7、ヨーロッパから見た日本

作成日 西暦2000/05/25

2ヶ月間のドイツ出張がまもなく終了する。ある米企業からの仕事である。 この事実から明らかなように私は本来、親米派である。 親米派が時には反米的なことを言わねばならぬほど、今の日本は異常である。

これまで1年間インターネットで主張してきた内容は、保守、革新、無党派層のすべての人が賛成できるという特長がある。 例えば1月に「君が代」の曲を変えたらどうか、と提案した。 「君が代」に反対する人たちは、歌詞に反対しているのだが、国会の人数比からいって、歌詞の変更は無理である。 だったら曲を変えれば良い。 曲が古くさいといって現代風にしたら保守的な人(私も?)が反対するだろうから、純日本音楽にして皆の顔を立てた。

昨年秋にはマッカーサーを評価することで米国にも配慮した。 アメリカ大使館の親米日本人リストに私の名前が載っても良いくらいである。 それが無理ならせめて共和党の親米外国人名簿に載せてもらいたい。 米国の富豪や宗教関係者と知り合いになるかも知れない。 富豪はともかく宗教関係者とは近づきになりたいものである。

1 「昭和の日」に見る政治家の低意識

ドイツの祝日は、聖金曜日、復活祭月曜日、キリスト昇天日祭、聖霊降臨祭、聖霊降臨祭月曜日、キリスト聖体祭、贖罪の日、クリスマスなど名前を聞いただけで有り難みがあるものばかりである。 宗教と無関係のものは元日、メーデー、ドイツ統一記念日くらいである。 国会審議中の「昭和の日」は自民党が民主党内を分断させようという企みばかりが目立ち、有難みが全然ない。 そもそも、休日は各人が好きなときに取ればよい。 ゴールデンウィークは長すぎる。 4月29日と5月3日、4日は平日に戻したほうが良い。 5月3日の憲法記念日というのは変な名前である。 独立記念日とか講和条約締結記念日を祝日にしたほうが良い。 日本はアメリカの属国だと思っているのであれば別だが。

2 経済はヨーロッパ、文化はアジア

ドイツやフランスでは転職は生涯に数回であり、ちょうどアメリカと日本の中間に位置する。 日本は「経済はヨーロッパ、文化はアジア」を参考にすべきである。

英語圏ではない、などと言ってドイツやフランスを軽視すべきではないし、 日本はアジア唯一の先進国だ、などと思い上がってアジアの国々を軽視すべきでもない。 終戦直後ではあるまいし、そろそろアメリカ一辺倒から卒業する必要がある。 移民の国であり、歴史の浅い国を、その正反対の国が真似してどうするのだろうか。

3 新しい戦争ルールの策定を

戦争はなくすべきである。しかしなくならない以上、新しい戦争ルールを作るべきである。 東条英機が死刑になったのは不可解である。 本来は敗戦のときに多数の国民を死に追いやった責任を取り自殺すべきであった。 東条が自殺を試みたのはGHQに逮捕されそうになってからである。 戦争指導者は必ず前線から10km以内に毎週80%以上の時間滞在しなくてはならないという条約を作るべきである。 敵も戦争指導者を狙うから双方の指導者とも真っ先に死ぬだろう。 名目上の指導者という抜け穴を防ぐため、国際機関に指導者を認定する権利を与える必要もある。 これが戦争を少なくする最善の道である。 多数の国民を死に追いやり、自分だけぬくぬく生き延びることは許されない。

ここ数年、世界中でアメリカ離れが進んでいる。 理由は東西冷戦の終結の他に、大統領のスキャンダルが大きい。 アメリカ国内はもとより世界中がセックススキャンダルを毎日テレビで見させられ、うんざりしていたところへ、国民の目をそらそうとミサイル攻撃や空爆をはじめたのだから、世界中が怒るのも当然である。 クリントン大統領はホワイトハウスではなく先頭に立って指揮すべきだった。 世界中が「スキャンダルは起こしたが民主主義のために戦った、いいやつだった」と、その死を惜しんだであろう。

4 国連の改革を

「10年一昔」とは良いことわざである。 しかし5昔以上も前の戦後処理がまだ終わっていない。 国連の常任安保理事国は戦勝国という理由だけで構成されているからある。 国連は戦後多くの紛争を解決したが、拒否権のおかげで失敗したことも多かった。 拒否権のおかげでどれだけの人命が失われたか調べる必要がある。

本部がニューヨークにあるのも疑問である。 アメリカは民主主義の旗頭として重要な役割を果たしてきたが、中間派ではなく一方の極である。 ちょうどホワイトハウスや連邦議会がアメリカ民主党の本部にあるようなものである。 ジュネーブ、イスタンブール、ニューデリーが国連本部の候補地に挙げられる。 しかし一番適しているのは東西和解の象徴ベルリンではないだろうか。

5 日産自動車再生の道

ルノーはアメリカ企業によくあるような強権的態度で日産を買収せず、その態度は紳士的であった。 日産は早く立ち直り、日本EU間の合弁モデルケースとなってほしい。 日産では英語が使えないと2流社員扱いされるようになったという報道を昨年読んだ。 しかし英語を勉強する時間があったらどうしたら良い車が作れるか、どうしたらたくさん売れるかを努力すべきである。 外国語が必要なら通訳を雇えば良いし、電子メールを使えば簡単な英語で対処できる。

ドイツと並びフランスからも、日本は学ぶところが多い。

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日本帰国を前にして、ドイツ、デュッセルドルフ郊外にて