109、東西ハイブリッドは一時は栄えるが長続きできない
平成ニ十一年
九月三日(木)「東西ハイブリッドの時代」
明治維新以降昭和二十年までの日本は、西洋文明と日本文化が混在したハイブリッドの時代であった。一時は一等国の仲間入りをしたが昭和二十年に滅んだ。
昭和二十年以降は、西洋文明のなかでもアメリカ文化とのハイブリッドとなった。一時は経済大国となっても、出生率の低下、売国マスコミや売国官僚の出現、低俗文化の氾濫で日本は永続不可能となった。
九月四日(金)「明治維新後の軍事制度」
戦前の陸軍は強かった。その訳は将校下士官兵の三層からなる西洋猿真似軍隊で、このうちの兵の権利が侵害されていたためである。また、西洋は規則で軍内を統制したのに対し、日本は元々精神で統制できたところに規則も入れたから二重統制となった。その陸軍も西洋猿真似憲法の統帥権を乱用し、西洋猿真似で陸軍と海軍を分けたことにより、先の大戦で滅びた。
今でも自衛隊に言えることだが、陸海空の三つに分ける利点と欠点、階級の利点と欠点、将校下士官兵に分ける利点と欠点を研究し、日本に合った方法を用いるべきだ。アメリカ駐留軍の下請けと西洋の猿真似は脱却すべきである。
九月五日(土)「戦後の高度成長」
戦後の高度成長も、西洋の猿真似と日本の文化がハイブリッドしたことにより、弱者の権利侵害で成し得た。ここで弱者とは零細自営業、未組織労働者、大自然である。
農民は本来は弱者である。その証拠に多くの若者が都市で就職している。農薬と機械化で人減らしが可能となり間接のリストラを実施したのであった。農民の負担を野生生物と地球温暖化が肩代わりしたといえる。
日本の労働者の賃金が欧米に追い付いたのはプラザ合意のときである。それまでの賃金の低さが高度成長の原因ではないか、とも考えられる。しかしその後も貿易黒字が続くことを考えると、弱者の権利侵害も大きな要素である。
九月六日(日)「弱者と正直者とおとなしい人が損をする世の中」
ハイブリッド社会はなぜ悪いのか。それは我利我利亡者、腹黒い奴が得をする世の中だからである。今では我利我利亡者という言葉自体が死語となってしまった。日本全体が我利我利亡者で満ち溢れている。経営者だけではない。先日の電機連合などいい例である。
ハイブリッド社会は永久に安定期に入ることはない。なぜなら欧米自身が常に変化するためだ。
労働者派遣法を考えてみよう。これは総評の弱体化のなかで昭和六十年ころに、アメリカでは派遣が自由だという能書きとともに現れた。総評が元気ならこのような悪法は制定されなかったであろう。その結果は昨年末からの派遣切り騒動である。派遣法を改正しようと各党が試案を出してはいるが、まだまとまってはいない。そもそも労働者派遣が安定期に入ることはない。禁止すべきである。その前に戦後の雇用制度自体がまだ安定期に入っていない。
日本のビジネスモデルは、安定期に入る前に弱者から搾り取ることで成り立っている。
九月七日(月)「安定期に入る前の不均衡から儲ける」
IT業界で考えよう。正社員として雇用しても客先に放り込むだけで、ほとんどの技術者が三十代、四十代で辞めてしまう。
残った人も不景気のたびに少しずつ辞めさせる。正社員で定年まで雇用するふりをして実際には派遣労働者として差額を儲けるというのがこの業界のビジネスモデルである。
今年四月以降IT業界は大変な騒ぎである。社内に失業者が溢れている。私の勤務先でも賃金カット、年末のボーナスは無しと決まった。
倒産した会社も多い。私の属する労組でも或る執行委員の勤めるIT会社が倒産した。読売新聞が取材に来た。翌日の新聞に載ったそうである。IT業界の不況は今回で二回目だ。一回目は18年前にやってきて膨大な数のIT会社が倒産した。不況を何回も繰り返していつかは、日立や東芝や富士通は儲けているのにIT会社がなぜ多数倒産するのだという議論になり派遣や偽装請負が禁止されよう。しかしそれまでには数十年を要する。
九月八日(火)「日本の企業別労組はハイブリッドの過渡現象である」
日本の企業別労組はよくない。ああいうものがなければ労働者全体は等しく扱われ日本全体が平和である。ところが企業別労組は自分たちだけいい思いをして、その帳尻を派遣や下請けに押し付ける。電機連合委員長の発言がいい例である。悪徳経営者よりたちが悪い。
企業別労組は、労働組合という西洋の制度と日本の経済成長期がハイブリッドして生まれた。労働組合法という西洋猿真似の法律とハイブリッドして単祖の力が強すぎるという理由もある。経済の変動とともにいずれ企業別労組は淘汰されそして日本は安定期に至ろう。すでに組織率はそのことを示している。しかし完全にはまだ長い年月がかかる。自主的に産業別に再編すべきだ。それが労働組合の良心というものである。政治の使命というものである。
九月九日(水)「ハイブリッドの悪い理由」
