千三百 浄土(真)宗は、僧X法華各宗より優れる(四月度の築地本願寺仏教文化講座を聴いた感想)
平成三十一己亥年
四月二十七日(土)
四月度の築地本願寺仏教文化講座はぜひ聴かう。さう決意したのは三つ理由がある。
一、普段は本堂が会場だが、今回は蓮華殿。蓮華殿には入ったことがない。
二、京都西本願寺の執行長の法話。統括法人としての浄土真宗本願寺派は、門主の下で総長が代表役員。総本山の西本願寺は、門主の下で執行長が代表役員。今回は執行長のお話だからぜひ聴きたいものだ。
三、題が「浄土の真実」。よい法話になることは題で判る。
始まる前に蓮華殿前方右側に黄金色の板が壁に埋め込んである。そこには、西本願寺のお堂にあった仏壇を仏教伝道協会と建設会社が修復を寄進したことが書かれてゐた。蓮華殿の前方にはじゅうたん敷きのロビーが拡がる。全体で第二伝道会館と称する。入るのは初めてだ。

四月二十八日(日)
講師は京都の西本願寺執行長武田昭英(しょうえい)さん。広島県府中町の龍仙寺の前住職。今はご子息が住職を継ぐ。私のメモによると
教行信証。正式名は顕浄土真実教行証文類。テレビでよく、真実はこれだ、とあるがあれは真実ではなく事実。真実と事実は異なる。事実は変化するから真実ではない。例へば机の上にお茶があっても無くなる。
真実はモノノミトナル。あらゆるものを実となる、あらゆるものを輝かせる。
人間が生まれた目的は。死に向かふ。やっと人間に生まれる。
余談としてスリランカの爆弾テロについて一神教で、多くの信者は穏健だが、過激派を生みやすい要素がある。
せっかく人間に生まれた <-- 仏教    せっかく人間に生まれたとは、盲目の亀が海底から水面に浮かぶ板の節穴に頭を入れる確率
神の国から原罪で落とされた <-- 一神教
今は医療が進歩したが、昔は癌は死だった。だから告知しなかった。それでも希望する人に告知すると、人間が壊れるが、いつか受容する日が来る。穏やかになる。
娑婆、耐へ忍ばなくてはならない、当時のインドでは。広島水害で自坊は泥につかり、トラック数十台で撤去するまで大変だった。奥さんの実家の寺と、嫁さんの実家の寺も床上浸水など被害。人身受け難し今すでに受く。
葬式で次の話があった。病没直前の人が奥さんに「過去は幸せだった」の次に「今も」と言った。それが念仏。実を実らせるぞ、如来様の。
事故で下半身不随の重度障碍者。死にたいといつも言ってゐたが、この本をよんでごらんと浄土真宗の書籍。それから中国の仏跡、インドの仏跡を巡回。インドで何をしに来たのかと訊かれ、お礼に来たと答へた。治してほしいとお願ひに来たのではないのかと云はれ、違ふと返答。質問した人は日本に来て出家。カトマンズ本願寺を造った。

以上のお話があった。質問の時間で
いいことばかりではない、悪いことのほうが多い、と云はれたが、それでもやる秘訣は

妙好人がおっしゃってゐる。自分の心で考へてはいけない、仏様はどう考へてゐるか。因幡の源左。十六歳で父親が癌で亡くなる直前に「おらが死んだら、親様をたのめ」と云はれた。弔問で訊いて判った。その後、五人の子のうち三人が亡くなった。二回火事で丸焼け。さすがの源左も愚痴が出ると声を掛けたら「ようこそ、ようこその御催促」如来さまはつらい思ひをとらせて、気付けよとおっしゃってゐるのかな。苦しいときも悲しいときも念仏。
次の質問は、執行長と同じ安芸門徒と名乗った人からで
広島は原爆を落とされたのに、よくアメリカの野球、広島東洋カープを受け入れたのはなぜか

広島は恨みに思ってゐない。受け入れる気持ちで育ったためか。献ずる気持ちがないと、1回や2回はぶち壊せても、いつかぶち壊される。
職場の人間関係の質問に
(質問が聞き取れなかった)

本願寺ではいっしょに仕事をするが、会社で仕事の経験がない。しかし人間関係が壊れると大変。耐へるのは限界が来る。受容する努力しないと、自分が壊れてゆく。

以上のお話があった。今回の講演を聴いて、三つの感想を持った。
一、最近は大項目、小項目に分類して話す人が多いが(私もさうだが)、一つの主題について話すのも、よい講演だ。
二、エピソードを入れる(水害、カトマンズ本願寺)のも、よいことだ。
三、浄土(真)宗は、僧X法華各宗より優れる。
このうち三について、それではこれまで作家Xや石原莞爾を持ち上げて来たことはどう整合性を取るのか、と云はれさうだが、浄土(真)宗が僧X法華各宗より優れるのは平時だ。それを次回お話したい。

四月三十日(火)
今まで浄土(真)宗は死後の世界を扱ふから、科学の発達した現代では信徒の心に響くことは難しいと考へてきた。しかし講演を聴いて気付いたことは、現世を修行のためとすることが浄土(真)宗だ。これは現世利益の僧X法華各宗より優れる。
現世利益は実際には無い。これは僧Xも認めてゐる。鎌倉の布教で信徒が増加した。しかし度重なる法難で激減した。なぜご利益が無く焼き討ちや死傷者や流罪が続くのか。僧Xは、国全体が謗法(X経に背く)で善神が国を去り悪鬼が入り込んだためだとした。
僧Xが布教を始めて768年。僧Xは10年以内の布教を考へたのではないか。しかし今に至るも信徒数は一割以下だ。唯一の例外が明治維新後で、日本、タイ、中国以外はすべて植民地になった。鎌倉時代の元寇と同じだから僧X主義が復活した。作家Xや石原莞爾が活躍したのはこの時代だ。戦後も昭和39年くらいまでは、最後に残ったXX会が布教を継続した。しかし高度経済成長とマッカーサの仕組んだ亡国政策が効果を現し始め、国際化、近代化と云ふ名の西洋化で布教を停止した。
僧X法華各宗の恐ろしいところは、性格が悪くなることだ。僧Xの時代はX経を信じないと皆が不幸になると信じて布教をした。今の時代は他の宗派や団体に所属する人が不幸になることを願って活動してゐる。
平時は浄土(真)宗が僧X法華各宗に優れる。これが今回の法話で得た結論である。(終)

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