千五百八十一(和語の歌) 行動日記(加湿器、池袋北口界隈、馬場あき子さんの著書、新宿西口、東海汽船の英語放送)
辛丑(2021)
五月十八日(火)
長い間、夜間は加湿器を使用した。数日前から雨の夜は使用しなくなった。昨夜は曇りだが湿度が低くはない予報なので使はなかった。夜中に目が覚めたとき鼻づまり寸前だ。加湿器を使用したところ、治った。昨夜は気温二十一度、湿度八十三パーセント。それでも鼻づまりになった。真冬のやうに、鼻に血の塊が出来るのではないが。
ぼた餅を 供へひと月 過ぎた頃 まだ夜半の風 水が足りない

昔の人は、空気があるとは考へなかった。しかし風は感じた。地水火風空が地水火風気ではない理由を、体験した。和語の歌を作ると得るものが多い。(ぼた餅は、我が家ではお供へしないが、五月中旬を表現するのに和語だけを用ゐると、かう云ふ表現になった)

五月十八日(火)その二
池袋に行く用事があった。何と東日本銀行池袋支店が、昨日から東武百貨店の南に移転した。移転のポスターには1988年12月以降営業とあり、なるほどと合点が行った。私が東池袋のコンピュータ専門学校教師になったのが89年2月。別の専門学校が大塚に出来るまでの1年間、仮校舎がときわ相互銀行の一軒置いた横に出来、そのころ普通銀行に転換した。
あの頃、この辺りはソープだの怪しげな店ばかりで、嫌な雰囲気だった。怪しげな店が点在するのではなく怪しげな店だらけだった。事務局長が「銀行があるじゃないか。健全な街だ」と云ったが、その銀行は営業開始2ヶ月だった。
三十年前は、北側駅前通り(みずき通り)、文化通り、トキワ通り、四車線道路(劇場通り)に囲まれた一角は怪しげな店がほとんどだった。東日本銀行銀行は文化通りとトキワ通りの角にあり怪しげな一角の対角線、トキワ通りでその二つ外側が仮校舎だったが、トキワ通りも怪しげな店が幾つもあった。
今は健全な街になった。怪しげな一角も、そのやうな店は皆無になった。
黒くない 街になって 幾年か 元のときわは 南に移る
黒くない 四つ角四つ その中と トキワ通りと その周りをも

トキワ通りと四車線道路に囲まれた一角だけは地名が池袋ではなく西池袋だ。今回そのことに気付いた。そしてこの一角のうち文化通り西側の一角が、かつては異様な雰囲気だった。なるほど地名にも現れてゐたのかと驚いた。

五月十九日(水)
図書館から借りた「現代秀歌百人一首」篠弘/馬場あき子編者は、ほとんど読まず返却した。
浜田某の「豚の交尾終わるまで(以下略)」は歌ではない。こんなものを選んではいけない。
作者名を書くことさへ不快なのが「べくべからべくべかりべし(以下略)」。こんなものは文章でさへない。
小池某の「死ぬまへに孔雀(くじゃく)を食はむと(以下略)」は、まづ動物を虐待するものは歌ではない。それより百倍悪いのは解説に「死ぬ前に孔雀を食いたい、というのには老いた男の強烈なエロスが香っている」。こんな非常識な選歌と解説は誰かと見ると、篠弘さんや馬場あき子さんとは別の名がある。
これで少し安心した。篠さんはともかく、馬場さんがこんなひどい選歌をする筈がない。馬場さんはこの書籍に自身の
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり

を載せた。篠弘さんや馬場あき子さん以外の人たちが、自己主張したくて現代駄歌或いは現代堕歌にしてしまった。
或る人の 歌の趣(おもむき) 知りたくば 他人(ひと)の作った 歌選ばせよ

だから私も、積極的に他人の歌で気に入ったものに触れてきた。

五月二十日(木)
用事があり、新宿に行った。明治安田生命ホール跡地とその裏側ビル跡地は新築工事中(まだ土台の段階だが)だ。その先にある三菱UFJが、まもなくLタワーに移る(と云ふ名の合併)と貼り紙があった。私は鍋横、Lタワー、新大久保、新横浜を利用し、今は武蔵浦和ATMを使ふ。だからここに愛着はないのだが、時差通勤が始まる前は帰りに地下道を利用し、見慣れた光景だった。
中華料理店で五百円の中華丼持ち帰りを買ひ、美味しかった。ここまではよかったが、帰宅の後に夕食まで空腹感が強く立ってゐられないくらいだった。量が少なかったのかと、この中華料理店をインターネットで調べた。日本人が社長の会社が、中華、和食、洋食のそれぞれ別名のチェーン店を経営する。日本人経営より中国人経営の店のほうがよく、チェーン店は駄目で、和中洋の店を経営するところは駄目か。
お昼時 或る唐土(もろこし)の 店で買ふ 美味しくしかし 夕方に お腹が減って 振り返り 肉少なしと 後で気付いた

(反歌) 幅広い 類(たぐひ)の店を 大店(おほだな)は 金のことにて 皆を束ねる

五月二十ニ日(土)
先週土曜は壁紙が足りなくなったので、やり残しが出た。追加注文した分が入荷したため、妻と残りを貼った。余った壁紙は、廊下の残りを完成させた。
夕方、東海汽船の船内放送で音が割れた動画について3分19秒から4秒間を妻に聴かせたところ、やはり判らないやうだ。私はこの部分を聴き取れないので、妻に聴かせたところ、マスクをしない人は船に乗れないと答へた。1ヶ月ほど前のことだ。
その後、何回聴いてもさうは聴こへないので、本日聴かせたところ、やはり判らないさうだ。
他所の国 話す言葉を 幾度も 聴いてもやはり 判らず終はる
(終) 

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