ハイブリッドの悪い一番目の理由は、力の強い側が海外の都合のいい部分を取り入れる。例えば外国では簡単に解雇できるとばかり日本でも退職勧奨や嫌がらせがここ十五年ほど続出した。しかし外国では転職が容易である。もし日本で行うには転職者が一般的になるような社会制度をまず作る必要がある。採用時の年齢と転職回数による制限を禁止すべきだ。企業別労組を禁止すべきだ。公務員は社会の標準となるよう民間標準勤続年数となるような制度にすべきだ。だからといって首切りや期間限定はよくない。自然と民間に流れるようにすべきだ。
九月十日(木)「偏差値詐欺男」
人生は長いマラソンである。上り坂もあれば下り坂もある。学生時代の知識なんて42kmのうちの開始から50mである。ところが50m走っただけで自分は優秀だと思い込み、周囲にも思い込ませている連中がいる。これは日本の学校制度が悪い。明治維新後に欧米の学制を真似したからである。
日本の教育は一度明治維新前に戻す必要がある。人生は一生が勉強である。勉強をしていればどんどん優秀になるし、怠ればどんどん劣化する。相撲取りが毎日稽古をして強くなるのと同じである。「一年を二十日で暮らすいい男」という川柳は稽古を加算していない。
最初の50mであとは怠けてアメリカかぶれになっている連中はどうか。「マラソンを50mでごまかす詐欺男」といったところだろう。
偏差値詐欺男は言い過ぎだ、と思う人も居よう。しかし考えてみてほしい。殺人罪の時効を放置して来たのも、アメリカ属国を放置して来たのも、官僚天下りを当然のものとして実行してきたのも、英語公用語を言い出したのも偏差値詐欺男どもである。そもそも戦前の陸軍では陸軍大学校を出たかどうか、海軍ではハンモックナンバーで退職までの人事が決まった。そのため無能な男が司令官や艦隊司令長官を務め敗戦した。国民は偏差値詐欺男どもにもっと怒りの声を挙げるべきである。
九月十一日(金)「無風業界は無能人間の溜まり場となる」
詐欺男には自分で考える力はない。優秀のふりをするにはアメリカの猿真似しかない。官僚、新聞社、電力会社、大学の准教授といった連中にこのタイプが多い。
九月十二日(土)「アジアに裁判官と弁護士はいらない」
マンション女性ばらばら殺人事件の犯人が、昨日の控訴審で再び無期懲役に終わり、日本中が驚いている。死体を切り刻むという行為は西洋はいざ知らず日本では重罪である。裁判官は世間の常識とずれている。
弁護士も世間の常識とずれている。何でもかんでも主張すればいいというものではない。江戸時代には理不尽な訴え若しくは主張をすると罰せられた。訴えはともかく理不尽な主張は今でも弁護士、被告を問わず罰するべきだ。
裁判官と弁護士のよくない理由は個人の裁量に任されているためだ。日本では組織で結論を出す方法があっている。
昨日は司法試験の合格率が低いというニュースもあった。弁護士になりたい人は全員弁護士にすればいい。ただし例えば法律事務所は500人以上の所属を義務付け、出来の悪い人は永久に書類コピー係となる。下から順に成長するのが日本には合っている。アジアに裁判官と弁護士はいらない。裁判所と法律事務所があればいい。
九月十三日(日)「アジアに職業議員はいらない」
議員は民意の変化に合わせて増減する。つまり人生の半分は失業するのが普通である。こういうものは職業ではない。議員は町内会やPTAの役員と同じく無給であるべきだ。日本のように職業移動の少ない国は特に当てはまる。議員がなぜ有給なのか。それは欧米の猿真似に過ぎない。
日本では古来徒党は好まれない。これまで議会の多数を以って政権交代できなかったのはそのせいである。しかし政権交代がないと政治は堕落する。官僚任せと世襲議員とアメリカ属国化は堕落のいい例である。堕落せず政治をするには権威と判断と権力を分けるのがいい。国民は直接選挙で数名の天皇政事顧問を選ぶ。政事顧問は天皇に進言し各政党の党首のうちから適切な単数または複数に組閣命令を出す。政治顧問は各政党との連絡を一切禁止し公式な場には一切顔を出さない。給料も交通費程度にする。組閣命令は、同一政党には三回以上連続しない。内閣が退陣する条件は明文化しない。
これで日本に合った政治が可能となる。国会の不信任を内閣は無視することもあるし、国会はしつこく毎週のように不信任を可決することもある。世論はどちらかを応援するだろう。これで正しい政治ができる。すべてを明文化するとアジアではうまくいかない。
九月十四日(月)「アジアの一員として」
欧米文明から独立するには、日本だけ突出してはいけない。アジアの一員として欧米のやり方がアジアで平衡状態に達するには長い年月が掛かりその間不安定な状態が続くことを主張すべきである。
日本は欧米のやり方を真似して戦前は植民地争奪戦に加わり、戦後は経済競争に加わった。欧米の猿真似をすれば繁栄できるとアジアに思い込ませたことこそ最大の害悪である。しかし一時の繁栄に終わることを各国は見抜いている。そして石油消費文明自体が一時であることを世界は見抜いている。今こそアジアとともに一旦西洋文明流入以前に戻るべきであろう。
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