千九十一(その九十六) 閣僚と党幹部は安倍に反旗を翻せ
平成三十戊戌
二月二十三日(金)
閣僚は首相の部下ではなく、同僚である。だから閣議がある。戦前はそれを悪用して誰か一人が辞任すると内閣が倒れた。そのため戦後は首相に閣僚の罷免権が与へられたが、同僚であることに変はりはない。
似たものに会社の取締役会がある。取締役は代表取締役の部下ではなく同僚だから、取締役会で代表取締役を解任することが過去の三越事件などときどき起きる。
今の閣僚どもは安倍の同僚を自覚してゐるのか。家来、ご機嫌取り、太鼓持ち、草履取り、奴隷みたいな連中がゐるとすれば、これは批判しなくてはいけない。

二月二十四日(土)
ロイターによると、防衛相の小野寺は二月二日の記者会見で
米軍が新型迎撃ミサイルの実験に失敗したことについて、自衛隊による取得計画に変更はないとの認識を示した。米軍は同ミサイルの発射実験をこれまでに3回実施、うち2回が迎撃に失敗したことになる。
(中略)小野寺防衛相は、「迎撃は確認されていないと聞いている」とした上で、「仮にミサイルに改善する点があれば、今後の生産過程に反映させていくことは十分可能と考えている」と説明。

まづ「迎撃は確認されていないと聞いている」とはいったい何だ。マスコミは既に失敗したとの情報で記者会見に集まった。それなのに防衛相がこんな言ひ草ではいけない。
「仮にミサイルに改善する点があれば」もいけない。防衛相なのだから改善する点があるのか無いのかをはっきりさせるべきだ。「今後の生産過程に反映させていくことは十分可能と考えている」と云ふが、反映させることを十分可能と考へる根拠は何か。そもそも改善する点があれば今後の生産過程に反映させることは当たり前のことだ。こんな無駄な発言しかできない男は防衛相失格だ。
小野寺は安倍の派閥ではないが、安倍と同格を自任しないから閣僚になった時点で安倍派と見做された。見做されないためには閣内でもっと反対の態度を取るべきだ。

二月二十五日(日)
党幹部も同じだ。総裁の家来、ご機嫌取り、太鼓持ち、草履取り、奴隷になってはいけない。東洋経済オンラインに政治ジャーナリストの泉宏さんが『金メダル報道一色のカゲで、安倍政権に暗雲 「炭水化物疑惑」と「不適切データ」で紛糾必至と題して執筆した。それによると
国有地売却をめぐる森友問題は、(中略)佐川氏の虚偽答弁問題を含めて一段と疑惑が拡大した。ただ、政府は麻生太郎財務相らが「払い下げ価格の交渉記録ではない」と強弁し、佐川氏の国税庁長官への昇格も「適材適所の人事」(麻生氏)として野党側が迫る佐川氏の国会招致にも応じない構えだ。

ここはぜひ麻生さんの謀反に期待したい。次に
森友問題は大阪地検が捜査中だが、昨年夏に逮捕された籠池泰典、詢子夫妻は半年以上も収監されたまま。永田町では「籠池夫妻が釈放されて色々しゃべるのを嫌う首相への当局の"忖度"では」(司法関係者)との見方もささやかれる。

ここは法務大臣の反旗を期待したい。次に
与党内には「もはや佐川氏は隠しきれない。(国会招致を)どこかで決断しないと状況が悪化するばかりだ」(自民国対幹部)との不安が広がる。(中略)自民党は「佐川カードを切ったら、次は昭恵夫人や加計理事長がターゲットとなり、歯止めが利かなくなる」(国対幹部)との不安から、当面、招致拒否を続けるしかないのが実態だ。

ここは国対関係者の謀反に期待したい。

二月二十六日(月)
東京の公立小学校がイタリアの高級ブランドを標準服に選んだことは、大きな批判を浴びた。読売新聞によると
菅官房長官は13日の記者会見で、東京・銀座の中央区立泰明小学校が、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」がデザインした最大約8万円の標準服の導入を決めたことに関し、「保護者の負担が過剰にならないように留意するのは常識だ」と苦言を呈した上で、保護者の理解を得る必要があるとの認識を示した。

この記者会見は中身がない。なぜこんな高額なものを選定したのかを調べなければいけない。それなのに「保護者の負担が過剰にならないように留意するのは常識だ」「保護者の理解を得る必要がある」と当たり前のことに終始した。
そもそも保護者の圧力があって高額のものを選んだのではないのか。しかし高額なものを選んだことに反発する保護者もゐるだらうし、公立小学校なのに世間の目も厳しい。これらを論じることなく当り障りのないことに終始した。
菅のモリカケ問題への、のらりくらりとした会見に反発して名物記者の望月さんを生んだ。菅の唯一の功績だ。もう一つ功績を作る方法がある。安倍に反旗を翻すことだ。(完)

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