60、議会が機能しない理由
平成十八年
五月三十日
日本の議会は機能していない。明治に国会が開設されて以来ずっと機能していないと言ってもよい。先の戦争は陸軍の暴走が原因だが、暴走した原因は国会が機能していないことにある。
日本の議会が機能しない理由は、議員の歳費にある。当選した議員が全額を受け取り次点以下は1円も受け取れない。これは日本には合わない。
小選挙区についていえば、法定得票数以上獲得した立候補者により、歳費は選挙区の得票数で比例配分すべきである。
六月一日
国会議員の給料は年間2100万円に及ぶ。それに文書通信交通滞在費が月100万円、海外視察費が年170万円、立法事務費、JRまたは航空クーポン券、公務出張の場合は別途交通費、国会議員互助年金、3人の公設秘書の給料と続く。
当選すれば貴族、落選すれば乞食。国会議員は日本最大のギャンブルである。このような状況に置かれると感覚がおかしくなる。高額な収入を何とも思わなくなる。それは議員個人が悪いのではない。ギャンブルによる感覚の麻痺が原因である。
総額か無か、というやり方は日本には合わない。
六月四日
「当選すれば貴族、落選すれば乞食」ということになれば、政治は二の次で誰もが貴族を目指す。それでは国民はたまらない。
一番いい方法は憲法を改正し議員は無報酬とすることである。そうすれば政治を志す人士のみが集まる。
しかしそれは理想論である。現実に可能なことは、歳費は法定得票を得た候補者たちが比例配分で受け取り、文書通信交通滞在費はこれら法定得票者すべてに実費を支給する。立法事務費は当選議員のみの所属会派に支給し、公設秘書は廃止する。
議員たるもの、四人分くらいの仕事ができて当たり前である。秘書なぞ不要である。
六月五日
まず、議会というものは日本人の性格には合わない。あれは白人が長年かけて築き上げたものだからである。
日本に合った方法を作るべきで、その第一歩として選挙制度を改良すべきである。
当選したものは議員、それ以外で法定得票数以上を獲得した者は準議員として政治活動を行う。これによりギャンブル性は解消できる。
六月八日
戦前の帝国議会には、名演説と呼ばれるものが幾つもある。100人に1人の割合でそういう議員がいたとしよう。残りの99人は何をやっていたのか。
日本が戦争を起こした一番の理由はアメリカが起こした世界大恐慌である。二番目にこれらを克服できなかった日本の議会と政党政治にある。間接的には欧米の植民地主義を模倣したことが理由である。
今の日本は極めて危ない。アメリカかぶれと民主主義かぶれが溢れているからである。これらを克服するために、まず日本に合った選挙制度を確立すべきである。
六月十四日
民主主義かぶれと民主主義は区別する必要がある。民主主義かぶれとは、一部の利権者が選挙を左右しようと、経済連や労組等の圧力団体が政治を左右しようと、民主主義さえ唱えていれば正しいと思っている人たちである。民主主義かぶれは民主主義の敵である。
欧米がどのような政治を行おうと、日本とは無関係である。徳川幕府はどのような弊害があったか、それを改善するにはどうすればよかったか。まずそこから考えるべきである。
六月十八日
欧米の軍国主義の猿真似をして本家軍国主義に敗れた先の大戦から、日本は何を学ぶべきか。猿真似は駄目だということである。
近代の欧米は、XX教崩れの唯物論とXX教の間を行ったり来たりしている。しかるに現在の日本は行ったきり戻るところがない。学校では国語の時間を充実し神儒仏の先人達の名言を学ぶべきである。
そのような議論が出来る国会議員を育てる為にも、選挙制度は日本に合ったものにする必要がある。比例代表についていえば、各政党に議席数だけ割り振り、議員は決めずに各政党が質問や投票する日当支給の人を任意に決める。これが日本に合っていよう。
衆議院は比例報酬制の小選挙区、参議院は比例議席数による任意の人の日当支給制にしたらどうか。
六月二十五日
暑い国では長い年月をかけて暑さに強い人が多くなった。寒い国も長い年月をかけて寒さに強い人が多くなった。日本も長い年月をかけて東アジアの列島に合った人民と治生産業と文化を築き上げてきた。欧米猿真似の結果、文化を亡ぼし、治生産業を亡ぼし、今まさに人民を亡ぼそうとしている。
明治憲法下で軍部が暴走したのも、戦後に政権交代が実質まったく起きなかったのも、偶然でも怠慢でもない。日本に合わない制度の当然の行く末である。
子々孫々に至るまで人民が豊かに暮らせる国を回復するには、まず選挙制度と議員制度を改革すべきである。
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