14、すべては円高から始まった


作成日 平成13年10月3日

父が7月に77歳で亡くなった。北京に留学した4人のうちで3番目の死亡なので、まあ長生きのほうだったのだろう。父以外の3人は戦後、グアテマラ大使、上海総領事、アンカレッジ総領事などを勤めたそうである。父も外務省にいればよかったのに、と誰もが思うであろう。しかしこの感想は1985年以降の円高が生んだものである。それまでは海外に行く人も送る家族も必死だった。

1 すべては円高から始まった
1985年の円高は諸悪の根源である。それまで日本人は実体を伴って勤勉に働いてきた。しかし円高のため非先進国に工場を移転するようになり、非先進国の労働力で食っていくようになってしまった。このような状態がいつまでも続くわけがないと内心は誰もが思うし、常に非先進国の追い上げに脅えなくてはならなくなった。
安く行ける海外旅行で欧米かぶれの軽薄な若者も増えた。国内旅行と同じ値段でアメリカに行けるのは異常である。

2 農業は国の根本
農業と漁業は国の根本である。そのためには、プラザ合意以前の1ドル260円台が適正であろう。しかし輸出産業を悪者にしてはいけない。外貨を稼いでくれるのである。一方で円高の原因でもある。外貨を稼ぐ企業は、その一定割合を海外投資するよう義務付けるなど、経済学者は良い方法を考えてほしいと思う。 農業と漁業が元気になれば地方は元気になる。地方は公共事業をあてにしてはいけない。

3 地上の楽園
非先進国は人件費が安い。誰もがのんびり働いている。レンタカーを借りるのと運転手付きの車を雇うのと値段があまり変わらない。事務員や作業員ものんびり働いている。懸命に働いて室内のクーラーを入れるよりは、このほうが安あがりなのだろう。人件費が安いから余剰人員がいても誰も気にしない。考えてみれば日本も以前は、これが当たり前だった。すべて円高のせいである。

4 タリバンとアメリカ
いち早くアメリカを支持したEU諸国とは異なり、日本の言論界は世界のすう勢を見た上で発言しているので、世界でもあまり尊敬されていない。
アラブ人とアフガン人はコーカソイドである。そのうえ、アフガン語(パシュト語)はインドヨーロッパ語族でもある。アメリカとタリバンというコーカソイドどうしの内輪もめは止めてもらいたい。アフガンの野生の動植物が迷惑する。テロ関係者は、その目的を達成したのだから出頭し、多数の罪無き人々を犠牲にした責任を取ったらどうか。しかし今後、新たなテロリストも続々と輩出しよう。ここに日本の出番がある。欧米から見てアラブやアフガニスタンより遠いモンゴロイドの国々でさえアメリカを支持しているということを示し、テロを二度と起こさせないとともに、欧米とイスラムの激突を未然に防いでほしい。
日本はアフガニスタンやアラブを見捨ててもいけない。「アジア」とは欧州人が非ヨーロッパということで考えた地域であり、共通点がないと言われてきた。しかし欧米文明が世界を席巻している今となっては、アジアは「非欧米」という共通点で人種、言語、宗教の違いを乗り越えることができる。野党があるからこそ与党も良い政治を行えるのである。アジアの存在は欧米にとっても重要である。日本は欧米と協調しつつ、アジアに属していることを自覚すべきである。

5 先進国総行動
日本だけが経済的に先進国を離脱したら、国民の精神衛生はすこぶる良くない。すべての先進国が先進国を離脱したらどうだろうか。非先進国の追い上げを気にしなくて済む。何よりも地上の格差を少なくしエントロピーを増大させれば、地球破滅に向かう科学発達エネルギーは少なくなる。先進国全体が昭和40年に戻るのなら、国民の満足度は高くなるであろう。

6 先進国の反省点
餓えに苦しむ人々のことを、我々はビールを飲みテレビを見るときに少しでも考えるだろうか。問題点は更にある。アメリカは世界に対し国連以上の影響力を持つが、アメリカの政治家は世界のことより有権者のことを気にしてはいないだろうか。地球のことより石油会社を、土地を追われたパレスチナ人のことより国内のユダヤ系実力者のことを気にする限り、平和は訪れない。
我々は今回のテロを許さないとともに、自身への反省点も多い。



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