百十二、2009 東京国際環境会議

十月二十五日(日)「日経グループの限界」
二十三日に日経BP社主催で「東京国際環境会議」が開かれた。コンピュータ業界から二社が講演するので、私も出席した。
まず会議全体に言えることは、今より不自由な暮らしになってもいいではないか、という観点が完全に抜けている。省エネの技術紹介に留まっていた。先進国と称する国々は贅沢が過ぎる。自動車はなくても困らない。歩けばいいではないか。飛行機はいらない。遠くへは旅行しなければいいではないか。二世代前まではそのように暮らしてきた。なぜ今の人にできないのか。
多くの生物が滅亡寸前である。いや地球そのものが滅亡寸前である。のんきなことを言っている場合ではない。

十月二十七日(火)「パネルディスカッション1」
経済産業省の政務官、東京工大教授、大阪ガス社長の三名によるパネルディスカッションは極めて低調だった。政務官の
「経済産業省は優秀な人が多い」
「経済産業省の立場を逸脱しない範囲で」

という最初の挨拶からしてよくない。行政は各大臣が行う。事務方に優秀な人は必要ない。優秀な人は民間企業に行くべきだ。二番目に経済大臣の立場は逸脱しないようにすべきだが経済産業省の立場とは何か。大臣が存在するから事務方も存在する。事務方が存在するから大臣が存在するのではない。各省庁の設置を決めた法律や政令は廃止すべきだ。首相が大臣を決める。それに合わせて省庁を作り事務方を配置すればよい。事務方の組織に合わせて大臣を決めるのは、洋服の寸法に合わせて人間の足を切るに等しい。

十月二十八日(水)「パネルディスカッション2」
経済産業省と日本経団連の朝食会で或る日本経団連の幹部が鳩山首相の二酸化炭素25%削減について「怒りと困惑と憤りを感じる」と述べたそうである。地球が滅びるかどうかというときに、自分の利益しか考えない。こういう幹部こそ削減すべきである。

十月三十日(金)「パネルディスカッション3」
低調な挨拶を次に話した東京工大の教授が誉めた。大学教授がどれだけ低レベルなのかよくわかった。それより良くないのは「ウィナー」「チャレンジング」「ディマンド」となぜ変な日本語を使うのか。大学教授は話すことが商売だろうが。きちんとした日本語を使えない教授は解任したほうがいい。
一番まともなのが大阪ガス社長であった。

十月三十一日(土)「民間企業1」
SAPジャパンはよくない。「カーボンを排出」「カーボンを排出」とさかんに言っていた。カーボンとは炭素である。SAPの事務所では煤や炭の固まりを排出するらしい。付近の住民は喘息にならないように気をつけたほうがいい。英語表現の猿真似をするからこういうことになる。
「サステナビリティなアプローチ」「アグレッシブな目標設定」「コーポレートカー」という言葉も出てきた。コーポレートカーとは会社が幹部に貸与する車のことだそうだ。

十一月一日(日)
「民間企業2」
電源開発、エアバス、P&Gなど他の企業の発表もどのように二酸化炭素を減らすかという技術論に留まっていた。二酸化炭素を減らすことで経費も削減できれば一番よい。経費が激増する場合にどうするのか。そこには国際合意による二酸化炭素排出税しかありえない。そして一人当たりの二酸化炭素をもっとも大量に排出しながら、削減にもっとも反対しているアメリカという癌細胞を世界はどう扱うのか、という問題に突き当たる。

十一月二日(月)「アメリカはアメリカから出て行け」
先進国が排出を激減しない限り、非先進国が削減することはあり得ない。先進国で一番反対しているのがアメリカである。これは国の根本の構造に原因がある。あのような広大な地域に住めば環境問題や国際問題に無関心となる。自動車や国内航空路線が湯水のように石油を浪費するようになる。
アメリカ人はアメリカから出て行くのが一番いい。大航海前の状態に戻すためである。それが不可能ならせめて独立時の十三州に住み、残りは自然及び先住民保護区とすべきである。
世界はそう主張すべきだ。これくらいできないようでは、地球は滅びる。


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