千二百五十三(モリカケ疑獄百七十六の三) モリカケ問題の再燃を
平成三十一己亥年
一月十四日(月)
昨年末の国会は、二人の閣僚に攻撃が集中するところで閉会した。これについて時事通信のJIJI.COMは政治ジャーナリストの泉宏さんが
「(19年の)年明けまで泳がせて、通常国会で攻撃を続ける方が効果的」(立憲民主幹部)との野党側の思惑もあるからだ。

その一方で、記事は最後に
首相サイドには「2人のお騒がせ大臣のおかげで、首相の泣きどころの“モリ・カケ疑惑”はほとんど追及されずに済んだ」(周辺)とほくそ笑む向きもあるが、与党内には「通常国会でもこんな状況が続けば、(19年夏の)参院選に向けて安倍政権へのボディブローになる」(自民幹部)との不安も広がる。
(時事通信社「地方行政」2018年12月10日号より)

安倍内閣の倒閣と云ふ目標に向かひ、効果のあるところから攻撃をすべきだが、とかく攻めるのが楽なところに集中する。楽ではなく効果のあるところ。これが通常国会の課題だ。
ここで12月27日に載ったニコニコニュースの
2018年最も印象に残った政治ニュースは「モリカケ問題」

を紹介したい。ニコニコニュースは株式会社ドワンゴのniconico事業の一つで株式会社大百科ニュース社が運営する。
「2018年の主な出来事で、最も印象に残っているニュースは次のうちどれですか?」といった内容で、政治山ユーザーにアンケートを実施しました。
もっとも多かった回答は「森友・加計学園問題で国会紛糾」23.7%で、「西日本豪雨や大型台風、北海道地震の自然災害」15.4%、「オウム元教団幹部らの死刑執行」10.9%、「外国人材の受け入れ拡大へ、改正入管法が成立」9.0%と続きました。(以下略)


一月十五日(火)
安倍のレイムダック化が進む。Newsポストセブンによると
今年7月の参議院選挙の後に(中略)議席を大きく減らして3分の2を失う事態は十分にあり得る。そうなれば(中略)“政変”が起きる。/求心力を失った安倍首相は天皇の代替わりに伴う行事が終わるまでの“お飾り”となり、代わって政治の主役に登場するのは「影の総理」の菅官房長官だ。

早くさうなってほしいが、野党は自民党員ではないのだから、そんなことに期待をしてはいけない。目指すは安倍内閣打倒、自民党過半数割れだ。

一月十六日(水)
いまや官邸では安倍側近の政治家やブレーン、官僚たちが「政権末期」と判断して首相より菅氏に“忠誠”を示す動きが目立つ。参院選の自民惨敗を前提に「そうなれば菅内閣が近づく」(安倍側近)と敗北を期待するかのような声まで聞こえてくる。

ここで問題なのは、官僚までが菅氏になびくことだ。官僚の人事権を官邸に与へるから忖度が横行する。官僚の人事権は省庁が公平に行使すべきだ。

一月十七日(木)
安倍がイギリスで二回、恥をかいた。時事通信によると
10日に行ったメイ英首相との共同記者会見で、質問されていないのに捕鯨について答えようとする一幕があった。/ 英国側の記者が「逃亡犯ジャック・シェパード」に関して尋ねたところ、通訳が「反捕鯨団体シー・シェパード」と誤訳したのが原因だ。(中略)メイ氏が答え終わると、安倍氏も「あの、シー・シェパードに対する補助金について…」と語り始めた。首相随行員が「質問は出てない」と慌てて止めに入り、メイ氏も「答える必要はないですよ」とアドバイス。安倍氏は「出てないの?」と照れ笑いした。 

安倍が本当に照れ笑ひしなければならないのは、誤訳ではない。メイさんが先に答へたのだから、反捕鯨団体の質問かどうかくらい判りさうなものだ。何しろトランプとゴルフをするだけが唯一の芸なのだから。或いはトランプとのゴルフも通訳が付くのかも知れない。
二番目の恥は、AFP BBニュースによると
安倍首相、英の合意なき離脱回避に期待 メイ氏の離脱案支持

と云ふ見出しで
【1月11日 AFP】英国で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)案の採決が来週に迫る中、安倍晋三(Shinzo Abe)首相は10日、英国の合意なき離脱回避に期待を示し、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相がEUとの間で取りまとめた離脱案への支持を表明した。/安倍首相はメイ首相との共同記者会見で、日本の産業界はメイ氏がまとめた離脱案を「非常に歓迎」していると述べた。

この時既に離脱案は否決されるだらうとみられた。メイさんにとって安倍の支持は渡りに船だ。しかし安倍は、トランプがアメリカ大統領に就任し世界中が懐疑の念を持つときも、真っ先に駆けつけて支持を表明した。その後のアメリカ大使館エルサレム移転、パリ協定離脱表明、政権内の膨大な数の最高幹部辞任解任など混乱を考へれば、安倍は重大な過ちを犯した。安倍の船はいつも泥船だ。

