二百七十八、自民黨は黨内の拝米派を改心させよ

平成二十四年
六月九日(土)「自民党の拝米派」
民主党政権が変質した今となつては、地域と強い繋がりを持つ自民党にも期待を持ちたいものである。
とは言へ民主党に拝米新自由主義派が入り込んだのと同じように、自民党にも拝米新自由主義派が入り込んでゐる。自民党は本来の国民政党に還り、これらの人達を正しく改心させてほしいと思ふ。

先日道路を歩いてゐたところ、鈴木けいすけ氏といふ自民党の前衆議院議員がビラを配つてゐた。受け取らない人がほとんどである。落選中なのにご苦労なことだと受け取つた。しかし読んでみると記事のすべてが国民政党とは正反対のことを言つてゐる。

六月十日(日)「17行の本文に問題発言多数」
このパンフレツトは通行人に受け取つてもらひやすいように小型で字数が少ない。先頭ページの顔写真の下は17行である。ところがこれが前国会議員の発言だらうかといふ内容が多数ある。
TPPへの参加も、私は必要な決断だと思います。もちろん参加したからといって、何も努力せずにただで果実にありつけるわけではありません。競争に勝てる体質への厳しい改革が必要です。

まづ「厳しい改革」といふが一番やつてゐないのは国会議員である。公費の秘書は不要である。給料も国民の平均年収でよい。民間ではリストラやボーナスが出なかつたり厳しいなかで働いてゐる。「競争に勝てる」といふが、日本は昭和六〇年までは勝つてゐた。中曽根がプラザ合意をするから日本経済は大変なことになつた。
そもそも円高の原因は終身雇用である。転職権はないに等しいから奴隷状態といつてもよいし、出世競争に駆り出されるがそれは自分の利益のためだから労働者が悪いとも言へる。これなら貿易黒字で円高になるに決まつてゐる。

六月十一日(月)「人口減少と海外進出は無関係」
鈴木けいすけ氏は次に
人口が減る我が国にあっては、チャンスを海外に拡げていかねば、生き残りは不可能です。そして日本にはその底力がある。

人口が減ってそれに比例してGDPが下がつても、一人当たりのGDPは変はらないから問題はない。日本のすべきはなぜ人口が減るかを分析し改善することだ。具体的には教育にカネが掛かりすぎることと、非正規雇用が増へて結婚の余裕がなくなつたことだ。だから消費税を導入したらますます少子化になる。
消費税に賛成をしておいて生き残りは不可能ですと見当外れのことをいふ。鈴木氏が国会議員候補でゐることのほうがよほど日本は生き残りが不可能である。

六月十二日(火)「海外と合併は増益にならない」
人口一人当りのGDPが低下しない件は軽微な間違ひだからまだよい。許し難いのは「チャンスを海外に拡げていかねば、生き残りは不可能です」の部分である。まづ海外に販売するのか海外の労働力を利用するのか。結局は大企業と中小企業の格差が拡大するだけである。自民党の本来の支持層の地元産業の利益にはならない。海外に進出と言つても中小企業ではリスクが高すぎる。それに今後は地球温暖化対策で海運を用いる経営は不利である。
海外進出と企業合併は増益にはならない。これは経営の常識である。海外進出をしてもいづれその国の賃金が上昇するし文化の違ひからリスクは莫大である。合併は売上げか二倍になるが経費も二倍になるから赤字なら赤字幅が二倍になる。本当はリストラが隠されてゐるが、日本ではできない。非正規雇用の拡大とともにリストラをやるようになつた。

六月十三日(水)「文化を無視しアメリカに擦り寄る唯物論者」
鈴木氏は次に
自由貿易圏で一番大事な共通のルール創りを考える上で、アメリカ型(TPP)か中国型(ASEAN+3)の二つの選択しかない国際政治の現実を考えれば、我が国のとるべき選択は中国型ではなくアメリカ型であることは明確です。

