三百三、京都にて(公共企業の官僚主義批判)

平成24年
9月15日早朝(土)「京都の民宿のパソコンから」
組合の全国集会があるので、京都に来た。私は忙しいので参加しない予定だつた。ところが急に行くやういはれた。組合からはぷらつとこだまの料金しか出ない。今からではプラツトこだまは満員である。普通の切符を買ふと3500円余分に掛かる。前日なら僅かに空席がある。
3500円の宿を見つけそこに泊まることにした。廃業したお茶屋を改造した民宿である。JR東海に3500円儲けさせるよりは個人商店を応援すべきだ。この宿は風情があつてよかつた。
アジアの旅行者も日本家屋といふことで、或いは安いといふことでよく泊まるらしい。一階にあるパソコンを使はうとすると中国語繁字体になる。台湾か香港の旅行者が使つたのだらう。日本語に戻してもすぐ繁字体に戻る。デフォルトが繁字体だとすぐ元に戻ることはいろいろ試してやつと判つた。Hotmailを使はうとすると中国語の誰かのページに入る。何回やつても駄目である。ログアウトしようとするとご丁寧に本人の顔写真が載つてある。ドリフターズの仲本工事に似てゐた。やつとメニユーを見つけ「登出」でログアウトできた。中国語が判らなくても「登出」がログアウトだと想像が付く。

9月16日(日)「京都にて」
こだま号で金曜に京都に着いた。こだま号で静岡から先に乗るのは始めてである。だから「岐阜羽島」は「ぎふはしま」と濁らないことを、東海道新幹線が開通してから四十八年目で初めて知つた。
京都では京都御所裏の琵琶湖疏水、日蓮本宗要法寺、琵琶湖疏水記念館、京阪大津線の石山寺から坂本まで乗り坂本を散策する途中で日没となつた。
土曜は霊山護国神社で志士たちの墓を拝観ののち、霊山資料館を見学した。そこで思つたことは、明治維新は薩長が勝ちすぎた。そのため神仏希釈など国内文化を一変させ、それが昭和二十年の敗戦に繋がつた。坂本竜馬の目指した徳川慶喜を元首とする幕府各藩連立政権がよかつたとつくづく思つた。
勝ちすぎがよくないことを掘り下げると、幕府の権力に反対する、或いは幕府の悪政を糾す。これはよいことだ。しかし権力を握る。これは堕落に繋がる。この状態が勝ちすぎである。坂本竜馬が暗殺された後は、薩長は勝ちすぎ路線に陥りそれが昭和二十年の敗戦にまで繋がつた。

9月18日(火)「JR東海」
JR東海はよくない。「こだま」は冷房が効きすぎて風邪を引いた。金曜に京都に泊まつた日の夜中から咳が出るようになつた。幸い夏なので大した咳ではなかつた。なぜあれほど強く冷房を入れるのか。
車掌は白のスーツを着てゐる。乗務員が暑くないように温度設定をしてゐるのではないか。乗客は外の暑いなかから乗車する。ほとんどの人が半袖である。
帰りの「こだま」では腕を組んでその前方に全国集会の封筒と議案書の大型封筒を縦に並べて置くと冷気を防げることが判り実行した。それでも時間が経つとだんだん体が冷へる。丁度新富士駅で通過列車待ちのため6分停車した。3両目から一番後ろまでホームを一気に走つた。今回の旅行は運動靴を履いて来てよかつた。ホームでは駅員、列車の窓から顔を出す車掌が中間と最後尾からこつちを見たが無視した。最後尾から3両目まで車内を戻ろうと思つたが息が切れたし車内は寒いからホームを歩いて戻つた。
これらのおかげで風邪は悪化しなくて済んだ。しかし4日後の今もまだ咳が少し出る。

9月19日(水)「こだま号」
乗車して暫くは寒さを感じない。外が暑くて体に熱がこもるためである。往路は静岡、帰路は豊橋あたりで体が冷へた。周囲を見渡すとほとんどの乗客は1駅か2駅で下車する。つまりこだま号は長く乗つてはいけない。
こだまはもう一つ悪いことがある。喫煙車はがら空きである。だからぷらつとこだまは往復とも喫煙車だけが予約できた。私は喫煙車には乗らないが今回予約したのは次の記述があつたからである。
※列車名に(N700系)と表示されている場合は、全席禁煙となります。
 おタバコを吸われるお客様は、喫煙ルームをご利用ください。
 都合により別の車両で運行する場合は、全車禁煙となります。
 (列車内には喫煙できる場所はありません)
つまりN700と表示された列車は禁煙である。それ以外の列車は喫煙ルームを利用する。都合で別の車両で運行する場合は喫煙ルームがない。
喫煙車は喫煙ルームから多少臭ひが漏れるがその程度なら我慢できる。そう思つた。ところが乗つてみると席でたばこを吸つてゐる。車掌に言つて席を替へてもらはうとしたが、禁煙席は満席である。このまま我慢しろみたいな口ぶりだつた。しかも切符を見て「通販か」とつぶやいた。これは筋違ひである。ぶらつとこだまはJR東海ツアーズが発券し、支店やJTBなどで販売する。私はインターネツトで購入したが、どこの旅行代理店から購入したかは関係がない。「JR東海ツアーズはJR東海の子会社でしょ」「これから組合の大会で社民党の国会議員も来るが発ガン物質対策を取り上げてもらふしかない」と言つたところ、掛川から先を取つてくれた。
ちなみに禁煙の自由席はがらがらである。しかし自由席に乗せろとは主張しない。ぷらつとこだまは自由席には座れない切符だからだ。指定席の売れない部分を年間で確保し団体扱ひにする。だから喫煙席に無理に詰め込むのは理解できる。使ひ勝手の悪い部分を確保し切り売りするのは商売上手である。
帰りは喫煙ルームが付いてゐるだらうと思つたが、また喫煙席である。今回は車掌に言つたらすぐ禁煙指定席に替へてくれた。往路の客だと判る仕組みになつてゐるのかも知れない。こだまは短距離の乗客がほとんどである。喫煙席は全廃したほうがよい。

