九百三十六 日経フォ-ラム『国連 持続可能な開発目標「SDGs」から考える社会イノベーション』が退屈な理由
平成二十九丁酉年
一月二十四日(火)
ランドマーク、グランモール、臨港パーク
有給休暇の残りが3月末までに4日半だ。それなのに貴重な1日を表題のフォーラムに使った。参加するのは止めようかとの気持ちもあった。しかし受講票がeメールで送られてきた以上、参加すべきだ。無料セミナーだからといって無断で休むのはよくない。
まづ横浜銀行本店一階の「はまぎんホール」がどんなところなのか見よう。そんな気持ちもあった。始まる前に時間があったので、パシフィコ横浜に行った。背後に臨港パークと云ふ公園があることを始めて知った。景色はよいし短い人工水路の上にたいこ橋はあるし(何のために水路とたいこ橋があるか不明だが)、それなりに楽しめた。
桜木町駅前からランドマークを経由してパシフィコに至るまでの通路も立派だ。ほとんどの店が開店前なのに通路として公開するその公益意識は偉い。四十年くらい前に、武蔵浦和駅に50mくらいだが早朝も開放するモールの通路があった。両側の店はまだ開店しないのにその公益性に関心したことがあった。ところが二十年くらい前に改修され閉店時は通路も閉鎖されてしまった。その記憶があるからランドマークとグランモールは賞賛に値する。尤も僅かだが早朝から開店する店もある。
一月二十九日(日)
横浜市長の講演はなぜつまらなかったか
まづ横浜市長林文子さんの挨拶で始まった。私は前回の市長選挙で投票したが、市長が女性だと初めて知った。これが正しい。女性だらうと男性だらうと市民のために努力する人を市長にすべきで、男性だから女性だからと投票することは間違ってゐる。「日本死ねの民進党」で蓮舫が女性党首を売り物にすることが如何に間違ってゐるかがよく判る。東京都知事の小池さんだって女性知事を売り物に当選したのではなく都議会と都庁の伏魔殿退治を売り物に当選した。
林さんの経歴を見るとファーレン東京(現フォルクスワーゲンジャパン販売)社長、BMW東京社長、ダイエーCEO、日産自動車執行役員と、ぜひとも講演を聴いてみたくなる。ところが講演の中身たるや10分間なのに退屈そのものだ。これは林さんの能力が劣るのではなく、SDGsなるものが欺瞞だからだ。私のホームページは地球温暖化防止を最大目標に掲げてゐるが、その私もSDGsなる略語は初めて聞いた。林さんも日産自動車などの関係で出演したものの話す内容がないから市の幹部の書いたものを棒読みした。それでつまらなくなったと見るべきだ。
一月二十九日(日)その二
役職は地位を表してはいけない
次に外務省の「地球規模課題審議官 大使」なる人が登壇した。大使は責任職だから無任所の大使と云ふ肩書が存在してはいけない。それより西洋の先進国(地球を滅ぼす行為について先に進む国)の主張を単に国内で発言するだけの人は不要だ。日本はアジアに位置するのだから非西洋の立場で発言をしないと地球が滅びる。
次に建築環境・省エネルギー機構理事長と云ふ人が登場した。早口で話すので情報量が多く退屈しなくて済んだが、聞き取れないところがあった。
午前中最後の横浜副市長の話は十二日経過したため覚えてゐないが、各論なので悪い内容ではなかったと思ふ。
昼休みは横浜銀行本店の水時計を見たあと、ランドマーク、グランモールの商店街でまづ成城石井に入った。予想どおり値段が高いので、別のコンビニで調理パンを買った。野菜は家から持ってきたので、ランドマークのテーブルのあるところで食べた。日本丸の先のタワー塔C、Dの横の排水ポンプカバーの展示を見た後、三箇所に水路で分かれた遊園地をくまなく歩き、横浜ワールドポーターズの中を見て戻った。
開始時刻を少し過ぎたが環境大臣の挨拶の最後の部分を聴けた。遅刻したのは聞きたくなかった訳ではなく、あちこち見たので遅れた。10分が5分で終ったが最後の部分を聞けたからそれほど遅刻した訳ではない。
「持続可能な開発をリードする地方自治体」と云ふパネルディスカッションは退屈だった。地球環境戦略研究機関上席研究員/国立環境研究所主任研究員なる人がコーディネーターだったが、この程度のパネルディスカッションにしかならないのは本人が悪いのか、出席者が悪いのか。
「電気自動車の進化とその新たな価値」は日産自動車の人が話されて、これは各論なので退屈はしなかった。しかし日産自動車の宣伝の要素が強かった。かう云ふときは宣伝の要素を殺して総論で話さなくてはいけない。
一月二十九日(日)その三
退屈なので別の場所に行った
ここで10分間の休憩に入った。退屈な話が続いたので、14時40分から16時20分まではみなとみらい地区の探索に時間を使ふことにした。MARKisと云ふビルに多くの人が入るので私も入った。私の知るみなとみらいはランドマーク、パシフィコ横浜、日本丸。この三つだけだ。かつて自転車で市立中央図書館や県立図書館に行くときランドマークの横を走った。裏に美術館と郊外型店舗が幾つかあるだけであとは工事中だった。それが今ではこんなにビルが増えた。
MARKisは五階のオービィ横浜、みんなの庭から地下四階のえきまえマーケットまで感じのよい施設だ。オービィ横浜は六十歳以上がシニア割引で300円なので入場した。ここは野生生物の動画を映写する施設だ。私が今回の日経セミナーに不満な理由の一つに、SDGsなるものは野生生物のことを考へない西洋野蛮人の偽善がある。だからこの施設に入場したのは時機に適ってゐた。内容も料金どおり適正だった。ただし私はシニアの300円だから、普通の800円だと高いと感じたかも知れない。
16:20からは民間企業が五社、役所は横浜市の六人によるパネルディスカッションがあった。これは民間主体だから期待したが、各社が自社の宣伝をするだけのつまらない内容に終はった。このフォーラムがつまらない理由として西洋野蛮人の偽善に日本が無批判なことは前に挙げたが、二番目につまらない理由として、民間は総論、役所は各論、政治家は結論を話さなくてはいけない。役所が総論を話すからつまらなくなる。民間が各論を話すから自社の宣伝になる。そして政治家を呼んで結論を話させるべきだ。
地球温暖化の防止は最優先課題だ。それを貧困の解消など別のものと混ぜてはいけない。地球温暖化の防止は経済縮小で行ふべきだ。つまり贅沢を少しづつ無くすことで均衡させる。ただし世界が同時にすべきで日本だけがやってはいけない。SDGsの目指すことは経済を発展させて非先進国を先進国に多少近づけると云ふ偽善だから、そもそも有益なセミナーになるはずがない。辛辣な云ひ方をすれば、SDGsで税金を浪費する役所、それに群がる民間企業、SDGsでひと儲けしたい民間企業。この三つの複合体が今回のセミナーであった。(完)
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