二百三十七、有期労働契約規制法を目指すネットワーク

平成二十四年
二月九日(木)「有期労働は禁止すべきだ」
派遣労働と有期労働は禁止すべきだ。さうしないと社会が崩壊する。労働組合は労働者が最下層だから認められる。もし派遣労働と有期労働を認めると、正規労働者の下がゐることになる。これでは労働運動が変質する。
昨夜、有期労働契約規正法を目指す集会が開かれた。日本労働弁護団小川弁護士の講演があり、共産党系の全労働からも特別発言があつた。全労働は旧労働省(現、厚生労働省)の労働組合で昔から共産党系である。
民主党の国会議員も最後に飛び入りで挨拶に来られた。

二月十日(金)「全労働と神高教の特別発言」
全労働に続いて神奈川高教組からも特別発言があつた。全労働の次だから神奈高教も全労連(共産党系の労組全国組織)だとそのときは思つた。高校生の就職は大変で、非正規雇用でさへ決まらず、大学に進学した者も4年後に就職先がなく奨学金は利息が3%のため返せなくなつてゐるといふ切実な報告だつた。
昨夜、インターネットで調べると神奈高教は連合だつた。

二月十一日(土)「全労協と連合」
日本の労組は連合、全労連、全労協に分かれるが、完全に分離した訳ではない。例えば私の所属する労組の全国組織は10年前に連合に入るかどうかで意見が割れ、希望労組だけで新たに窓口組織を作り連合に加盟した。従来組織も存続し、つまり連合系労組は二重加盟である。一方で従来組織には全労協の労組も加盟してゐる。つまり連合と全労協の相互乗り入れ状態である。
今回の集会は、従来組織に所属する組合のほかに、全労協全国一般とそこの加盟組合が多数加はつた。これはよいことだ。労働組合は対立してはいけない。相互乗り入れすべきだ。
かつて総評に全国一般といふ単産があつた。そこの東京地本はほとんどが共産党系だが、南部支部と北部地域支部だけ社会党左派だつた。東京地本とは別に東京一般といふ社会党右派もあつた。
総評が解散し、共産党系は全労連に、北部(その後、東京労組と改称)と南部は全労協に、東京一般は連合に行つた。その後我々の労組が北部の下部組織として結成された。ところが複雑な事情で北部を脱退し、つひには連合に加盟した。
昨年、我々の労組が分裂した。窓口組織が向かう側の大会だけで挨拶するから我々は連合を自然脱退になつた。その後、全労協と交流が復活した。さういふ構図である。

二月十二日(日)「総評の残した二つの財産」
総評はかつて中小企業対策のために、地区労といふ地方組織と、全国一般といふ単産を作つた。
地区労は国労、日教組、全逓信、自治労などが予算を拠出してくれたが、総評の解散とともに解消し、一部が地域労組として残つた。その残った地域労組が作つた全国組織が昨日話した従来組織である。
全国一般は昨日述べたやうに三つに分裂した。
私の所属する労組は全労協全国一般だつたが、書記長がトラブルを起こし脱退した。代はりに地域労組の従来組織に入つた。全労協全国一般とは互いに無視し合ふ冷たい関係が長く続いた。現に旧事務所に東京労組西部支部が同居してゐたが互いに無視した。
だから今回、地区労の従来組織と全労協全国一般が共闘したことは総評復活に向けての第一歩となるかも知れない。日本の労働運動史に残る快挙である。独立行政法人労働政策研究研修機構が発行する「労働政策研究報告書2009年6月」によれば、結成母体を地区労型、全国一般型、市民運動型に分類してゐる。市民運動型として女性労組を挙げてゐるが、例えば東京の女性ユニオンは東京労組の下部組織が独立したものだから、三つとも総評の遺産と言へる。

二月十四日(火)「神高教を全労連と間違へた伏線」
神高教を全労連と間違へたには伏線がある。昨年の全労協メーデーでうちの組合は都高教の隣だつた。全労協に正式加盟ではないが友誼組合の全国一般南部とともに参加した。日比谷野外音楽堂で、我々の席の隣は、式典が始まつても空いてゐた。ところがかなり経つてから都高教が次々とやつて来た。我々の組合は途中で抜ける人が多く我々の組合が座つてゐたところも都高教が占領した。
剣豪は来なかつたが全労連の連帯挨拶があつた。ところが都高教は組合員同士で雑談が多い。一人の女性組合員なぞは缶ビールを飲んでゐる。回りは誰も飲まないのに一人だけ飲むには勇気が要る。さすが都高教である、と批判はできない。
我々の組合は遅刻の代はりに途中で抜ける人が多い。遅刻組と早退組が隣同士で座席が有効利用されるてゐる。実は私も5年前に覚へがある。夜に過労死促進法反対集会が日比谷野音であつた。冬で寒いので途中で抜け出したら日比谷野音の入口にAさん(現副委員長)がゐた。当時は単産の事務局次長で主催者側だつた。「帰るのですか」といふので「ちよつとそこまで」とか言つてコンビニを探した。日比谷通りを10分ほど三田方面に歩いたらあつたので日本酒のパツクを買ひ、歩きながら飲んで日比谷公園に戻つた。
総評解散前に、私の所属は富士通労組で中立労連だつたが、三多摩統一メーデーでは富士通、沖、日立、NECなど各企業ごとにビニールシートを敷いて酒を飲んだ。演壇のはなしはまつたく無視した。しかし他の単産はやらないのに電気労連だけ各企業が場所を取りシートを敷いた。他の単産の手前みつともないからやめようといふ声はあつたが、ならなかつた。沖電気の解雇闘争を見殺しにしたことが根底にあつたのかなあと当時思つた。
そのやうな伏線があり、高教組は左派系かと思つた。

二月十五日(水)「諸悪の根源は失業」
資本主義は雇用を目的としない。利潤を目的とする。だから失業者が増へ続ける。派遣も偽装請負も有期雇用も、諸悪の根源は失業である。正規雇用があれば、そんなものに誰も応募しないからだ。大手の製造現場では、派遣や偽装請負を止めて有期雇用に移行したといふ話も出た。秋葉原の通り魔事件で派遣の印象が悪くなつた。派遣や偽装請負は誰が来るか判らない。秋葉原のやうな事件を起こされると困る。有期雇用なら大手企業が人選できるからだ。

二月十六日(木)「労働組合が社会主義を捨ててはいけない理由」
総評の末期に、全電通が組合員にアンケートを取つたといふ記事が毎日新聞に載つたことがあつた。社会主義を目指すべきだと答へた組合員は1割程度だつた。それは当り前である。資本主義最大の欠点は失業者である。電電公社(当時)といふ安定した企業に勤務する人たちは失業とは無縁である。
それなのに、アンケート結果を考察しない全電通幹部には呆れる。アンケート結果を社会主義路線放棄を狙つて報道する毎日新聞にも呆れる。

二月十八日(土)「4団体の時代に」
総評、同盟、中立労連、新産別が存在した時代は人手不足だつた。しかし連合が結成される2年前にプラザ合意が起き、人が余剰の時代に突入した。連合は失業対策をすべきなのに、大企業中心なので何もせず現在に至つた。
その行き着いた先が、現在の非正規雇用社会である。大企業労組は解体し職能別組合にしないと日本は今後大変な社会不安を招く。(完)


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