ちなみに橙色の4行は、2行目以降を1行目の補足として読むとJR東海の解釈になる。1行目から4行目を独立して読むと私の解釈になる。全席禁煙と全車禁煙は違ふとJR東海は主張するだらうが一般の人はそんなことは気が付かない。やはりJR東海は役所的である。

9月22日(土)「社民党」
日本社会党はかつて野党第一党で、左右合同の後は政権を取る勢ひだつた。それがなぜ社民党と改名し分裂し今では消滅寸前なのだらうか。その理由は福島党首の挨拶で判つた。
国民の最大関心事は消費税増税である。大嘘は絶対に許されないから、今度の選挙で全員落選させよう。多くの国民がそう思つてゐる。それなのに福島党首の挨拶は維新が当選したら憲法が改正される、護憲だ、護憲だと叫ぶだけだつた。
国会議員は当選する限り公務員と同じである。だから連続当選できる人は感覚が国民と乖離する。消費税増税を再廃止するには維新、国民の生活が第一、新党、社民、共産の連携が重要である。ところが福島党首は維新を批判する。天下分け目の戦ひを前に、西軍のなかから東軍と内通しようとする勢力がゐるやうなものだ。福島党首はいつから小早川秀秋になつたのか。
野田のやうな嘘つきがでるといふことは現憲法に欠陥があるからだ。大企業労組が消費税増税に裏工作をしたのは経営側と対決するために存在する労組が別のものに変質したからだ。これも現憲法の欠陥である。民主主義は国民が私心を離れ国の行く末に責任を持ち投票しなくてはいけない。だから経済団体、ニセ労組、宗教団体が応援する選挙は民主主義に反する。これらを禁止しないのは欠陥憲法である。
維新が憲法改正をするのはよいが憲法改悪には向はせない。そういふ努力さへ放棄し護憲、護憲と叫ぶだけの怠惰な勢力が社民党である。かつて左派(鈴木派)と右派(西尾派)が健在の時の社会党はよかつた。左派はアメリカ帝国主義の押し付けた憲法に反対するし、右派は国柄を守るためにマツカーサー憲法に反対する。社民党のすべきは左派と右派が健在なころの社会党に戻ることである。

9月24日(月)「公営事業」
琵琶湖疏水記念館と霊山資料館を見学した。琵琶湖疏水記念館は金曜といふこともあり観客は一人もゐなかつた。疎水のある地下二階から入館した。掃除のおばさんが「こんにちは」と挨拶するので私も挨拶した。一階の入口に受付の職員がゐたが黙つてゐた。どうせ暇なのだから挨拶をすればよいではないか。
それに対して霊山資料館は荷物を預かつてもらふときに受付兼売店のおじさんは感じがよかつた。職員といふより個人商店の店主といふ感じで、庶民性を感じる。ここが官僚性と庶民性の違ひである。霊山資料館は入場料が500円である。琵琶湖疏水記念館は無料である。それが原因ではなく、まさに官僚性と庶民性の違ひである
琵琶湖疏水記念館は貴重な資料の展示であり、近くのインクライン跡と併せ観光価値は高い。決して税金の無駄ではないから来館者から高く評価されるようになつてほしい。

9月26日(水)「やつと風邪が峠を越す」
風邪はやつと峠を越へた。こだま号の冷房効きすぎで風邪を引いて以来、十二日目であつた。その間、勤務中に具合が悪化して午後半休も取つた。
今回の京都旅行は散々な目にあつた。といふか京都旅行中は少し咳がでるくらいで大丈夫だつたが帰つてから大変な目に合つた。地球温暖化と原発問題が騒がれてゐるこの時機に何でこんなに冷房を強くするのか。JR東海の非常識だけが目立つた。(完)
(追記、実際はその後も一進一退を繰り返し、快方に向かつたのは28日、完治したのは29日だつた。JR東海のせいでとんだ目に遭つた)


(その二)へ
メニュへ戻る 前へ 次へ