一月十八日(金)
昨年末にしんぶん赤旗が掲載した記事を紹介しよう。
「森友・加計」問題/疑惑に口拭って越年するのか

と題し
国民の怒りは収まらず

の小見出しの付いた段落では
内閣支持率が軒並み低下した今月の世論調査でも、「森友」問題や「加計」問題での安倍政権の説明に「納得していない」という回答が72%を占めます(「毎日」17日付)。時事通信の世論調査では、閣僚としてふさわしくない人物として、「口利き」疑惑や政治資金収支報告書の虚偽記載などが相次いだ片山さつき地方創生相に続いて、「森友」問題で監督責任を問われた麻生太郎副総理・財務相が2番手に挙げられています(14日配信)。国民は「森友」や「加計」問題に納得せず、怒っています。

そのとほりだ。国民民主党には、共産党との選挙協力に反対の人もゐるだらう。その理由は、連合が全労連と対立してきたためだ。云はば、自民党の或る議員がトヨタ自動車と取引が長く、別の議員がホンダの系列で、互ひに仲が悪いとしよう。しかしそれは選挙区民とは何の関係もない。
同じやうに、国民民主党は連合の下請けではないのだから、国民のために活動すべきだ。

一月十九日(土)
リテラに
2018年、安倍首相のバカ丸出し&人格破綻発言集

と題する記事が載った。全部で十五あるので、幾つかを紹介したい。まづは
バカ&人格破綻発言その12
「(公開した交渉記録について)3000ページをちゃんと真面目によく精読していただければ(わかる)」
「みんな3000ページ読んでるわけがない。3000ページは大変なんですから」

これの解説では
財務省が公開した交渉記録は約1000ページ。約3000ページというのは改ざん前の決裁文書のほうなんですが……。ようするに、安倍首相は説教をぶちながら、自分は交渉記録を読んでいないどころか、交渉記録と決裁文書の区別さえついていないことを自らバラしてしまった、というわけなのである。/いや、じつのところ“肝心な部分”は読んでいるだろう。実際、昭恵夫人の「いい土地ですから、前に進めてください」発言が出た2014年4月28日の交渉記録は、いまなお出されていないままだ。一体、誰がこの交渉記録を消し去ったのか。真相を闇に葬らせるわけにはいかない。


一月二十日(日)
次は
バカ&人格破綻発言その13
「私が(加計孝太郎理事長に)食事をごちそうしてもらいたいから国家戦略特区で特別にやるって、たとえば焼肉をごちそうしてもらいたいからそんなことするって、これ、考えられないですよ!」

これの解説は
誰も「焼肉をゴチになったから、そのお返しに」というかたちで特区が決まったなんて言っていないし、思うわけがない。しかも安倍首相は「こちら側も相当ごちそうしている」「焼肉屋の場合はこちらが払ってる場合もありますし」と証拠も何もないままざっくりした記憶を並べ立て、「贈収賄になるとはとても考えられない」と強弁。何をトチ狂ったのか、ついには「(会食の)その後も、家でもう1回食べるってことも(ある)」などと言い出したのだった。接待を受けたあとに家でシメのお茶漬けをかき込めば贈収賄にならないって、それはどんな理屈なのか……。

解説は更に続き
安倍首相と加計理事長の仲はそんな「焼肉をおごる・おごられる」というような庶民的なものではけっしてなく、実際に「週刊文春」(文藝春秋)2017年4月27日号では、加計理事長が「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ」と口にしていたと報じられている。「焼肉」をもち出して矮小化しようとは、姑息すぎるだろう。


一月二十一日(月)
バカ&人格破綻発言その15
「ゴルフに偏見を持っておられると思います。ゴルフはいまオリンピックの種目にもなってますから。ゴルフがダメでですね、テニスはいいのか、将棋はいいのか、ということなんだろうと思いますよ?」

この発言は酷過ぎるので、私も以前に批判した。解説は
テニスだろうが、将棋だろうが、利害関係者と交友をもつことが問題だと言っているのに、なぜかゴルフ擁護をおっぱじめた安倍首相。(中略)総理大臣という最高権力者が、利害関係者と頻繁にゴルフや会食をすることの不適切性をまったく理解せず、小学生メンタリティで幼稚な反論をテレビで繰り出す。これぞ、この国の恥ずかしい実情なのである。


一月二十二日(火)
記事は最後に
ここまで読んだ読者は、「どうしてこんな人物が総理なの……」 と溜息をつかずにはいられないだろう。今年の発言を振り返って確実に言えることは、国民の命を守ることに関心がなく、お仲間を優遇し、国民を欺き、フェイクを垂れ流し、つねに詭弁を弄する、そういう総理大臣だということだ。

リテラは実によい記事を書いた。(終)

前、モリカケ疑獄百七十六の二モリカケ疑獄百七十七

メニューへ戻る 前へ 次へ