九百七十五 東京タワーの鯉のぼり、亀戸天神の藤、お台場のオクトーバーフェスト
平成二十九丁酉年
五月八日(月)
今年の黄金週間は、昭和の日が土曜と重なったため前半は通常の土曜日曜、後半は五連休になった。五連休のうち一日目は家にゐた。次の三日間は近くへの外出に留まった。だから最終日は思ひ出に残るやうな遠出をしようと考えた。
イベント情報エンジョイ東京といふページで、東京タワーの鯉のぼり、亀戸天神の藤、お台場のオクトーバーフェストを見つけて、三つを一度に行くことにした。都営バス一日乗車券を使った。
渋谷から都06で赤羽橋、或いは渋88で虎ノ門五丁目から歩く。都バスのページでそこまで調べたのに、都06に乗ったあと、どこで降りるのかを忘れた。確か五丁目だったと云ふことしか判らない。左側の席に座れば景色で判るのだが右側に座ったので東京タワーが見えない。車内放送が芝園橋を案内するので行き過ぎたことに気付き、ボタンを押して降りた。乗り過ごしたとは云へ一つだ。少し戻って無事に東京タワーへ着いた。
裏から館内に入ったので二階の窓から見る鯉のぼりがきれいだ。階段を一階に降りて表から外に出て鯉のぼりを見上げた。写真を撮る人が何人もゐた。私も携帯電話で写真を撮った。外から見るとわざわざ行くほどのものではない。中から見るときれいだ。

五月八日(月)その二
再び都06に乗り、新橋で業10のスカイツリー行きに乗り換へた。東両国緑町(昭和45年辺りまでの停留所名、今は緑何丁目とかに変った)で亀戸方面に乗り換へる予定だった。ところが月島の辺りで車内放送が亀戸方面は乗り換へと放送するので慌てて降りた。緑町から亀戸に行くと四辺形の二辺を走る形になる。亀戸行きに乗れば対角線を走るのだらうと期待した。ところが昔の都電二十三系統と同じ道を走り、最初は喜んだが緑町の交差点を過ぎ、総武線のガードをくぐるところで大回りに気付いた。緑町で乗り換へれば四方形の二辺だ。ガードをくぐると四方形の上に別の四角形を付けてそこの三辺を廻ることになる。スカイツリーの横を通るときは業10もここが終点なのにと複雑な思ひだった。
乗客の一人が運転手に何か質問し、運転手が亀戸四丁目と答へた。なるほど亀戸駅前で降りるより一停留所歩く距離が短い。それだけが唯一の救ひだった。

五月八日(月)その三
亀戸四丁目で降りて、方角が判らず亀戸駅のほうに少し歩き、道を尋ねて先ほどの交差点を左折することを教はった。考へてみれば、昔は池袋から亀戸までのトロリーバスと上野公園から今井までのトロリーバスがこの交差点で合流した。頭上に架線があれば絶対に間違へない。都バスは架線が無いから間違へる。大塚駅から錦糸町駅までの都電16系統は、太平町三丁目の交差点を曲がって錦糸町に着いたが、昭和20年代は直進して天神橋が終点だった。後に今井行きのトロリーバスが出来て、都電は交差点を右折、左から来たトロリーバスは左折で、両方が交じり合はずに交差点をすれ違った。そんな事情もあるから、絶対に間違へるはずのない場所で間違へた。

天神橋の手前で亀戸天神の裏門から境内に入った。藤は時季を過ぎてしおれた木もあるものの、まだ咲いてゐる木が多かった。多数の参拝者で賑はった。藤の背後にスカイツリーの映る写真を撮影ののち、亀戸駅に向かった。

五月十日(水)
亀戸駅前通りのバス停から土曜と休日にだけ運行する急行バスに乗り、パレットタウンで降りた。臨時と前面に表示があった。これは土日に運行すると云ふ意味ではなく、国際展示場の催し物のため時刻表の前に一本入れたのだと思ふ。急行とは云へ新木場までは全ての停留所に止まり、亀戸ではがらがらだったが途中でかなり乗車した。かつての都電38系統の沿線なので人口が多い。
パレットタウンで降りてトヨタのショールーム、パレットタウン、ヴィーナスフォートの噴水広場と教会広場を見た。お台場ハワイフェスティバルが行はれてゐて、教会広場でハワイアンダンスを見た。ヴィーナスフォートは今回初めて知った。
デックスの裏側のお台場海浜公園沿ひを自由の女神まで歩いた後、オクトーバーフェストの会場へ向かった。遠回りした理由は、お台場海浜公園が会場だと思ったら違ってゐてどこが会場なのか判らないが足の向くままに歩いたら、会場のセントラルパークに到着した。

