千三十一(その四十七) 野党は逆転の好機だ(安倍の「詐欺を働く人間」暴言を許すな)
平成二十九丁酉年
十月十四日(土)
安倍が取り返しのつかない暴言を吐いた。時事通信のWebページによると
安倍晋三首相は11日夜のテレビ朝日での党首討論会で、昭恵夫人が学校法人「森友学園」の小学校名誉校長を一時務めていたことについて、「(前理事長の籠池泰典被告に)だまされてしまったのだろう」と述べた。
首相は「籠池さん自体が詐欺で逮捕、起訴された。こういう詐欺を働く人物のつくった学校で、妻が名誉校長を引き受けたことは問題があった」と語った。

多くの人が安倍の発言を不快に思ふ。その理由はトカゲの尻尾切りだ。尻尾だけ切り離して胴体は安泰を決め込む。トカゲの場合は全体が一つの生物だからまだよい。安倍と籠池さんは別の人格だ。これでは切り捨てられた籠池さんが可哀さうだ。
私はアジア主義だが、籠池さんは中国や韓国の悪口を園児に叫ばせた。私は仏教を中心に全宗教同一の立場だが、籠池さんは神道。立場が正反対の私でさへ森友学園が債務超過に陥り、籠池さんが逮捕されたことに同情心を持つ。安倍は籠池さんと思想が同じにも関はらず、籠池さんを今回「詐欺を働く人間」と呼んだ。
野党は逆転の好機だ。明智光秀に本能寺の変を起こされ、このままでは天下を盗られてしまふ。しかし羽柴秀吉による備中大返しの好機だ。

十月十四日(土)その二
今回の暴言には多くの批判が湧き起こった。毎日新聞のWebページによると
安倍晋三首相が(中略)森友学園前理事長、籠池泰典被告(64)について「詐欺を働く人物」と述べた。法曹関係者は「司法の独立を侵す問題発言だ」と批判している。

具体的な批判については、例へばHUFFPOSTが弁護士の郷原信郎さんの「郷原信郎が斬る」を転載し
籠池氏の公判も始まっておらず、本人に言い分を述べる機会は全く与えられていないのに、行政の長である総理大臣が、起訴事実が「確定的な事実」であるように発言する。しかも、安倍首相は、憲法の趣旨にも反する、不当極まりない解散(【"憲政史上最低・最悪の解散"を行おうとする「愚」】)を、総理大臣として自ら行った。

これは悪質だ。更に
法務大臣には、個別の刑事事件に関しても、検事総長に対する指揮権がある(検察庁法14条但し書き)。その法務大臣に対して、閣僚の任免権に基づき、指揮を行うことができるのが総理大臣だ。そのような「行政の最高責任者」が、司法の場で裁かれ、判断されるべき籠池氏の詐欺の事件について、「籠池さんは、詐欺を働いた」などとテレビの総選挙に関する党首討論で、言い放ったのである。法治国家においては、絶対に許せない「首相失格の暴言」だ。

そのとおりだ。最近は弁護士への国民の信頼感がかなり揺らいでしまった。郷原さんのやうに正論を主張する弁護士がたくさん現れれば信頼の回復は可能だ。郷原さんは続けて
しかも、この籠池夫妻逮捕に関しては、逮捕された直後にも、ブログ【検察はなぜ"常識外れの籠池夫妻逮捕"に至ったのか】で指摘したように、「補助金適正化法違反で告発受理した事件」について、「詐欺罪」で逮捕するというのは、従来の検察実務の常識に反する。この点については、さらに検討した上、籠池氏の勾留満期直前に、【検察は籠池氏を詐欺罪で起訴してはならない】で、詐欺罪での起訴はあり得ないこと、詐欺罪で起訴すべきではないことを指摘したが、大阪地検は、なぜか無理やり「詐欺罪での起訴」を行った。

この後も鋭い指摘は続く。ぜひ原文を読んでほしい。郷原さんは最後に
そして、「森友、加計疑惑隠し」と批判される解散を強行し、選挙が公示されるや、今回の、信じ難い「暴言」だ。
このような首相発言が許されるとすれば、もはや今、日本は法治国家ではない。

日本は法治国家ではなくなってしまった。三代目のせいで。どこかの国にそっくりだ。(完)

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