三千三百二十(うた)短編物語(関ヶ原で戦はず)
丙午(西洋地球破壊人歴2026)年
九月二十七日(日)
第一章 島左近の本当の姿
島左近は、優秀な軍師と云はれる。しかしこれは、江戸時代に書かれた軍記物や物語が云ったことだ。事実は、名指揮官だった。
石田三成は、頭の良さで知られる。一方で、軍隊を指揮した経験は乏しい。だから、補完関係の島左近を重用した。つまり、島左近は、頭が良いから石田三成に登用されたのではない。
尤も、頭が悪くては司令官が務まらない。或る程度良くて、しかし三成を越えずに、部下の掌握が上手い。島左近は、最適だった。或る時、石田三成が寝言で、半国を滅ぼした国と戦をしたときの、左近殿は野木だ、と云った。無論、何のことか分からない。単に寝ぼけただけだった。

第二章 石田三成の本当の姿
石田三成は、頭の良さで知られる。しかしその良さは、事務官僚としてだ。規則を作り、それを杓子定規に当てはめる。竹中半兵衛や黒田官兵衛とは、まったく異なる。減点法で優秀な三成、加点法で優秀な半兵衛や官兵衛。今なら、さう云ふ解釈になるだらう
或る時、三成が京の街中を歩いてゐると、良環と名乗るお坊さんがゐた。唐土に渡航し、そこで永前和尚と云ふ日本人僧に会った。この僧は、暹羅(二文字で、シャム)国へ行ったか、暹羅国から唐土へ来た僧から授けられたか、未来を観る技を身に付けた。ただし神々の役に立つ予言しかできない。その術を良環和尚に授けた。
良環和尚の予言によると、三成は関所に関係する場所で、家康に大敗する。それだけなら、神々が予言を許さない。しかし家康は、渡航することや、神仏の教へを広めることや、他宗を批判することを禁止する。更に、大名の妻子を人質にしたり、領国と家康の領地を往復することを義務付け、関所で自由に行き来できなくする。神々は日本の行く末を心配し、予言を許した。
三成は、島左近を連れて、良環と出会った場所へ出向いた。しかし、既に旅立った後だった。家臣を近くに住まはせたが、二度と現れなかった。

第三章 南蛮兵学舎
島左近が京の町で、南蛮兵学舎と云ふ小さな家を見つけた。石波良(二文字で、はら)と云ふ、唐土に渡航した経験のある男が、南蛮兵法の書籍を出版してゐた。
島左近は、石波良と親しくなった。そんなまもなく世間では、家康が上杉討伐に出立し、西軍が大坂城を占領した。左近は石波良に、この先どうなるかを尋ねた。石波良は、西軍が大敗し、家康は東軍の大将ではあっても、東軍を臣下にした訳ではない。この間隙を縫ひ、家康と譜代の少数者がとんでもないことを始めるでせう。東軍を臣下なら、家臣や家老からしかるべき良識が現れる。しかし臣下ではないのだから、大変なことになります。さう答へた。
左近がこの話を三成にした。三成は、良環和尚の予言と酷似するので、真っ青になった。早速石波良を招聘したが、どうも三成と石波良は性格が合はない。或る時、石波良が昼寝中に、三成殿登場か、と叫び目が覚めた。近くにゐた左近が訪ねたが、何の夢かまったく記憶にない、と云ふ。さう云へば、三成の寝言も、三成は何の夢か覚えてゐない、と云ふ。

第四章 大垣城攻防戦
家康率いる東軍が、会津城の手前で引き返した。大垣城から打って出るかで、意見が割れた。石原は、東軍が家康を中心に纏まるのに対し、西軍は纏まりに欠け、出陣は得策ではない、と力説した。東軍は野営を続け疲労が溜まってゐる。それに対し、西軍は城の中だ。わざわざ関ヶ原に出て行くことはない。
三成は、関所に関係する場所とは、関ヶ原ではないか、と悟った。東軍は、大垣城を水攻めにしたが、毛利軍が大坂城から駆け付け、水攻めは失敗した。かうなると、東軍は弱い。あっと云ふ間に櫛が抜けたやうに、それぞれが散らばって行った。
西軍は、逃げる連中は追はず、専ら家康のみを攻撃し、首を刎ねた。

第五章 三成滅亡
三成と石波良は、最後まで折り合ひが悪かった。そして、家康亡き後、石波良は姿を消した。そして予想どほり、毛利や上杉と、三成の仲が悪くなり、三成軍は敗北した。左近は三成より二十歳の年上。このとき六十歳と、当時としてはかなり高齢の為、その前に世を去った。
後の世に、三成は東條英機、石波良は石原莞爾ではないか、と言ひ出す人が現れた。ロシアは安土桃山時代から江戸時代の初めに掛けて、ウラル山脈を越えて、シビルハン国を占領。アジア東端のオホーツク海へ達した。半国とは、ハン国だ。野木とは、乃木希典だった。
三成殿登場か、も三成殿東條か、だった。もう一つ、歴史と類似点がある。三成と東條は、高貴なお方から信用を得る。しかし、敗北する。
三成は半ばの人に嫌はれて残りの人とうまくやる 秀吉公から気に入られしかし最後に敗れ消え去る

反歌  東條は昭和みかどに気に入られしかし最後に敗れ消え去る(終)

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