千百二十一 「西郷どん」特別番組にみるNHKの傲慢
平成三十戊戌
四月八日(日)
大河ドラマ「西郷どん」が本放送を一回休み、その時間枠に特別番組を放送した。私は最初の一分を見て予想どほりなのでスヰッチを切った。最初の一分で渡辺謙と鈴木亮平に、それぞれ相手役が決まったときどう思ったかを質問した。鈴木は「2秒くらい止まりました」と答へた。この当たり障りのない解答ではこの先、残りの44分間で面白くなることは絶対にない。
ここで「渡辺謙さんは昔は名優でしたが、今は老けましたからねえ」と答へたら面白かった。渡辺謙も「あんな無名に近い男が主役では、俺の出る役ではないですよ、本当は」と答へたなら面白かった。その後、渡辺謙がどうしてこの役を引き受けたのかと、二人の関係修復は興味深い。しかしNHKは人畜無害な構成を選んだ。
それより更に重大な問題がある。役者は舞台が勝負、俳優はテレビカメラの前が勝負だ。舞台を降りたら私人だ。それを皆に見せてはいけない。舞台裏の諸事情も皆に見せてはいけない。

四月八日(日)その二
一つの番組が成功するかしないかは、番組関係者全員がハラハラするところだらう。ところがNHKは番組が成功すると勝手に思ひ込み、しかも国民は番組の裏情報を知りたいだらうと勝手に考へ、そして裏情報を押し売りした。しかし国民のほうが賢かった。これまで14%台で推移してきた視聴率が、特別番組の週だけ9%台に落ちた。
落ちたことは笑ひごとでは済まされない。俳優の出演料、NHK職員の給料、番組の制作費、45分間電波を放出するための電気代とテレビ塔使用料、更にはその帯域の電波が45分間有効に使はれるはずだった機会の喪失。これらを合計すれば大変な経済損失になる。

四月八日(日)その三
NHKは組織が堕落することを知らないらしい。民間企業では競争が堕落の防止になってきた。NHKのよくないところは45年以上前から番組紹介なる自分たちの番組を無料で国民に押し付けることをやってきた。受信料で自分たちの番組を宣伝するとはとんでもない話だ。
それでも45年前は番組紹介は一つだった。今は一度に幾つも宣伝する。あと45年前には無くて、今は現れたものに、アナウンサーが解説委員に昇格したりディレクターに昇格したりする。これもとんでもない話だ。あと昔に比べて悪くなったものに番組の中立性が損なはれるやうになった。今回の特別番組を見て思った。NHKは解体の時期だ。(完)

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