経済はカネだけを考へてはいけない。文化と歴史を考へるべきだ。経済だけではない。政治も社会も軍事も皆、文化と歴史を考へるべきだ。そこを誤つたのが明治政府であり、戦後の日本である。私と同じ事を元経済企画庁長官の田中秀征氏も言つてゐる。森本氏の防衛相就任について
安全保障の専門家であることが起用の理由とされるが、そこが実は一番問題である。
世界は、経済、社会、歴史、文化、安全保障など多様な視点で総合的に観なければ理解できない。


カネや軍事力しか見ないことが唯物論である。鈴木氏は唯物論者である。悪魔の思想に染まつた。

六月十四日(木)「複数税率」
パンフレツトは裏面で消費税を取り上げてゐる。
将来消費税の税率が10%を超える場合には、複数税率化すべきとの議論があります。複数税率とは、諸外国でよく見られるもので、例えば基礎食料品や医薬品など、生活必需品については軽減税率を適用したり、無税にしたりするというものです。

消費税は中曽根のウソに始まつたことと外国の猿真似だから、私は消費税自体に反対である。しかしどうしても必要なら生活必需品に軽減税率を適用すべきだ、これは10%以上の場合に適用するといふ話ではない。3%でも5%のときも適用すべきだ。
消費税の導入前は物品税があつた。贅沢品に税金が掛かるもので、これはよい制度であつた。物品税が一億総中流の原動力の一つでもあつた。ところが平成元年の消費税導入とともに廃止された。このときに日本といふ共同社会は崩壊した。消費税を廃止し物品税の復活こそ日本復活の方法である。少子化も解消する。その第一歩として生活必需品は無税にすべきだ。ところが鈴木氏は正反対のことをいふ。
実際、今イギリスでは政府が庶民的な食べ物であるパイを課税対象に含めたことで論争が巻き起こっています。日本でいえば、コンビニのおにぎりに消費税をかけるかどうか、といった感じでしょうか。

鈴木氏は複数税率に反対とは一言も言つてゐない。それでゐて複数税率は駄目だと匂はせる。

六月十五日(金)「官僚とアメリカ留学組は国会議員にしてはいけない」
同じ手法を税率にも用いてゐる。
イギリスではいわゆる消費税(付加価値税)は20%。例えば牛乳や肉、野菜などは無税ですが、アイスクリームやジュース、ミネラルウォーターは20%(中略)。ドイツでも似たような状況で、標準税率が19%、食品等への軽減税率が7%となっているようです。

鈴木氏は税率の高い国を列挙して読者を洗脳しておいて、だから日本でも消費税を上げようといふ論法である。それでゐて自身は上げろとは言はない。なぜこんな財務省みたいな手法を用いるのだらうか。それは鈴木氏が財務省(当時は大蔵省)に入省後に福岡国税局、ジョージタウン大学大学院フエロー、在ニユーヨーク副領事、厚労省出向を経て衆議院議員を一期務めたからだ。自民党は官僚出身や留学組を国会議員にしてはいけない。一つには地元産業と繋がりがないからだ。二つには官庁の観点でしか見ないからだ。三つにはアメリカの猿真似に終始するからだ。

六月十六日(土)「物品税の復活」
物品税が廃止された理由は時代とともに贅沢品が変化するのに税率が追ひつかないからだ。だからトランプは物品税が掛かるのにもつと贅沢なものには掛からないなど大手新聞がことさら大げさに書きたてた。贅沢品の変化に追いつかないのは大蔵省(現、財務省)の怠慢である。
物品税を復活させて、社会が崩壊する前の日本に戻すべきだ。その前の段階として複数税率の導入はよいことだ。鈴木氏の主張が反国民的な理由は大蔵省勤務とアメリカ留学にある。

六月二十一日(木)「立候補者の選出方法」
自民党と民主党は、市町村会議員のなかで働きのよい人を県会議員や国会議員にすべきだ。さうしないと自民党は官僚出身者、民主党はマスコミに目立つだけの連中や支持団体の意向に沿ふだけの連中が出てくる。最近までは松下政経塾といふのもあつたが、これは野田で終つた。もう駄目だらう。
市町村、県会、国会と三段階にしない理由は、階層が多いと出世を目指す連中が出てくる。もちろん県会から国会に行く人がゐてもよい。それと同時に市町村会を県会や国会に行くための足場とすることは防がなくてはならない。(完)


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