千三十一(その四十四) 1.希望の党は立憲民主党と選挙協力を、2.西部邁さんの「安倍首相は真の保守ではない」
平成二十九丁酉年
十月五日(木)
希望の党を設立した目的は、自民党に替はる政党を作ることだ。安倍のやうに露骨なお友達濡れ手に粟政策をやったのに、政権交代できないと云ふのでは某独裁国と変はらない。あ、安倍も三代目だった。
立憲民主党が結成されて、自民党に楽観ムードが出て来た。産経ニュースによると
希望の党など野党候補が乱立する情勢となり、自民党内では選挙情勢を楽観する見方も出ている。(中略)安倍首相は3日、党本部で開かれた選挙対策会合で「愚直に政策を訴えて気を引き締めて戦おう」と党幹部に指示。

希望の党と立憲民主党の闘ふ相手は、安倍自民党だ。希望の党としては、あまり意見の異なる人は入れたくないと考へたのだらう。立憲民主党としては、排除された気持ちが強い。しかし野党は与党と闘ふことが役割だ。今からでも選挙協力は可能だ。

十月六日(金)
産経新聞の偏向の背景は不思議だ。数か月前までは憲法改正の安倍を支持するあまり「前川は官僚のクズだ」をはじめそれと同等の偏向記事を書き続けるのだらうと想像した。
しかし安倍の保守は偽物だ。保守政治をするため首相になったのではなく、首相になりたくて或いは首相の地位を守りたくて保守派のふりをしてきた。それなのになぜ産経新聞が偏向記事を書き続けるのか不思議だった。
希望の党が結成され憲法改正を主張しても、相変はらず偏向記事を書き続ける。どうやら産経新聞の背景は別にあるやうだ。まさか産経新聞にそんなことは無いだらうが、官邸の機密費で偏向記事を書く雑誌やジャーナリストはゐると思ふ。

十月七日(土)
安倍は昨日国分寺駅前など都内二か所で演説したが、場所を事前に告示しなくなった。それでも「お前が国難」と記したプラカードを掲げた人がゐたと云ふから笑ひ物だ。一昨日は小田急線新百合ヶ丘駅前で演説する予定だったのに、急遽、四駅先の向ケ丘遊園駅前に変へた。BIGLOBEニュースには「前代未聞のトンズラ総理! 安倍首相がヤジを怖れて街頭演説をドタキャン、まさか党首討論からも逃げる気じゃ...」と題して次のやうに書かれた。
このトンズラ劇の背景には、前日のこともあったのだろう。4日、安倍首相は茨城県の水戸駅前で遊説をおこなったが、「この国難を国民のみなさまの信任を得て......」と話すと、聴衆からは「お前が国難だ!」というヤジがあがったのだ。

野党は、以上のエピソードをどんどん演説で使ったほうがいい。トンズラ総理とはなかなか語感がいい。そもそも安倍は解散後の記者会見で
「森友・加計の疑惑追及の回避ではないのか」という記者からの質問に対し、こう語っていた。
「追及回避どころか、こうした批判も受け止めながら、そこで国民のみなさまに対してご説明もしながら選挙を行う」
だが、臨時国会冒頭解散した先月28日、やはりゲリラ的に突然おこなわれた渋谷での街宣に始まり今日にいたるまで、安倍首相は演説のなかで一度も森友・加計問題にふれていない。「ご説明」をする様子はまったくなく(中略)自己正当化をつづけている。


十月八日(日)
ダイヤモンドオンラインに西部邁さんの発言が載った。まづ
本来の保守とは、その国のトラディション(伝統)を守ることです。近代保守思想の始祖とされるエドマンド・バークは、「保守するために改革(Reform)せよ」と説いています。現状が伝統から大きく逸脱していれば、改革を断行するのが保守なのです。

これは100%賛成だ。次に
そして伝統とは、その国の歴史が残してきた慣習そのものではなく、その中に内包されている平衡感覚のことを意味している。とかく人間の意見は左右に散らばって対立するものであり、そういった分裂を危機と呼ぶなら、時代は常に危機に晒されていると言えるでしょう。

これも同感だ。私自身は、外圧がない状態で長く続いたものが伝統、と表現することがあるが同じ意味だ。構成員が不満に思ふ慣習は外圧が無ければ崩壊する。
こうした定義に照らし合わせると、安倍首相は最初から保守ではなかったわけです。

これも100%賛成だ。しかしこれだけだと味も素っ気もないので、西部さんが続いて云ったことを紹介して終りとしたい。
実は第一次安倍政権が退陣した後、世間から総バッシングを受ける中で、僕だけは彼に手を差し伸べた。1年間にわたって毎月1回のペースで「保守とは何か?」というテーマの勉強会を開催して励ましたのです。
ただ、第二次安倍政権が発足してからは一度だけ食事をともにしただけで、意識的に距離を置くようにしています。(中略)もともと安倍さんには特に悪意を抱いていない一方で、特別に期待もしていないから。

ここだけは西部さんと正反対だ。第一次安倍政権で安倍が、前へ進むとかのポスターを掲示したとき、こんな抽象的なことを云ってゐては駄目だと思ひ、そして予想どおり自民党は大敗した。第二次安倍政権で最初は駄目だったが消費税を延期の後は、かなり期待した。しかし森友加計問題で不信感を持ち全面対決に至った。西部さんは期待せず悪意も抱かなかった。私は期待し、そして前川さんへの個人攻撃で悪意を抱くに至った。(完)

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