二千八百六十六(うた)牧口さんを調べる(資料編)
乙巳(西洋発狂人歴2025)年
七月二十七日(日)
反歌 西洋の帝国主義の時代のみ鎌倉仏法人気を博す
牧口さんの価値論を、良寛和尚の連載に入れた。しかし宗教に関係する内容は、良寛和尚の仏法とは正反対の為に、資料編として独立させた。そのため反歌だけが、資料編に入った。
幕末から戦中まで、アジアアフリカは常に植民地にされる危険があった。そのため日本国内では、状況が似る鎌倉仏法に人気があった。牧口さんも国柱会の講演を聞き、国柱会と関係の深い北山本門寺を訪問した。
大木道恵さんのホームページに次の記述がある。
牧口(中略)を折伏した三谷素啓は(中略)評論家の平野計によると、
「三谷氏の(中略)理解は(中略)明治初年に(中略)おこった有力な異端的在家運動である完器講の系統といわれる。」
という。
(中略)柳田国男が「故郷七十年」と題する文の中で三谷について触れている箇所がある。(引用に際して改行を施した)
《富士山の麓にいくつか日蓮宗の寺があるが、牧口君はそのうちの本門寺というのに参り出した。
その原因として三谷という一人の面白い人物が介在していた。
どうも正体の判らない変った人物で、盛んに嘘をついた。
ところがいくつかの珍しい妙薬をもっていて、大して大きくない塗り薬とか、煎じ薬とかであったが、それが不思議に良く効いた。
それで私はいつか聞きに行ったことがある。
貴方どうしてそんなにたくさんいろんな薬の秘密を知っているかといったところ、やはり嘘の返辞をした。(中略)聞いているうちにでたらめが判るような話ばかりであった。
それが本門寺の信徒だったわけである。
牧口君とは早くから知り合っていた間柄らしく、牧口が私に『一度三谷君に会って御覧なさい、三谷君の所に面白い薬がありますよ』といって紹介してくれたのが最初であった。
私もその薬の恩恵だけは受けているが、その成分は少しも知らせてくれなかった。その男が牧口君を仏教の方へ導いていった。》
(中略)「牧口君はそのうちの本門寺というのに参り出した」とあるが、これは北山本門寺のことである。
35年ほど前にこの文章を初めて読んだときは柳田の勘違いかと思ったのだが、その後、昭和51年に、北山本門寺の僧侶、故・早川達道師に聞いた話では、牧口は昭和2年ころに何度か北山本門寺を訪れている。
(中略)「本門寺の信徒になりたいといったが、あなたの考えは日蓮聖人の教えとは違う、といって帰ってもらった」
(中略)このとき、牧口が三谷とすでに出会っていたのか、それともまだ国柱会に出入りしていたのかはわからないが、牧口が(中略)入信する以前に、北山本門寺の信徒になろうとしていたという事実には、非常に興味深いものを感じる。
今から二十年くらい前に、大木道恵さんのホームページか、別の方のホームページが不明だが、牧口さんが早川に価値論を広めたいと云ふと、北山本門寺の教義と異なると帰ってもらった話を読んだ記憶がある。
牧口さんにとり、価値論が第一であった。とは云へ、国柱会の布教は世間の注目を集めた。牧口さんも注目した一人だった。そして北山本門寺とは兄弟寺で、明治以降は別宗派になった寺の信徒になってしまった。「なってしまった」と悪い書き方をしたのは、罰論を振りかざした無理な布教で、警察に検挙され獄死した。
その前に、この寺の管長、前管長から、伊勢神宮の大麻を一応受け取るやう云はれたが、これを拒否した。このときの前管長が「牧口さんの云ふことは正しい。しかしわしは嫌ひぢゃ」と云った話は、昭和四十年代の小説(旧版)にも載る。牧口さんが、管長の云ふことは正しいと考へてゐなかったことは重要である。
それから四十六年後に、牧口さんの後継団体は寺と手を切ったが、その原型はここにあった。後継団体は、今後どうすべきだらうか。小生は、旧本門宗(北山本門寺など七本山)の再生を目指すとよいと提案してきた。それに対し、鈴木宗男事件で逮捕され有罪になった元外務省職員は、国際化を進めるべきだとした。国際化は一時的に国内の目をそらす効果があるだけで、本質は駄目だ。その理由は(1)国内の衰退を防げない、(2)円高による資金投入で海外を育ててきたがいづれ円安になる、(3)国内が衰退すれば、海外も衰退する。
因みに小生は、仏法は戒定慧の三学で、貪瞋痴の三毒を越える教へとの立場で、鎌倉仏法は正反対だ。牧口さんを、個人として賞賛した。
八本山明治維新後壊されて 国柱会に刺激されまづ一寺のみ独立し 先の戦争一致派と合併するも敗戦後 元へ戻らずほぼ消滅へ
反歌
迫害を受けた教へと組織なら今も生かすの方法はある
明治維新後に国柱会が延びた。同会は北山本門寺と連携したため、その兄弟寺も真似をして独自に布教活動を行ひ、明治以降に或る程度の入信者が出た。国柱会布教活動の副作用であった。(終)
メニューへ戻る
(本編)へ
うた(千四百七)へ