊社の管理職の命令には従つてもらはないと困りますよ。
私 それは当然です。御社の従業員と同じようにしませう。

これで一件落着、めでたしめでたしといふことになる。しかし実際にはさうはならない。
相手企業 そんな質問をする人は帰つてください。
私がいくら友好的に穏やかに話をしても駄目である。つまり日本では派遣は駄目なのである。しかし派遣が導入されて25年近くになる。適応しない理由はニセ労組シロアリ連合にある。労組の必要なところに労組がなく労組の不要なところに労組があるから、派遣の問題点が25年経過しても改善されない。雇用の流動化なんて言はずに大手も派遣をやつてみたらだうか。
実際には質問はまだまだたくさんある。
私 事前面接は労働者派遣法で禁止されてゐますが今日の事前面談はどこが違ふのですか
私 派遣労働者といふことでパワハラをする人がゐた場合は都道府県の労政事務所に相談しますがその前に御社の人事部に相談したほうがよいですか
私 弊社は派遣から戻り次の派遣先がないと退職勧奨が起きるため労働争議になりますがその場合に都道府県労委の証人に出てもらへますか
などがある。さすがにこれらは遠慮して云はないが本来質問することは自由である。それで仕事が来ないとなるとやはり日本には派遣は合はない。

四月十一日(木)「顧客と雇用の違ひ」
お客様にそのような質問をするからだといふ人もゐよう。しかし私は今の会社に入社して二十年だがお客様(派遣先や偽装請負先はお客様ではないから除外する)と不仲になつたことは一度もない。
大手労働者は自分の会社をお客様だと思ふか。思ふ訳がない。もし思ふならすべての労組はすぐに解散しなくてはいけない。私も同じである。ハードウエアやソフトウエアを納品するならお客様である。派遣労働者と普通の労働者は直接雇用か間接雇用の違ひだけだ。労働者であることには代はりはないから派遣先はお客様ではない。

四月十三日(土)「一人で行なつたほうがよい仕事と集団で行なつたほうがよい仕事」
派遣(または偽装請負)の悪い理由は、仕事には一人で行なつたほうがよい場合と集団で行なつたほうがよい場合がある。ところが派遣(または偽装請負)はそれを無視する。社交的な性格の人は間接使用人が直接使用人と仲良くすることもかつては可能であつた。
しかし作業目標が厳しくなると、直接雇用人は今後もずつと顔を合はせるし万一うつ病やその他の疾病になつた場合に会社が面倒を見なくてはいけないから、大変なことになる。その点、間接使用人は楽である。派遣契約を解除するだけでよい。つまり最初から使ひ捨て要員だから集団で仕事をしても集団で仕事を行なふことにはならない。
解雇を自由にするとはこのやり方を日本中に広めることだが、ニセ労組シロアリ連合はそのことに気が付かない。

四月十四日(日)「労働運動で勝ち取る」
すべての労働規制は労働運動で勝ち取つたものだ。労働規制が緩やかになるといふことは労働運動が退化したといふことだ。一番の退化要因はニセ労組シロアリ連合である。必要なところに労組がなく不要なところにある。二番目は失業者対策ができてゐないことだ。
今後の労働運動は、労働者の納得なしに解雇する企業は倒産させる。このような強い決意を持つべきだ。われわれが企業に協力するのは賃金をもらふからだ。解雇して賃金を払はないのになぜそんな企業の存続を許す必要があるのか。
それでは経済界は困るといふのなら経済界が人員流動化の仕組みを作るべきだ。私は既に雇用流動化の方法を提案してゐる(66、終身雇用制の壊し方へ)。自分たちが終身雇用で人員を固定化させておきながら解雇規制を緩めろとは虫が良すぎる。サラリーマン社長ニセ経営者団体連合会とそれに寄生するニセ労組シロアリ連合を改心させるために、まともな労働組合は「労働者の納得なしに解雇する企業は倒産させる」を運動方針に掲げるべきだ。団体交渉で経営側が何か言つてきたら「これは上部団体の決めたことなので」と言へばよい。

七年前に書いた「66、終身雇用制の壊し方」を読んでみて補足したいことは、雇用とは経済調整機能である。或る企業の業績が伸びすぎれば雇用の高賃金がそれを補正する。もし雇用から調整機能を失ふと企業は暴走する。冷却装置の壊れた原子炉と同じである。
自治労についていへば、官公労は国民の税金から給料をもらふのだから、国民のための労働運動をすべきだ。自治労、日教組などはかつての総評時代に戻るべきだ。
(完)


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