千二百八十 1.最近印象に残った二つの記事(トラック野郎、PDCAよりOODA)、2.記事からも導き出せる不動産投資で気を付けること
平成三十一己亥年
三月十七日(日)
一か月ほど前に、トラック野郎はなぜ優雅では無くなったのかと云ふ記事を読んで、なるほどと感心した。検索エンジンでどのマスコミに誰が書いたか調べるのだが、みつからない。そのため内容だけを紹介したい。
かつて個人トラック事業者は、運送の仕事があり余ってゐたので日本列島を北から南まで、好きな経路で気ままに運転することができた。魅力のある仕事なので参入者が殺到し、今では魅力のない仕事になってしまった。

これが記事の内容だった。読んでなるほどと感心した。今から三十六年前の話だが、客先で仕事を終へ、帰社しようと国道16号(当時は外環道路がなかった)を野田市から岩槻市方面に運転してゐると、対向車線のトラックがパッシングをしながら走行する。何だらうと運転を続けると、前方は速度違反の取り締まりだった。当時のトラック野郎は、いいやつが多かった。優雅な生活が精神にゆとりをもたらすのだらう。
すると参入者が多くなる。このことは、いろいろなときに応用できる。不動産投資に当てはめることにした。

三月十八日(月)
私は不動産の投資塾に三年程所属した。その間の会費は40万円ほどになる。その間に得た知識として、今は競売参入者が増え過ぎた。競売物件はゴミ屋敷のことがあるし、居住者が精神的に問題のある場合もある。そこをどう解決するかが、腕の見せ所だ。
解決法とリスクを伴ふのだから、落札価格は標準価額の二倍以内に納めなくてはいけないが、そのことは塾で習った入札価格設定方式とは異なる。塾は、賃貸と転売での利益率から考へる。競売参加者の少ない時代はそれでもよかった。厳密に云へば、利益率は買った物件を売る時も同じ値段で計算してゐる。実際にはそんなことはあり得ない。特に人口減少期を迎へた今となっては。
競売とは別に、不動産屋が扱ふ物件でオーナーチェンジは買ってはいけない。利益が上がるなら手離すはずがない。今は、共食ひ大家と言って仲間を食ひ物にする悪質な人間がゐる。
あと、有料セミナーに行ってはいけない。学問の裏付けのない自慢話を聞いても、セミナー料が損だ。講演料で儲けるのは悪質な共食ひ大家だ。

三月二十日(水)
私は塾の会員とは大きく異なった。ほとんどの会員は所有する不動産を担保に銀行からお金を借りて次を買ひ、それを担保にまた次を買ふ。私は、自宅を売り子供の大学進学資金に回し、余ったお金で不動産を買った。だから300万円台を三軒で、無借金だ。
ほとんどの会員はマンションの一室、特にここ数年はワンルームマンションを狙ふ人が多い。あと一棟物と呼ばれるアパート一棟、商業ビル一棟を狙ふ人も多い。私は専ら中古の一軒家だ。だからバブルとは無縁だったが、バブル崩壊とも無縁だと思ふ。
塾長とともに競売を担当する二人の非常勤講師は優秀だし熱心だし信用もできたが、流通担当を自称する非常勤講師の女がよくなかった。自慢話ばかりで、情報を小出しにしてあとは有料セミナーで、と誘導する。有料セミナーは塾ではなくこの女の個人収入だと思ふ。
そんなことがあり塾は三年で退会したが、世間一般の不動産投資とは別のこと、塾の会員とも結果として別のことをしてきたことがよかった。ただしこれは結果であって、初めのうちは普通の会員と同じで競売に何回も参加した。いづれも私より高い落札者がゐた。失敗したことで、別の方法に進んだ。

三月二十一日(木)
もう一つ、東洋経済オンラインに載った原田勉さんの
PDCAがAI時代では「オワコン」な根本理由
いま米国の優良企業が重視する「OODA」とは

も印象に残った。
インドのことわざに「貧者に魚を与えるな。魚の釣り方を教えよ」というものがあります。(中略)援助するという行為は、長い目で見ると援助への依存度を高め、かえって問題を悪化させてしまいます。それよりも、魚の釣り方自体を教えるほうが、貧困、飢えの解消につながります。

そしてPDCAは
優れた計画を立案するためには、計画立案者が必要な情報を持ち、目標だけではなくそれを達成するための手段を明示することが重要になります。そのような場合、計画実行には、たとえ多くの努力や労力が現場に要求されたとしても、創造性やイニシアティブはあまり要求されません。
つまり、これは計画に従う立場の者に対して、魚を与えて釣り方を教えていないということにほかなりません。

私がPDCAを駄目だと判断した理由は、Pが計画(Plan)ではなく、私欲になってしまふことだ。それに対して
アメリカ海兵隊で採用され、湾岸戦争など現代戦で顕著な成果を上げているのが、OODAループと呼ばれるものです。これは、観察(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)という一連の活動から構成されます。

重要なことは
カギとなるのがOODAループをできるだけ速く回すということです。

そして
経営とは自社の力でペダルをこぎ続けることであり、そのペダルに該当するのがOODAループです。(中略)人間はつねに計画的に動いているわけではありません。日常生活のなかで、(中略)試行錯誤を繰り返すという経験をした人は多いでしょう。そこでは暗黙的にOODAループを回しています。

不動産投資家の多くは、Pに儲けたい、一棟物がほしい、などを置く。それでは駄目だ。(終)

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