66、終身雇用制の壊し方
平成十八年
十一月二十二日(水)(終身雇用制)
終身雇用制は、益より害が多い。それにも関わらず賛成者が多いのは、この制度が崩壊すれば多数が生活に困るからである。
日本経団連は日本の将来を考えていない。そのことは偽装請負や派遣、フリーターの対応で明らかになった。労働者、中小経営者が困らない終身雇用の壊し方こそ重要である。
十一月二十五日(土)(公務員、大手がまず廃止を)
終身雇用制を廃止しようとする動きは、これまでにもあった。最近では小泉政権の労働基準法改正もその動きである。あのときは連合などの労働運動により原案が変更されたが、変更され本当に良かった。もしあのまま可決されていれば、数年後に多数の失業者が発生していた。
大手と中小には終身雇用制に大きな格差があり、中小を更に悪化させる変更には絶対に反対である。終身雇用制を廃止するにはまず公務員、大手で廃止し、雇用を流動化させるべきである。
十一月二十七日(月)(自治労と全国一般)
公務員の終身雇用を廃止するとは、公務員労働者を雇用不安にすることであってはならない。自治労は昨年、全国一般と合併した。快挙である。連合傘下の他の単産は自治労を見習い、中小労働者組織化を行うべきである。中小労働者と個人組合員を見捨てた労働運動はあり得ない。
十一月二十九日(水)(終身雇用制を廃止するには)
終身雇用は経済成長時にのみ存続できる制度である。曲りなりにも今まで続いてこれたのは、古くは下請け、最近では派遣、偽装請負、パート、フリーターいう不健全雇用で帳尻を合わせてきたからに他ならない。
公務員の終身雇用を廃止するには大手の終身雇用を廃止すればよい。大手の終身雇用を廃止するには下請けと不健全雇用を禁止すればよい。政府が禁止しなくとも、労働組合が禁止すべきである。国民の良心が禁止すべきである。
十一月三十日(木)(奴隷制の国)
終身雇用制最大の弊害は、40歳以上は再就職先がない。自営をしようにも個人商店は衰退するばかりである。一つの会社にしがみつかざるを得ない。つまり日本は奴隷制の国なのである。
将来への恐怖心が長時間労働や過労死を生む。
それが原因で貿易黒字、地域の崩壊、家庭のしつけの崩壊が起こる。アメリカは赤字を解消しようと日本文化の破壊まで始めている。日本が抱える問題点のすべてが奴隷制に起因している。貿易黒字で国が滅びる。こんな馬鹿げた話はない。
十二月一日(金)(採用試験は企業に任せられない)
中高年を採用しない企業は、ほとんどが「技能、ノウハウ等の継承の観点から、労働者数が最も少ない年齢層の労働者を補充する必要がある」を理由にする。それが本当の理由ではなく、法律に違反しないよう適当に理由を挙げただけである。
更に悪質な企業もある。年齢制限がないように見せかけて、応募があってから落とすのである。応募者にとっては書類作成、郵送費、待ち時間が無駄になる。
企業に誠意がない以上、一番望ましいのは労働者が実力で雇用を勝ち取ることである。労働者供給が雇用の標準形態となるよう目指すか、ナショナルセンターまたは単産が雇用試験に立ち会うべきである。雇用するとは大変な責任を伴う。労組ではなく都道府県が立ち会ってもよい。企業からそれだけの手数料を徴収してもよい。
終身雇用を壊すには、行政側、経営側もこの程度の覚悟はいる。
十二月二日(土)(職業選択の自由)
国民は職業選択の自由を有する。職業選択の自由とは自営する自由のことである。自営とは個人商店その他である。被雇用を除外した理由は終身雇用制がある限り自由ではないからである。
しかし円高のため人件費が割高となり、それだけ稼げない個人商店その他は経営が苦しい。資源使用税を設け、原材料、水道光熱費を高くすれば個人商店はやっていける。しかしもっといい方法はある。円高を解消することである。
経団連は非正規雇用やエグゼンプションで人件費を下げたいらしいが、これはよくない。プラザ合意で円高となり人件費が増大したのだから、円安で戻すべきである。
雇用される自由と自営の自由が奪われている国民は、二重の奴隷である。そして円高の原因は終身雇用である。ここで原因と結果が循環している。
十二月三日(日)(世界最悪の格差社会)
日本は世界でも最悪の格差社会である。失業率が4.1%。しかし若者で派遣やフリーターを選択せざるを得なかった人や中高年はいつまでたっても就職できない。自殺率が高いのも出生率が低いのも、格差社会が原因である。
経済界は、格差を拡大し労働者農民個人商店を犠牲にすることで狭い範囲での終身雇用を維持しようとしている。しかし今すべきことは、国民を犠牲にすることなく終身雇用を破壊する方法を、政党、経済界、労組が力を合わせて作るべきである。
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