千二百八十二(モリカケ疑獄百七十九) 日本経済破綻の「崖っぷち」
平成三十一己亥年
三月二十二日(金)
一か月前にダイアモンドオンラインが掲載した金子勝さんの
戦後最長景気の先には日本経済破綻の「崖っぷち」が迫っている

を紹介したい。
1月に景気拡大が「戦後最長」になったといわれるが、競争力の低下や格差拡大など、日本経済の病巣は、アベノミクスのもとでむしろ深刻化した。  毎月勤労統計の不正調査による“賃金かさ上げ”が起きたのも、政権が「アベノミクスの失敗」を認識せざるを得なかったひとつの転機だったからだろう。

一か月経過した今となっては、戦後最長を信じる人はほとんどゐなくなった。
首相が「3選」を目指した自民党総裁選。対抗馬だった石破茂・元幹事長によるアベノミクス批判が強まる中、総裁選の1ヵ月前の8月7日に、6月の賃金指数が「3.3%」に跳ね上がった。
 外部の識者らによる調査で、「意図的な賃金かさ上げ」や「組織的関与」はない、とされたが、その後、厚労省幹部が聞き取りを行い、調査報告の原案を厚労省が作るなどの「お手盛り」が発覚、調査はやり直しになった。


三月二十三日(土)
金子さんの明察は続く。
アベノミクスの失敗は、政府統計を操作してごまかさなければならないところまできてしまったと言った方がよいだろう。
だが問題は、賃金が上がらず、企業や富裕層が豊かになれば滴が落ちるように、普通の人々の所得が増えるという「トリクルダウン」が起きていないことだけにあるのではない。
日本経済全体が、奈落の底に落ちかねない「2つの崖」に向かって突き進んでいる状況なのだ。

一つ目は
日銀は大量に国債・株・不動産信託を購入して、カネ余り状態をもたらし、“バブル”を作り出そうとし(中略)この実態は、日銀による国債引き受けであり、財政赤字の“粉飾”である。(中略)日銀は、銀行に貸し出し増を促すとして、2016年2月以降、(中略)マイナス金利政策を導入した。だが、実際には、日銀は3者の基準比率を操作し、経営の苦しい銀行や、メガバンクなど大手銀行にはマイナス金利はほとんど適用していない。/したがって大手銀行は、融資を無理に増やすよりは、0.1%の付利がつく当座預金を着実に積み上げている。/では、マイナス金利政策はどこに適用されているのか。/10年債以下の中短期の国債において適用されている。(中略)日銀にとっては「赤字」になる。(中略)これらの国債が償還になると、約12兆円の赤字が出ることになる。/つまり、これは、本来なら政府が返さなければならない財政赤字になる金額を、日銀が意図的に国債を高く買うことで、政府の財政赤字を日銀に付け替えているのと同じである。/政府は、2019年度予算案で、新規国債発行額が7年連続で減少し、アベノミクスのもとで財政赤字が減少したと喧伝するが、一種の「粉飾会計」によって、政府の財政赤字を小さく見せているのである。(中略)一方で、日銀は銀行が預けている当座預金には金利(0.1%の付利)を支払わねばならない。それは事実上の「債務」となる。(中略)この債務を見かけ上、減らすために、日銀は当座預金の増加に対応してETF(株価連動の投資信託)を大量に購入し、株価をつり上げている。/日銀の持つETFは、日経平均株価が2万4000円を超えた2018年9月段階で、簿価では21兆7590億円だが、時価ベースでは28兆9636億円になっており、含み益が7兆2045億円にも上っていた。(中略)公表されていないので正確ではないが、日銀自身がETFを買い続けているので、おそらく平均株価が1万8000円を割り込めば、損失を出すだろう。(中略)もし金融危機が起きた場合、アベノミクスで膨れ上がった日銀が保有する国債やETFなどの資産が巨大な損失に化けてしまい、最後の貸し手である中央銀行自身が、事実上の「債務超過」に陥る危険性が高いことだ。

これは大変なことだ。アベノミクスが日銀や年金基金を使って株を購入することは、現在の利益と引き換へに、将来株価が下がるときまで損失を先送りする粉飾決算だと予て疑ってゐたが、やはりさうだった。

三月二十四日(日)
もうひとつの「崖」っぷちは、貿易赤字と財政赤字の問題だ。(中略)日本の産業衰退は1986年の日米半導体協定以降に始まったが、アベノミクスのもとでも、産業の衰退を食い止めるための、正しい処方はされてこなかった。/原発推進やリニア新幹線、東京オリンピック・大阪万博の大規模公共事業とカジノといった時代遅れの「成長戦略」をとり、また「新自由主義」に従っていくら規制緩和を行ったところで、新しい産業は生まれない。
私自身は1985年のプラザ合意以降のと言ひたいところだが、どちらも一連の流れだから、同じ政策を指す。新自由主義の悪いところは、新自由主義とは経済界による国民への大衆課税であることだ。
日本は世界の金融センターでなく、日本の金融機関が金融技術で優れているわけでもないので、金融業自体が自律的に稼ぐ力も欠けている。/貿易赤字が定着した場合、それを補って所得収支が増加するかはわからない。

貿易赤字が定着することは、製造部門を海外展開した結果だから、いづれ真似をされる。だからすぐにではないが所得収支は低下するだらう。そのこと自体は問題ない。しかし次の問題点がある。
まづ貿易赤字で経常黒字だと、雇用を吸収できない。次に、経常赤字になったときに、日本はプラザ合意以前に戻れるか。新自由主義だ、TPPだと叫ぶ連中が出て来ると戻れない。そのためにも安倍は引き摺り下ろす必要がある。

三月二十六日(火)
新自由主義とは、つまり何もやらず弱肉強食の世の中にすることだ。もちろんこの言葉が出た背景に、行き過ぎた既得権への規制があると想像する。安倍の周りにも新自由主義に洗脳された人間がゐる。
年々増える一方の医療費は、重大な政治問題になってゐる。対策として薬剤師の有効活用が挙げられる。今の薬剤師はほとんど役に立ってゐない。診察のときに医師に話したことを再度、薬剤師から質問されてもうるさいだけだ。だから薬剤師も、一時は質問が流行ったが今はほとんど話さず薬を渡すことが一般になった。
医師の業務の一部を薬剤師に代行させる。それで大都会、特に東京近辺の医師不足に対応するとともに、全国の再配置も誘導し過疎地対策も取る。ところがここにも既得権が絡む。そして安倍のカルロスゴーンに劣るとも勝らない公私混同が絡む。安倍のやったことは、安倍友による獣医学部の新設だった。動物治療費はまったく問題になってゐない。(終)

モリカケ疑獄百七十八の四次、モリカケ疑獄百七十九の二

メニューへ戻る 前へ 次へ