三百三、京都にて(全国交流集会)

平成24年
9月17日(月)「全国交流集会」
全国交流集会は毎年百数十名で行はれて来た。ところが今年は事前申し込みが473名、当日申し込みを含めると550名に達した。大会会場は大ホールだからそれでも余裕があつた。
今回はフイリピン・トヨタ労組から二名、韓国・民主労総から七名。近畿地方を除く全国から196名。近畿地方ががんばつた集会であつた。神田香織さんが出演するので多数が集まつたといふ意見もあつた。

9月20日(木)「定期総会」
神田香織さんの講談ののち、定期総会があつた。来賓挨拶で一番よかつたのは京都総評で力が入つてゐた。加盟組合は全労連系と全労協系が中心でかつての総評の雰囲気だつた。
別の来賓が、京都は中小企業ばかりで大企業がほとんどないといふことを話した。これはよいことだ。大企業と大企業労組は日本の癌である。これらを解消すればよいのに自民党もシロアリ民主党もできない。京都こそ日本経済のモデルケースである。地域の時代とはそういふことだ。東京やアメリカの猿真似を地域でやつても意味がない。

9月22日(土)「分科会」
2日目は12の分科会に別れた。私は第10分科会「職場の人権-無縁社会を生きる、コミュニティユニオンの絆-」に出席した。まづ出席者全員の名前と所属を自己紹介し、次いで熊沢誠氏の講演を聞いた。私の左斜め後に産経新聞が参加した。今回はマスコミも多数参加したと聞いたが、それを実感した。
右斜め後には東部労組がゐた。集会に参加する組合は(1)自治労、地区労、全国ユニオンなど連合に加盟、(2)連合に非加盟、の二種類に分類ができる。東部労組は全労協に加盟だからもちろん連合には非加盟、我々の労組も連合に非加盟で全労協系の中小政策ネツトに加盟といふことで、数少ない仲間である。
もちろん集会に参加したすべての組合は仲間だし、組合間に路線対立がある訳ではない。うちの組合が三年前に分裂したのも路線対立が原因ではなかつたが、向こう側は連合加盟単産の中心組合、我々は全労協系といふことで外から見れば路線対立みたいに見へる。

9月26日(水)「熊沢誠氏の講演」
熊沢氏が今回著した書籍は岩波から出版されたが、岩波が労組と名前の付く書籍を出版したのは始めてだそうだ。朝日、岩波、左翼文化人と発言されたが、これらに批判的な立場は私も同じである。以下次のような内容を話された。 1時間でこれだけ話されたので感嘆した。甲南大学名誉教授熊沢誠氏の著書はすべて読む必要があると痛感した。

9月29日(土)「企業別組合の弊害」
私と熊沢氏で異なるのは企業別組合の評価である。企業別組合を肯定する意見は全労協や全労連にもある。自分たちが長年活動してきた運動を評価するのは理解できる。
ここで問題になるのは連合の大手産別である。中小下請け労働者や非正規労働者の犠牲の上に自分たちだけいい思ひをしようとするばかりか、今回の消費税増税騒ぎでは民主党に圧力を掛けて増税を可決させるといふ醜態を演じた。原子力発電に賛成なのも電機連合と東電労組が連合の会長、事務局長を占めることで明らかである。
労組は企業と対抗するためにある。企業と対抗せず、他の労働者を犠牲にしたり自分たちの産業の利益を図つたり選挙で圧力を掛けるのは、労働組合ではなく社会を破壊する癌細胞である。労働組合法は改正する必要がある。

9月30日(日)「マイクの音量」
分科会は、熊沢氏の次に「きょうと夜まわりの会」の発表があつた。実はこれまで熊沢氏のことは知らなかつた。専ら「きょうと夜まわりの会」に興味があり第10分科会を選んだ。京都市から委託を受けて野宿者の支援をする内容だが、マイクの音量が大きすぎて耳にガンガン響き、発言が始まつてすぐなのにもう早く終らないかと思ひ始めるくらいだつた。発言者は悪くはない。自分の話す音量は判らないからだ。周囲の人が音量を調整すべきだが、これまで60年以上に亘り音量の大きすぎることに労働組合は無頓着だつた。
小出氏の反原発集会のときも、小出氏の前に出演したフオークソングは音量が大きすぎた。小出氏も熊沢氏も大学で長年教鞭をとるから、どのくらいの声で話せばよいか判る。普通の人は判らない。労働運動が衰退した一つの原因にマイクの音量が大きすぎることがあるかも知れない。(完)


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