千五百十九(和歌) 山崎元さんの十万円給付論に一旦賛成したものの、批判に転じた
庚子西暦元日後(2021)
閏十二月四日(木)
私はこれまで十万円給付に反対だった。その理由は、多くの人が貯金してしまふからだ。証券会社の試算だと、実際に使ったのは一万円だった。

しかしDiamond onlineに載った山崎元さんの記事を読み、賛成派に転じた(二月六日追記、その後再び批判に転じた)。山崎さんは
一律の現金給付は経済的に困窮している人に対して「漏れなく」かつ迅速に行き渡る援助であることだ。(中略)「経済を回す」ことは重要だが、例えば「Go Toトラベル」は旅行業者と旅行する時間やお金に余裕がある人にメリットが偏った不公平な政策だった。緊急事態宣言の発出地域に対して現在行われている時短営業に協力する飲食店への「1日6万円」(1カ月約180万円)の協力金も、大規模店舗には足りない一方で、小規模な飲食店には「(黙っているけど)もらいすぎ!」と言えるくらいの不公平な給付だ。
もともとの原則として、政府が支えるべき単位は業界や会社ではなく「個人」だろう。(中略)政治家に、業界単位の利益誘導の機会を与えるのはよくない。

その一方で、国の借金はどうなるのか。
負担者は将来の納税者だが、課税額が大きいのは租税負担力のある相対的に富裕な国民だ。
つまり、「給付受給額マイナス納税額」の収支で総合的な損得を考えると、一律給付を行うことは、相対的に高額な納税者にとっては明白な損なのだ。相対的に資産家でかつ高所得な麻生氏のような人は、一律10万円の給付をもらう代わりに、将来その何倍もの税金を払う計算になる。

私が賛成派に転じた理由は、これだ。

閏十二月五日(金)
麻生は、この計画に反対だ。その理由を
筆者が推測するに麻生大臣は、(1)部下である財務省が恒常的に財政赤字の拡大を嫌うから、(2)給付とその実質的な財源負担の関係を理解していないから、(3)メリット配分に影響力を持ちたいという与党政治家の本能が働いたから、国民一律の給付を否定したのだろう。(中略)(たぶん、意識の上では〈1〉と〈2〉だけだろうと思うが)。

意識下の(3)まで指摘したのは、山崎さんの鋭いところだ。
人間は 意識下にても
判断に 影響するが
そのときも 言葉で説明 する義務がある
(反歌) 権力者 不公平な 判断を させないために 説明が要る

閏十二月六日(土)
再び山崎さん批判になった。その理由は消費税だ。十万円分を将来穴埋めするため、消費税増税をする可能性がある。これまで山崎さんの主張には、ほとんど賛成してきた。しかし今回は、消費税に気付く前の昨日にも、表現で心配なところがあった。
給付金だけで公平性を見るのは視野が狭い愚かなアプローチだ(所得制限うんぬんといった議論が該当する)。

山崎さんは最後に、ベーシックインカムにも言及する。これまで山崎さんの説には、ほとんど賛成だっただけに、「視野が狭い愚かな」の表現が気になるし、どこかから工作があったのではないかと疑ってしまふ。
ベーシック インカムと云ふ
言葉には 偽善の臭ひ
漂はす 制度を開始
したならば 健保年金 大幅改悪
(反歌) 労働は 神聖にして 働かず 所得を得るは 社会を破壊
障碍者などが手当てを支給される事は、問題ない。社会を維持するための、必要事項だ。なぜなら誰でも障碍者にならないとも限らないし、子孫が障碍者にならないとも限らない。本来私が書くはずだったものを、以下に載せたい。(終)
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参考二月六日(土)
彼が一言もし言いたいのであれば、「国が一人10万円払うってのはだな、つまり俺なんかはその何倍もの税金を負担することになるってぇことだよ」というくらいのせりふを吐いても罰は当たらないだろう(いわゆる「炎上」はするかもしれないが)。

さて、山崎さんの話を聴く前のほとんどの国民が「貯金に回るから、再度の十万円は必要ない」と考へるはずだ。それを防ぐため、貯金に回らない方法はないだらうか。
二ヶ月後の貯金額、有価証券額、たんす貯金額を調べ、残高に応じて支給する。残高の急激な減少者には支給額を増やす。たんす貯金額を調べる方法は、財務省が考へるべきだ。マイナンバーがあるのだから不可能ではない。四月一日以降、印鑑の無い紙幣は使えない、とする荒療治もある。

参考二月七日(日)
「インフレ率が足りない」今、国民一律の現金給付を行うことはマクロの経済政策として適切だ。増税は、インフレ率が十分に高まってからでいい。
(中略)景気が過熱し、インフレ率が高いことが問題だという状況になれば、何らかの増税を考えていい。富裕層への所得税の累進税率を上げてもいいし、資産全般への課税を考えてもいいと筆者は思う。経済力の格差は、所得だけでなく資産においても深刻であり、現在のコロナ禍とその対策は、経済格差の拡大を加速する方向に働いている。

このあと山崎さんはベーシックインカムに賛成する議論に移るが、ベーシックインカムには賛成しなくても、十万円給付には賛成するだらうと落としどころを作ったのがよい。私は、ベーシックインカムには反対だから。
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