九百二十七 駅構内の操車場(2.直江津駅)

平成二十九丁酉年
一月九日(月) はじめに
客車は常備駅が決められ、そこの客貨車区で修理、点検を行った。動力車が配置区を決めるのに対して客車はなぜ常備駅なのか不思議だった。留置線は駅の構内で、検修庫の周りだけが客貨車区だからだらう、或いは客車の入れ替へは研修庫を含めて駅で行ふためだらうと最初は考へた。後に、客貨車区はかつて検車区、車電区だったためだと気付いた。更に別の解釈もある。客車と貨車を同じ扱ひにしたと云ふものだ。
全国の客車はほとんど客貨車区(機関区と合併して運転区、運転所の場合も)が担当し、客車区は高崎、尾久、富山、宮原、竹下、熊本しかなかった(上野は留置線、検修庫が無し)。前回特集した富山は客車区なので、全国から見れば少数派だ。客貨車区も調べたいものだと福島、一関などを見て、直江津を調べることにした。

一月九日(月) 北側の留置線
直江津駅は南東に客貨車区、機関区がある。それとは別に北側の一番線(富山、長野から着線して行き止まり)の更に北に三線ある。一番手前の線は先端で一番線との渡り線があり機回用と思はれるが、その線に従来客車が一両、その奥の線に六両連結して留置してある。行き止まりと機回線が大阪の湊町駅に似てゐる。
一番線の終端の先は改札など本屋があり、その東側は貨物線が五本あり、うち一番手前は二番線が三番に合流して新潟方に向かふその合流後の空き地を使用し従来客車の荷物車らしいものに貨車の無蓋車五両くらいを連結し留置してある。。奥の一線或いは二線が貨物の積み下ろし暢なのだらう。

一月九日(月)その二 南側の貨物ヤード
ホームの二番線から六番線は新潟方にも貫通し、その南側はホームと平行に十五線あり、貨物の着発が四線、仕訳線兼留置線が十一本、機回が一線ある。客貨車区と機関区は機回線に繋がる。機回線の一本内側に従来客車の旅客車が三両連結され留置してある。
三番線と四番線の間と、五番線と六番線の間に長野、富山方からホームまでの行き止まり線があるが写真では何も留置してゐない。

一月十日(火) 直江津客貨車区
配線図だと客貨車区は検修が七線。その北側に機回を兼ねた留置線が二本。ホームから撮った二枚の写真と裏側(新潟側)から撮った一枚の写真だと、検修庫に四線。このうち二から四線目まではシャッターが閉まる完全な屋内。その左は二両分くらいの長さの屋根だけの簡易建物が一線。その左に留置線が三本。簡易建物に洗浄台がある。休日の写真で閉まったシャッターの前に車掌車が一台。一番右と左の四線に列車四本で最後尾は従来客車三つと車掌車。別の写真では一番左のシャッターが開いて従来客車が半分入る。閉まったシャッターの前に有蓋車が一両。シャッターは普段は閉めて作業をするのかも知れない。
機関区には配置はなく、直江津駅常備の客車は70両。

一月十五日(日) 直江津客貨車区の写真より判ったこと
以上は直江津駅の写真から調べた内容だが、これ以外に直江津客貨車区の写真が別のページにあった。これによると二両分くらいの簡易建物は二線あり洗浄線だった。完全な屋内の検修庫は裏側に二両分くらい屋外に繋がる。ここに裏から見て一番右にマニ50、真ん中の線に古い有蓋車、洗浄線とその外側二線には従来客車の列車が止まる。
別の写真では検修庫の裏から見て一番右に車掌車。洗浄線とその外側二線には架線があり、検修庫には無い。
表から検修庫の写真は一番左の線のみ庫の入口まで架線、残りは無し。電気車停止と書かれた標識がある。シャッターは一番左の線のみ開く。一番右の線はシャッターの手前に車掌車。
おそらく検修庫の右側の洗浄線とは反対側にも簡易建物があり、ここは壁があるが前後は開放され、ここにソ94が留まり前面上部に突放禁止と書かれる。ウィキペディアの「国鉄ソ80形貨車」には
事故救援用操重車(事業用貨車)である。鉄道車両の脱線事故や転覆事故の復旧に活躍した。回転式キャブとクレーンを装備している。また、クレーンのブームを収めるための控車である長物車を伴っている。

とある。ここには昭和五十年現在の常備駅も載り、
ソ80 - 稲沢駅(名古屋鉄道管理局)
ソ81 - 長万部駅(青函船舶鉄道管理局)
ソ82 - 浜松駅(静岡鉄道管理局)
ソ83 - 岡山駅(岡山鉄道管理局)
ソ84 - 宇都宮駅(東京北鉄道管理局)
ソ85 - 沼津駅(静岡鉄道管理局)
ソ86 - 金沢駅(金沢鉄道管理局)
ソ87 - 吹田操車場(大阪鉄道管理局)
ソ88 - 新鶴見操車場(東京南鉄道管理局)
ソ89 - 高松駅(四国総局)
ソ90 - 青森駅(盛岡鉄道管理局)
ソ91 - 盛岡駅(盛岡鉄道管理局)
ソ92 - 和歌山駅(天王寺鉄道管理局)
ソ93 - 門司駅(門司鉄道管理局)
ソ94 - 直江津駅(新潟鉄道管理局)
ソ95 - 茅ヶ崎駅(東京南鉄道管理局)
ソ96 - 高崎操車場(高崎鉄道管理局)
ソ97 - 鹿児島駅(鹿児島鉄道管理局)
ソ98 - 八王子駅(東京西鉄道管理局)
ソ99 - 田端操車場(東京北鉄道管理局)
ソ180 - 塩尻駅(長野鉄道管理局)

田端は操車場ではなく駅なので正しくは田端操駅だが、ウィキペディアの原文を尊重した。あと田端機関区の横には古い客車の救援車もあり、これには「ハタ」つまり田端駅常備と書かれてゐた。これも正しくは田端操駅だ。(完)

三月二日(木) 直江津客貨車区列車係
ホームの端の木造の建物に「直江津客貨車区列車係員室」と云ふ看板が掛かってゐる。この写真も貴重だ。


メニューへ戻る 前へ 次へ