84、ビルマの竪琴

平成ニ十年
ニ月十七日(日)(ビルマの竪琴)
映画「ビルマの竪琴」の市川崑監督が十三日に亡くなった。この映画の原作は「ビルマの竪琴」という昭和21年の児童読み物である。

ニ月ニ十一日(木)(外国語は専門家に任せればいい)
ビルマの竪琴には、日本語を話すビルマ人も登場する。しかし日本語を話さない人たちとも、言語の壁を越えて話をしている。物語には出てこないが通訳がいたのであろう。
重要なのは話の内容である。言語は通訳に任せればいい。

三月十七日(月)(すべては欧米の植民地主義から始まった)
「ビルマの竪琴」は映画がヴェネチア国際映画祭サンジョルジュ賞、児童読み物は毎日出版文化賞、芸術選奨文部大臣賞文部大臣賞を受賞し、どちらも高い評価を受けている。戦後の焼け野原で多くの人々に感動を与えてきた。
これを戦後の進歩派と呼ばれる人たちが、批判する立場からは「旧日本軍を美化した」、賞賛する立場からは「反戦映画だ」と正反対の論評をしている。しかしどちらも正しくはない。当時のアジアは日本、中国、タイ以外の国は欧米の植民地だったことと、日本はその欧米の猿真似をしたことが忘れられている。そして戦後の進歩派と呼ばれる人たちが米英仏というアジアに広大な植民地を持っていた国の猿真似から始まったことも忘れられている。

三月十八日(火)(問題点を探すと)
問題点があるとすれば、少数民族の人たちを人喰い族として蔑んでいる。これは「ビルマの竪琴」の責任ではない。当時の日本人全体の意識であり、欧米人全体の意識でもあった。

三月十九日(水)(アジアの音楽1)
最初は、中国大陸を舞台に日本兵と中国兵が同じ歌を歌う設定だったという。しかし共通の歌が見つからずイギリス兵に変更し舞台もミャンマーになった。
日本はアジア各国と共通の音楽が少ない。それだけではない。日本人自身が明治維新以前の音楽を理解できなくなっている。日本人にとり音階のファとシを除いたものは心地が好い。試しに「浦島太郎」や「鉄道唱歌」を聴いてみよう。

三月ニ十三日(日)(アジアの音楽2)
アジア各国の音楽にも心地の好いものが多数ある。アジアは昔ながらの音楽を大切にすべきだ。西洋音楽は音量が大きく和音を多用する。一見魅力的である。しかし毒きのこと同じで派手なだけである。これに騙されてはいけない。

三月ニ十五日(火)(進歩派のすべきことは)
日本の自称進歩派の人たちは、終戦直後はアメリカまたはソ連、昭和50年頃からは欧州の社民勢力や北米の民主党を模倣した。しかし東洋では成功しない。欧米の模倣はまず伝統の破壊を伴い、これは弱者の切り捨て即ち永続不可能な社会である。
進歩派の人たちはまず幕末以降の西洋模倣社会の否定から始めるべきである。

三月ニ十八日(金)(江戸時代と明治政府)
進歩派の人たちも守旧派の人たちも明治政府は江戸時代よりよかったと思っている。ここからして間違っている。
江戸時代は全国に朱鷺が生息していた。明治以降激減し5年前に滅んだ。日本おおかみも絶滅した。農村は富農と貧農に二極化した。熊野本宮は長いこと熊野川の中洲にあったが山林の伐採により洪水で流された。
何よりも原爆投下と永続不可能な石油消費社会。明治政府は日本史上最悪の政権であった、と後世言われよう。それまで人類が生きていればの話だが。

三月ニ十九日(土)(まずは徳川幕府の批判から始めよ)
徳川幕府は明治政府よりは良かった。その前提に立ち、次に進歩派の人たちは徳川幕府を批判すべきである。武士は相続のときに禄を7割に減ずるべきであった。三世代の後は34%となる。農民も田圃を相続のときは7割にすればよかった。
進歩派はそのように主張すべきなのに欧米かぶれのため正しい批判ができない。


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