千百二十一 二つの記事を賞賛(1.「稲盛流を次世代に」 革命児・千本氏の経営者育成 、2.自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由)
平成三十戊戌
四月十三日(金)「稲盛流を次世代に」 革命児・千本氏の経営者育成
最近二つの記事を読み、どちらもその優れた内容に感嘆した。まづは日経電子版に掲載された『「稲盛流を次世代に」 革命児・千本氏の経営者育成』。感嘆したのは次の部分だ。
千本氏は「ベンチャー経営は、最初はうまくいっても必ず地獄の谷がある。理由は様々だが、9割はそこでだめになる。そのときにはい上がれるようにするには、慎重に他人の3倍の準備をしないといけない。私は数カ月で700ページに及ぶ事業計画書を作った。何度も反すうして見直して、夜中、夢に出てくるぐらい、思い詰めたものだ」と話す。

この部分だ。これだけでも十分に判るが、この予備知識として
稲盛氏から学んだ成功の秘訣について、千本氏は「野心と慎重さ、相反するこの2つの気質を両立させること。世の中の経営者はどっちかで、ほとんどの人は慎重。一方、ベンチャー経営者によくあるのはリスクをとって行動する大胆さだ。片方だけでは成功しない。一人の人間の中に99%の慎重さと、1%のリスクをとる勇気を共存させられる人が成功する。稲盛さんは大胆な人に見えるが、よく徹夜を重ねて準備していた」と振り返る。

がある。なるほど開始前の準備が一番重要だ。しかもリスク管理がその中心だ。私は最近、二つの事業企画を試案したので、これを例にリスク管理をしてみたい。

一つ目は草津熱帯圏に猿の温泉を作ることだ。温泉を引くには加入料、会費が高い。これを草津町振興と云ふことで免除してもらはないと難しい。或いはどこかのホテルからかけ流しのお湯を分けてもらひ、代はりにホテル名を園内で宣伝する。
ヒートポンプの冷房は、どこかの機械メーカーに、これも園内の宣伝と引き換へに無料で試作してもらふ。草津温泉はわざわざお湯を冷却するくらいだから、その余熱利用で機械も将来性があるのではないか。あとリスクは配管の閉塞と強酸による腐食か。
リスクを下げるため、冬の間だけ温泉に縮小することもありか。

中之条町の中性湯はリスクが高い。町境に作って湯川の水温はヒートポンプ熱源として十分か。不十分な場合は応徳温泉に建設し、それを熱源にするが湯量は十分か。矢沢川または大沢川の水を応徳温泉まで引く工事費と認可が難しい。タンク車で移動させるか。中和沈殿物を観光客が満足するくらいに増やす方法もリスクだ。

二回目に読んだあと最初は次の部分で疑問を感じた。
マネジメントチームをつくるのもサポートした。「私が来たころ、レノバは頭のいいコンサルタント集団だった。組織としてはひ弱で、まるで砂のようだった。強い組織というのは粘土のようなもの。プロの経営陣が協力して、落とし穴がないか、隅々まで目を配らなければいけない。創業期は仲良しの組織でいいが、フェーズによって必要な人材は違う。人材の入れ替えも進めた」と話す。実際、創業メンバーで現在も取締役なのは木南社長だけ。

三回目に読んで、私の読み間違へに気付いた。二回目に読んだとき創業メンバーで残ってゐるのが社長だけだと思ったから、残りの人はどうなったのかと疑問だったが、取締役なのが社長だけなのは構はない。だつたら十割千本さんに賛成だ。あとは日本では優秀な人ほど安定志向なので、これをどう変へるか。
安定志向ができるには原動力が必要だ。私はそれを長時間残業とみた。これを無くせば日本経済全体の収益が悪化し、安定志向が消滅するとともに千本さんみたいな人が続出する。私が長時間残業反対と主張するときは、ここまで考へてのことだった。

四月十四日(土)自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由
「自衛隊が尖閣防衛には不適任な水陸機動団や空母を持ちたがる理由」はDiamondオンラインに載った優良な記事だ。軍事ジャーナリストの田岡俊次さんが執筆した。離島防衛は制空権と制海権を持てば敵が侵入しても長期は維持できないとするものだ。だから今回発足した水陸機動団は無駄と云ふ内容で、それはそのとほりなのだらう。だから田岡さんの主張に100%賛成だ。
しかし将来、制空権と制海権の推移はどうなるのか。敵が無人島ではなく人の住む島に上陸したらどうなるのか。議論すべきことはたくさんある。議論する人が少ないなかで、田岡さんは貴重な存在だ。と同時に防衛省内部での議論はどうだったのか。
組織と防備について議論すると同時に、議論すべき仕組みがどうだったかも議論する必要がある。(完)

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