千五百三十八(和歌) 8.経営学から見た退職勧奨、9.労働組合がない場合も不利にならない労働法を
辛丑(2021)
四月二日(金)
経営学から、大量の退職勧奨を見よう。これは、スーパーの万引きに似る。一回や二回なら成功するかも知れない、絶対にやつてはいけないが。
何回も繰り返せば、いつか捕まる。それと同じだ。退職勧奨は、いつか労働争議になる。退職勧奨によって会社が得した金額と、労働争議によって損をした金額を比べれば、得した金額のほうがはるかに多い。
だから、私を恨むのは筋違ひも甚だしい、儲かったのだから。と同時に、得した金額のほうが多いから今後も退職勧奨を続けていい、とは絶対にならない。
二十年ほど前に、社長室にお茶を入れに行く女子社員が「誰を退職させろと云ふ話ばかりで、嫌になる」と語った。多少の金銭と引き換へに、会社は信頼とやる気を失った。

四月三日(土)
病気で退職したが、弟さんには皆が期待した。当時は、製造業を中心に余剰人員を出向でも転社でもいいからと、中小に受け入れてもらふことが流行った。大手商社M物産も事情は同じだったらしく、弟さんが転社し取締役になった。
お友だちと異なり、社長にゴマをする必要がないため「社長は会社の私物化だ」「この会社の常識は、普通の会社の非常識」と手厳しかった。病気で退職されたのは、残念だった。
私物化について云へば、会社がどんなに厳しいときでも、社長は株の50.1%を手放さなかった。残りの49.9%は皆のものだから、0.2%の差で私物化してはいけない。自分の気に入らない人を退職勧奨したり、悪魔だと呼ぶことは私物化だ。
取締役を部長に格下げしたことについて、社長個人が借金を背負ひ、他の取締役は逃げたのではないかと仮説を立てた。会社がワラント債を発行したことがあり、その債務は社長名義に、と専務取締役が話したことがある。
あのとき、社長個人の株は33.4%に留め、残りを他の取締役に購入してもらへば、逃げなかっただらう。

四月四日(日)
社長は、新しく契約した輸入製品の担当に私を指名したから、決して最初から退職勧奨した訳ではなかった。ところが事業部長が妨害した。まづこの製品の海外出張に、英語ができない男を指名した。何の為に行くのか不明だが、強いて理由を探せば私の出張を妨害した。
二回目の長期出張は、社長のお友だちが私を指名した。ところが事業部長は嫌がらせを繰り返した。まづアメリカ時間の深夜に電話を掛けてくる。深夜だと説明しても、日本では昼間だと云ふ。あの男は朝に弱いことを知ってゐたから、日本時間の朝6時頃に電話を掛けると、それから掛けてこなくなった。
長期出張が終はる直前に事業部長から、日本に戻ったら派遣に出すと連絡が来て、騒動になった。私は、労働者派遣法に基づき派遣を拒否すると通告してあるからだ。
そもそも派遣をやらないのは、1回目の派遣(会社は請負と主張)のときに担当営業の嫌がらせがひどかったからだ。
パワハラや嫌がらせの最終責任は社長にある。会社の運営責任者だからだ。
パワハラと 不和嫌がらせ 解決は 組織の長の 責任業務


四月五日(月)
入社のときに、社長のワンマンを疑ひ役員一覧を見た。同じ姓の人はゐないし、社長の他に会長もゐる。社長が暴走するときは、会長が抑へてくれるだらう。ところが会長は、社長の義父で名ばかりだった。
名ばかりの 取締役と
会長は 入社のときに
間違へる あってはならぬ 廃止すべきだ

(反歌) 入社して 使ひ捨てなら 名ばかりの 役員どもは 賠償をしろ
取締役の上に専務や常務を付けるのは時代遅れだ。実態にあったものにすべきだ。次は或る会社の場合である。
名ばかり会長、女秘書言ひなり社長、労働基準監督署駆け込み取締役、腹黒取締役、言ひなり取締役、給料泥棒絶叫監査役

四月六日(火)
私は再雇用で六十五歳まで勤務したが、危うく六十二歳までで終了されさうになった(「4.六十二歳まで労働運動が続いた」へ)。
さうなった原因は、労働者代表にある。過半数を代表する労働組合がないときは、通常は会社側が誰かを指名し、そのまま署名させるか、異議がないか全員に問ひ合はせた上で、署名させる。
労働者代表は、本来は全体の意見を集約しなくてはいけないが、誰もそんなことはしない。三六協定だと、うつ病や自律神経失調症多発の原因になる。それでも残業代が支払はれるからまだよい。
裁量労働協定だと、残業代不払ひの原因になる。そして再雇用協定だと、もともと法律で六十五歳まで再雇用される年代の人が、昭和三十一年三月までに生まれた年代を六十二歳で終了させてしまふ協定に調印する。こんなでたらめを社会保険労務士が会社に教へるのだから、驚く。
そしてこれは昭和三十一年四月以降の人にも影響するのだが、週あたりの勤務時間と仕事内容は会社が提案し、それに合意しないときは、雇用は終了することになった。例へば毎週月曜だけ午前中と提案されて、受け入れる人がゐるのか。
この条文は、私が再雇用希望と回答し、人事総務部長の女性が突然退職のあと、提示された契約書にも入ってゐた。これでは署名できないと回答し、半年前の人まで使った契約書に戻させた。
今の労働法は、労働組合があることを前提に作られてゐる。ない場合に労働法や行政は、労働者代表でごまかすから、かう云ふことになる。労働組合がない場合にも労働者が不利益にならないやうに、法律を改正する必要がある。(終)

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