五月十三日(土)
午後一時頃会場に着いた。アントン&ザ・ファニーガイズと云ふグループが中央のテントで演奏してゐた。少し観たあと外の飲食物売り場を一周したあと、ジョッキのデポジットが面倒なのでビールを飲むのは止めることにした。会場を出て自由の女神像に少し戻ったところのベンチで、家から持ってきた野菜を食べた。私はここ数年、出勤するときも休日に出掛けるときも、野菜だけ家から持って行くことが多い。外で食べるとでんぷんとタンパク質は取れるものの野菜が不足するからだ。
このあと再び会場に入り、最初の方針を変更してWeltenburger Klosterのブースでアッサムボックを買った。
ヴェルテンブルク修道院は、7世紀頃に南ドイツ・ドナウ河畔のケルハイムで創建されました。ビールの醸造は西暦1050年から行ったとの記録があり、現存する修道院醸造所としては最古のブランドです。
とある。今回ここを選んだのは、私がドイツ出張中に気に入ったのは麦粒が入った黒ビールで会場中を探したが、これは無かった。アッサムボックがこれに近いので注文した。私のホームページでは宗教問題を多く取り上げるので、修道院のビールを飲めて良かった。300mlが1100円、5000mlが1500円。私は500mlを注文しデポジット1000円とともに払った。テントの演奏を立って見ながら飲んだ。
ブースにジョッキを返却し1000円を返してもらった。会場を出てダイバーシティー東京でツナおにぎりを2つ買ひ、先ほどと同じベンチで食べた。このまま帰る予定だったが、再度会場に入った。ドイツは出張で滞在したので愛着がある。会場内を何回も見たが、次の演奏まで時間がある。そこでWarsteinerのブースでPremium Dunkelを注文した。
ヴァルシュタイナー醸造所は、ドイツ・ザワーランド地方のヴァルシュタインにあるドイツ最大の民間醸造所。1753年の創業以来、260年間にわたって厳格なドイツの純粋令を守り、高品質なビールを造り続けています。
とある。今回は300ml1100円、500mlで1500円。500mlを注文しデポジットが1000円でこれは飲み終はって返してもらった。最初から二杯飲む予定のときはジョッキを別のブースに返しても次はデポジット無しで飲める。ドイツでは銘柄ごとにジョッキが異なる。ドイツ出張中に宿泊した民泊施設にもビールカウンターがあり、多数の銘柄のジョッキがたくさん天井から吊るしてあった。

五月十三日(土)その二
二回目の演奏は三時半なのでかなり時間があった。会場整理をしてゐるアルバイト(或いはボランティアか)に訊くと、ドイツ文学の学生と云ふ訳ではないらしい。観客もドイツが好きと云ふよりアントン&ザ・ファニーガイズのファンなのかなと思った。あとグルメファンかな。
東北SAKEフェスタと云ふブースは日本酒、濁り酒などを販売してゐるので東北地方出身の学生かと思ったが、ここも違った。もし東北地方出身なら、かつて東北本線の一ノ関辺りから南側は駅の売店で普通のカップ酒を売っていたが、北側は濁り酒のカップ酒を売ってゐた話をしようと思ったがしなかった。
暫くしてアントン&ザ・ファニーガイズが始まった。バンド名が英語なのと、最初の曲が英語なので少し変な気がした。英米のバンドが英語なのは問題ない。日本人が欧米人と話すときに英語を使ふのも問題ない。しかしそれ以外に英語を使ふのは英語帝国主義と云ふ思ひがある。
二曲目以降はドイツ語なのでよかった。一回目の演奏は五分くらい、二回目の演奏は全部観た。演出が一回目と重ならないのはさすがだ。カントリーミュージックに近い音楽は日本の感性に合ふのだらう。ドイツ人の女性がピンク色のメガネなのはコミックバンドも狙ったのかな。日本語でバンドを紹介する女性も一曲踊ったので女優なのだらう。(完)

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