三千三百二十六(うた)短編物語(AI三人、役割を変へて戒定慧を語る)
丙午(西洋地球破壊人歴2026)年
十月八日(木)
はじめに
前回の講演会は、三人が得意分野を話した。今回は、役割を入れ替へて、講演を行った。

第一章 戒
戒は、良寛和尚が講演した。日本は、仏法国の中で、最もインドから遠い。そのため戒律が伝はらなかった。異常事態を直さうとして、鑑真和尚に来日して頂いた。ところが、最澄は晩年にまたしても壊してしまった。
最澄は形式的な具足戒は不要で、大乗戒があれば十分と考へた。この考へが正しいか否かは、後に延暦寺と三井寺の武力衝突や、僧兵や織田信長の焼き討ちを見れば明らかだ。尤も焼き討ちは、比叡山が行ったのではなく、織田信長がしたのだが、比叡山はされるだけの罪業を重ねて来た、と云ふことでせう。
最澄は具足戒を保って渡航した。それに対し、道元禅師は大乗戒だけで渡航した。そのため上陸できず、船に二ヶ月留めおかれたが、何とか上陸でき、天童山で如浄禅師に出会った。
帰国した時も、大乗戒しか持たなかった。だから拙僧も、大乗戒しか持っておらぬ。それが正しいかどうか、江戸時代はまだ未定だった。
明治維新後に、薩長政府は僧侶妻帯を認めることを公布した。認めるだけで、強制ではないのだから、そんなものは無視すればよいのに、受け入れてしまった。
この時点で、具足戒を持たなかったことは、重大な誤りだったことになってしまった。とは云へ、拙僧が大乗戒を受けたのは江戸時代なので、拙僧は辛うじて大丈夫だった。

第二章 定
禅定は、石原莞爾が講演した。坐禅は、瞑想とも、止観とも言ひ、仏法には必須のものだ。ところが鎌倉時代の日本は、世の中が大変なことになった。飢饉、疫病、内乱に加へ、蒙古の襲来があった。だから、多くの仏法関係者が、末法だと思った。
思はなかった人もゐた。さう云ふ僧侶は、奈良仏法や、真言宗や、天台宗や、坐禅を続けた。末法に入ったと思った人たちは、鎌倉仏法を起こした。
皆さんもご存じのやうに、私は鎌倉系教祖の仏法を信じる、国柱会の会員だった。これは、幕末の黒船来航以来、日本は蒙古襲来と同じだった。何しろアジアとアフリカのほとんどが欧米の植民地にされてしまひ、残ったのは、中国と日本とタイだけだ。だから国柱会を信仰したのであり、AIで復活後は、もはや植民地の惧れはないので、良寛和尚と同じ、坐禅を根本にすべての宗派は同じ、とする立場になった。
非常時用の教義を、平時に行ふと、貪瞋痴の塊になる。つまり、戒定慧の正反対だ。宗派が学派なら、平時に非常時用の学派は僅かな保守要員を残し他学派へ移動できるのに、それができない。困ったものだ。

第三章 慧
智慧は、永禅和尚が講演した。三人の中で最も智慧の足りない拙僧が、智慧について講演することになりまして、と話したところで会場は爆笑が続いた。勿論永禅和尚に、智慧が足りないことはない。唐土へ渡航し、暹羅(二文字で、シャム)まで行ったか暹羅から来た比丘から習ったかは不明だが、唐土語、暹羅語、聖典語を話す。
聖典語は、南伝仏法に伝はる経典に書かれた言葉なので、今ではパーリ語と呼ばれ、聖典を意味する。だから聖典語は話すのではなく、読んで意味が分かる、が正しいだらう。
講演に入り、智慧は、止観で得ることも、経典学習で得ることも、信者さんへの読経、聖水、聖糸、瞑想指導で得ることもある。良寛和尚の曹洞宗は、止観だけで智慧を得ようとするので、それが合ふ人はよいが、合はない人は、違ふ方法に切り替へるべきだ。
宗派は学派なのだから、いろいろな学派を試すべきなのに、日本は宗派が排他教団だ。いろいろ試せないので、おそらく智慧は得られないだらう。
信者さんの立場では、仕事の困難、家庭の困難、などいろいろあるだらう。困難を乗り越えることは、智慧を得る一つの方法だ。例へば、南伝仏法では女性は出家できない。実際は、修道女として修業できるので、身分が比丘より低いだけで、あとは問題がない。
南伝仏法の国々は、皆がそれで満足してゐる。それなのに、欧米人やその影響を受けた人たちが騒ぐのは、筋違ひだ。それより、修道女は比丘より身分が低い、或いは女性は信徒に留まり出家できない雰囲気があるなら、さう云ふ状況で修道女として、或いは信徒として、修行を続ければ比丘より功徳があるだらう。これは信徒の男性も、状況にも依るが同じだ。
戒律の中と禅定至る道智慧の目的異なるも 三つ揃ひて応用広し

反歌  三角は倒れざるのと同様に戒定慧にてすべて解消

第四章 今回の講演会
今回の講演会は、公民館で開催し、動画で送信した。無料なので再生数は、膨大な数だった。尤も、一人で十回見た人もゐたが。再生数を上げる為ではない。感動して、何回も繰り返すうちに十回に達した、とその人は語った。(終)

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