九百八十六 1.今の女性宮家議論は邪論だ、2.或る宗派の女系門主誕生の問題点
旧「1.民進党の女性宮家は邪論だ、2.或る宗派の女系門主誕生の問題点」
平成二十九丁酉年
五月二十七日(土)
今の女性宮家議論は邪論だ。それは将来の天皇候補者減少に何の効果もない。女性宮家を創ったとして、役割はご結婚後も皇族に留まるだけだ。本人や子孫が将来の天皇候補になる訳ではない。
女系天皇を主張するのであれば、主張として認められる。しかし女性宮家は正当な主張とは異なり、その場しのぎであるばかりか、保守派が疑ふやうに将来の女系天皇の布石と見られる。そのやうなずるい主張をしてはいけない。
その場しのぎではない主張にするには、元皇族の男性とご結婚された場合は宮家を創ることにすればよい。これなら保守派も賛成する。

五月二十八日(日)
昨日まで、題に民進党が入ってゐたが本日から抜いた。党内にも良識派はゐるとの期待からだ。
女性宮家を主張する人たちは、どうも姿勢が変だ。まづ蓮舫さんは自称「バリバリの保守」だ。それなのに反保守の主張をしてはいけない。
次にAERAなる雑誌に次の記事が載った。
放送大学の原武史教授は発表のタイミングに首を傾げる。同週内にも天皇の退位を認める特例法案が閣議決定される見通しだったからだ。
「NHK記者の『今月は小室さんに張り付いていた』という旨の発言からも、前から準備していたと考えられます。発表のタイミングも偶然ではなく、意図があるのでは。女性宮家問題を先送りしようとすることへの、皇族側からの強烈なしっぺ返しのようにも見て取れるのです」(原教授)
まづ皇族を政治に巻き込んではいけない。だから意図があるはずはないが、百歩譲って意図があったとしてこのタイミングで発表されたのは、女性宮家辞退の表明だ。同じことを考へる人は他にもゐる。週刊朝日によると
しかし、この慶事は、「女性宮家創設」議論に一石を投じた。皇室を取り巻く思惑は様々に交差する。
「女性宮家への、ご辞退宣言ということか」
 5月16日午後7時。「眞子さまご婚約へ」の一報を耳にして、政権に近い日本会議の関係者はつぶやいた。
ここまで同感だ。女性宮家になりたくないと云ふ意図はあったかも知れない。しかしそのやうなことを詮索せず慶事をお喜びするべきだ。ところが週刊朝日はこの先、内容がどんどん歪曲してしまふ。AERAと同じ会社の印刷物だから当然ではあるが。
官邸幹部も、「このタイミングで発表するつもりはなかった」と当惑の表情をみせた。
官邸はもちろん、山本信一郎宮内庁長官も、この件について報告を受けたのはわずか数時間前であった。
このあと、旧皇族との見合ひの話などが続く。つまり週刊朝日は旧皇族との結婚による女性宮家に反対したつもりなのだが、「タイミング」が悪いから女性宮家に反対する文章になってしまった。このままではAERAと合はせて「偏向記事のYATSURA」と呼ばれかねない。

五月二十八日(日)その二
時代劇で、殿様にお世継ぎが生まれて家臣一同「おめでとうございます」と殿様に挨拶する場面がある。あれはお世辞で言ったのではなく、家臣一同本心から喜んでゐる。なぜならお世継ぎが生まれないと改易になるからだ。江戸時代の初期はそのため膨大な数の浪人が発生した。
後に末期養子の制度を設けたが、これは江戸幕府が政策を誤った。大名や家臣に改易が続発し、一方で新規に雇用すれば身分が固定せず流動化するはずだった。しかし戦が無くなり既得権を死守したい連中が多くなり、前者を選んでしまった。
先月、真宗系の或る宗派で女性門主が誕生した。南北朝以来なので過去に例が無かった訳ではないさうだ。しかしこの報道を読んで少し暗い気持ちになった。たくさんでは無いのは、私はその宗派と無関係だからで、なぜ少しだが暗い気持ちになったのかは、今まで男で来たのに男女どちらでもよいことになると、門主が私物化するからだ。男を後継にするといつかは直系の子孫以外が跡を継ぐ。男女どちらでもよいことになると早死や病気など例外を除いて直系の子孫が永遠に続くことになる。一般の家庭ならよいが、門主では緊張感が無くなり、必ず将来衰退するだらう。

五月二十八日(日)その三
過去に女系天皇が提起され、私はこれに反対した。その理由は(1)秋篠宮様がいらっしゃるのに、その事を差し置いて女系にするのは人の道に反する、(2)一般女性の幸福とは無関係に、議員や政府の委員になりたい、新聞社など競争の無い産業で出世したいと云ふ奇妙な女たちによる天皇制度の政治利用、(3)天皇が特定の家の固定となり、緊張を欠き将来に禍根を残す、の三つだった。
あのときは悠仁様がご誕生になり、議論は立ち消へた。今回議論を再開する必要はまったくない。(完)

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