千七十六 1.西部ゼミナール(藤井聡さんとの対談)、2.藤井さんの著書
平成三十戊戌
一月六日(土)西部ゼミナール
西部ゼミナールの本日の出演は、内閣官房参与・京都大学教授藤井聡さんだった。対談内容を記した私のメモ書きによると
インフラとスープラ(supra)、藤井さんは下部が物質、上部が精神と考へて、マルクス主義者ではないが、工学系はマルクスに近い。
西部さんは逆の考へ。しかし基礎と方向で考へれば、言語や文化の基礎があって、英語は共通言語だからこれを使ふと云ふ方向がある。
藤井さんが、マルクスは下から上しか云はなかった、上から下を云へば違ったものになったのでは、と説明。
レジリエンスは強靭性、元に戻す力。1980年代にアメリカの外交官が、日本をフラジャイルフラワーと称した。見かけはきれいでも壊れやすい。
最近はスープラだけで考へる人が多い。更にはスープラも細分してその中のマーケットだけしか考へない。
以上の貴重なお話があった。上部構造、下部構造について、私は藤井さんと同意見だ。西部さんの言語、文化を下部、活動を上部とする主張は、上部の下半分を下部に組み込めば可能で、本来の下部は上から降りて来た上部の半分があるから目立たない。それだけの話で、西部さんと藤井さんがある程度の時間をここに費やしたが、本質の話ではない。
そのことより西部さんが、「英語は共通言語だからこれを使ふ」と話されたことが気になる。まづ
(1)英語の学習には膨大な時間が掛かる。そして膨大な時間を掛けても
(2)英語を母国語とする人と話すと、外国人(特に英語とかけ離れた言語体系の人たち)は三流人扱ひ、属国人扱ひ、子供扱ひになる。
(3)英語崇拝、西洋崇拝になる。
(4)日本の言語、思考形態への悪影響が、社会破壊となりかねない。
(5)今後はAIにより自動翻訳が急激に発展する。
一月七日(日)藤井さんに100%賛成の予感
これまでの西部ゼミでは、出演者の話を聴いたときはそのとおりだと100%賛成でも暫くするといろいろ疑問が出てくることがある。例へばマークス寿子さんが出演したときそのとおりだと100%賛成だったが、終って暫くするとドイツは東西に分裂してゐたから軍事力を復活できた。日本とは違ふと気づいた。
藤井さんの話は時間が経過しても疑問が出て来ない。100%賛成が続く。しかし私と藤井さんは立場が逆だ。私は自然保護で土木や建設は反対、藤井さんは土木が専門。これまでのところ立場は逆でも意見が同じだ。私は今後も同じだと予想した。
一月十二日(金)「クルマを捨ててこそ地方は甦る」
藤井さんの著書「クルマを捨ててこそ地方は甦る」は同感だ。私もかねてから車が街を破壊すると考へてゐた。
欧州はもとよりアメリカにも路面電車が走ってゐる。かつての路面電車とは区別してLRTと呼ぶことも多い。それに比べて日本はほとんど路面電車、LRTがない。
この書籍は100%賛成だ。私と藤井さんは立場は逆でも、工事対象が都市部だから、立場は同じとなる。藤井さんは決して自然を破壊しろとは云ってゐない。
一月十二日(金)その二「プライマリ-・バランス亡国論」
プライマリ-・バランス亡国論は100%賛成だ。もし藤井さんが官庁勤務だったら民間との立場の違ひで、建築と人件費を分けるべきなのに全体で論じてゐると感じただらう。
しかし藤井さんは官庁勤務ではなく大学教授だ。だから100%賛成だ。消費税の話は特に100%賛成だ。強いて藤井さんとの違ひを挙げれば、私はプラザ合意の影響が今でもあり、それが成長率の低い原因だと考へる。考へるが消費税増税はしてはいけなかった。
一月十三日(土)本日の西部ゼミナール
先週に引き続き、西部ゼミナールは藤井聡さんが出演した。昨日紹介した「プライマリ-・バランス亡国論」の本を映してから次の対談があった。
プライマリー・バランスでは日本を強靭化できないと大蔵省に何回も説明したのだが彼らの耳を素通りした。
国内の預金高は1700兆、政府の借金が1000兆だから、700兆の預金がある。
1000兆のうち、失敗だとか役所間の縄張り争ひで300兆は無駄だとしても、700兆は有効。
政府は更に一翻(イーハン)あり、お札を発行できる。
プライマリー・バランスを守れと云ってゐる先進国は日本だけ。
以上のお話があった。内容は100%賛成だが、強いて違ひを挙げれば、昨日と同じくプラザ合意か。プラザ合意の影響がある限り、低成長は抜け出せない。
一方で番組終了直後に、新たなことを考へた。プラザ合意は30年も前の話だ。その後にバブルがあったがあれは過去に溜まったガスが爆発したみたいなもので無視できる。その後の低迷が普通と考へるべきだと。つまりプラザ合意以前が、戦争による最貧国から一流経済国まで上りつめる幸運な時代だった。
しかし番組終了後2時間を経過すると、更に新たなことを考へた。プラザ合意の影響はまだ解決してゐない。
これを解決できないのは、自民党が利権集団だからだ。これまでの野党も利権集団だからだ。官庁職員が個人経営者や中小企業従業員と同じ立場から、大企業と同じ立場になってしまったからだ。否、大企業労働者と中小企業労働者にプラザ合意以前は差はなく、かへって中小のほうが給料が高い場合もあった。少なくとも個人経営者の収入は被雇用者よりはるかに多かった。
プラザ合意の影響とは、こんなにある。(完)
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