千三十六(その五十八) 加計学園が濡れ手に粟商法の理由
平成二十九丁酉年
十一月四日(土)
加計学園が濡れ手に粟商法の理由を説明したい。9月12日にロイターは次の記事を発信した。
[東京 12日 ロイター] - 文部科学省は、経営悪化が著しい私大に対し、事業撤退を含めた早期の是正勧告をできるような制度改正の検討に入った。複数の関係筋によると、少子化に伴う学生の定員割れが深刻化し、4割の私立大学が赤字経営に転落。(以下略)

これは二十五年前から予想されてゐた。この年の高校卒業者数が最大であとはこの年の出生数に至るまで減少が続いたからだ。だから私はコンピュータ専門学校の教員を辞めてコンピュータ業界に戻った(最初の会社は商社でハードウェア販売が得意だったし、今の会社も最初はハードウェアの販売も行ってゐたからソフトウェア業界と云ふよりはコンピュータ業界だった)。
加計学園はそんなことも判らずあちこちに学校を拡大し報道によると赤字ださうだ。そして獣医学科は倍率が高いことに目を付けて、無理やり割り込まうとした。しかもその際に特区悪用、忖度悪用、安倍ゴルフ悪用と云ふ手段を用ゐた。

十一月五日(日)
獣医は余ってゐるのか、それとも不足してゐるのか。これについて6月4日毎日新聞に<加計学園>「獣医特区」は妥当? 農水省、需要減指摘と題する記事が載った。これによると
学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区で新設を計画する獣医学部を巡り、実は獣医師を所管する農林水産省が、特区の協議で獣医療の需要が低下する可能性を繰り返し指摘していた。実際、ペット数が急減しているとの統計もある。獣医学部特区の認定で獣医師の需給予測は十分に検討されたのか。【福永方人、永山悦子】
【ペットは減少傾向?】高齢犬合計数の推移
(前略)獣医業界の複数の関係者は「産業動物獣医や公務員獣医は多くの地域で不足しているが、ペット獣医は余り気味」と証言。全体として数は足りているとみる。

ペット数について
同省畜水産安全管理課は取材に「犬猫の数の把握は困難で新たな推計はしなかった。近年、ペットは急激に減少しているとみられ、獣医師の需要が増すとは考えていない」としている。

今回の騒ぎについて
ある獣医系大学の教授は加計学園の計画について困惑をあらわにした。「定員160人というのは、天文学的な数字ですよ」
(中略)獣医系学部・学科は現在全国に16あり、定員は最多でも120人、定員の合計は930人だ。加計(かけ)学園が来年春の開学を目指す岡山理科大獣医学部は定員160人で、既存の国公立大4~5校分に相当。総定員を一気に2割近く増やす。

国立大学の定員は30人から40人。人数は多少減らすやうだが、愛媛県の需要を考へれば国立大学並みの30人が限度だ。獣医師会は今後、加計学園の卒業生を愛媛県から外で就職させてはいけない。そのため獣医の子を加計学園に入学させてはいけない。愛媛県内で獣医が過剰になることは前愛媛県知事がさかんに国会の参考人で叫んでゐたので、この男に責任を取らせようではないか。
加計学園が教員スカウトに奔走している--。そんなうわさが、獣医業界を昨年から駆け巡っていた。同学園が特区事業者に決まったのは今年1月。見切り発車のような動きに「やはり加計ありきだったのか」と疑念が広がった。
獣医系の大学関係者によると、西日本のある国立大の准教授は昨年冬、同学園に「教授で迎えたい」と誘われた。提示された給与は1年目1200万円、2年目以降800万円。獣医系の教授の年収は700万~800万円ほど。「教授」の肩書も含め好条件だった。しかし、学生の教育に専念することを求められ、准教授は研究を続けたいとして断ったという。

ずいぶん悪質な話だ。
将来のペット獣医過剰を暗示するショッキングな推計がある。犬の血統書を発行するジャパンケネルクラブ(JKC)の調査などを基に獣医コンサルタント西川芳彦氏が試算したところ、10~15歳の高齢犬の数が今年をピークに右肩下がりとなり、10年後に6割を切るという。西川氏は「病気になりやすい高齢犬が減れば獣医はどんどん余っていく」と指摘する。
特区認定に向けた加計学園の資料によると、新設学部は「先端ライフサイエンス研究」を強調するが、ペット獣医も養成する。西川氏は「学生が卒業するころにはペット獣医で食べていけなくなる。学部新設は最悪のタイミングだ」と話す。
北海道大人獣共通感染症リサーチセンター統括の喜田宏教授も「獣医師の数が足りている現状では、むしろ既存の獣医学部の統合再編で教育の中身を充実させるべきだ。新設は本当に必要なのか」と疑問を呈している。

加計学園は絶対に阻止しなくてはいけないし、開校するなら絶対に廃校させなくてはいけない。(完)

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